Archive for the ‘財産事件’ Category

【事例解説】他人名義のクレジットカードを使うと詐欺罪に問われる?詐欺罪に該当する理由を徹底解説

2024-03-08

【事例解説】他人名義のクレジットカードを使うと詐欺罪に問われる?詐欺罪に該当する理由を徹底解説

他人名義 クレカ 詐欺罪

クレジットカードの規約には、多くの場合「名義人以外の者が使用してはならない」旨の記載があります。
名義人以外の者がクレジットカードを使用した場合、詐欺罪に問われる可能性があることをご存知でしょうか。

今回は、他人名義のクレジットカードを使用すると詐欺罪に該当する理由について、事例をもとに、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

【事例解説】

大学生Aは、洋服会社Vのスーツを購入する際に、支払いをクレジットカードでする方が便利であると考えたが、自分はクレジットカードを持っていないことを理由に、友人Bに「クレジットカードを貸してくれないか。後で返すから」と頼みました

Bは、Aならば必ずそのお金を返してくれるだろうと思い、これを承諾しました。
Aは、洋服会社Vの販売所を訪れ、スーツを購入し、Bのクレジットカードで支払いをしました。

後日、信販会社はVに立て替え払いをするとともに、Bの預金口座からその代金を取り立て、AはBに代金を支払いました。
Aは、後日詐欺罪で逮捕されました。
(※この事例は全てフィクションです。)

【詐欺罪とは?】

詐欺罪は、刑法第246条に規定されています。

  • 刑法246条(詐欺)
    人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
     前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

詐欺罪が成立するには、①他人を欺く行為(欺罔行為があり、②被行為者が錯誤に陥り③錯誤に基づく財物又は財産上の利益の処分(交付)行為があり、財物の移転が認められることが必要です。

【他人名義のクレジットカードを使用すると詐欺罪に該当する?】

本件においては、Bが信販会社にお金をきちんと払っているし、その後、AはBに対してその分のお金を払っています。
ですから、この記事を読んでいる人の中には、「なんでAが詐欺罪になるの?」という風に思った方もいるのではないでしょうか。

ここで、前述した4つの詐欺罪の成立要件を本件にあてはめます。

①についてですが、欺く行為とは、「交付の判断の基礎となる重要な事項を偽る行為であると判示されています。
つまり、欺く行為がなければ被行為者がその交付行為を行わなかったであろうと認められる事実を偽ること、です。

本件では、どうでしょうか。
Aが本件で偽っている事実とは、カード利用者と名義人が同一人物であるということです。
この事実は、洋服会社にとって「交付の判断の基礎となる重要な事項」と言えるのでしょうか。
つまり、「欺く行為がなければ、被行為者がその交付行為を行わなかったであろうと認められる事実」と言えるのでしょうか。

信販会社は「名義人以外の者が使用してはならない」旨の規約を置いている場合がほとんどです。
ですので、建前上、洋服会社は「利用者が名義人でない」と知ればスーツの購入を断っていた(交付行為をしなかったと考えられます。
そうすると、カード利用者と名義人が同一人物であるということは、「交付の判断の基礎となる重要な事項」であると考えられます。

よって、そのような事実を偽るAの行為は①の欺罔行為に該当すると考えられます。

また、Aの欺罔行為によって、Vはカード利用者と名義人が同一人物であると考えているので、錯誤に陥っているといえ(②)、その錯誤に基づいて、Aにスーツを交付しているから錯誤に基づく財物の交付行為があった(③)ということになります。
結果、スーツがAにわたっているから財物の移転があった(④)と認められるため、今回のAの行為は詐欺罪に問われる可能性が高いということです。

【詐欺罪で逮捕されたら弁護士へ】

今回のAのように、詐欺事件を起こすと逮捕される可能性が非常に高いです。
逮捕後、警察から検察に身柄が送致された後に検察官から勾留請求が裁判所にされ、裁判所が勾留請求を認めれば、勾留が決定し最大20日間身柄が引き続き拘束されることになります。

長期の身柄拘束は身体的・精神的負担が大きく、会社や学校に事件のことが発覚して解雇されたり退学処分を受けたりする可能性も十分にあります。

詐欺事件を起こして逮捕され、早期釈放を実現するためには弁護士に刑事弁護活動を依頼することが重要です。
特に、事件が起きてから72時間以内に弁護士に依頼することが非常に重要なポイントになります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、詐欺罪はもちろん、様々な刑事事件の弁護活動を担当した実績を多く持つ、刑事事件に特化した専門の法律事務所です。
ご家族がすでに逮捕されてしまっている場合は、ご依頼から最短当日中に弁護士が接見に向かう初回接見サービス(有料)をご案内いたします。

弁護士が直接本人から事実関係などを聞き、それらを踏まえた上での今後の見通しや流れについて、丁寧に説明してくれます。
ご相談・ご予約に関するお問い合わせは、弊所フリーダイヤル(0120-631-881)にて24時間365日受付中です。

ご家族が東京都内で詐欺事件を起こして逮捕されてしまったという方は、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部までご相談ください。

【解決事例】業務上横領罪による刑事事件を示談で不起訴|横領罪の種類や窃盗・背任罪との違い

2023-12-12

【解決事例】業務上横領罪による刑事事件を示談で不起訴|横領罪の種類や窃盗・背任罪との違い

業務上横領罪 示談 不起訴

業務上横領罪の疑いで任意の取り調べを受けたが、示談の締結によって不起訴処分になった事案をもとに、横領罪とはどのような罪か、横領罪の種類や窃盗・背任罪との違いについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

【事例】

東京都在住の男性A(35)が、経理担当として勤務していた東京都新宿区内にある会社から現金を着服したとして、業務上横領罪の疑いで警視庁新宿警察署から任意の取り調べを受けました。

Aは、勤務先の会社の預貯金口座から約57万円を引き出し、着服した疑いです。
警察の取り調べに対し、Aは「借金の返済に充てた」と容疑を認めています。
(令和5年2月9日に掲載された「Yahoo!ニュース」記事の一部事実を変更したフィクションです。)

【横領罪とは】

横領罪とは、自己の占有する他人の物を横領することで成立する犯罪です。

横領罪とは広義的な意味であり、具体的には、単純横領罪(刑法第252条)業務上横領罪(刑法第253条)遺失物等横領罪(刑法第254条)の3種類に分けられます。

  • 刑法第252条(横領)
    自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。
     自己の物であっても、公務所から保管を命ぜられた場合において、これを横領した者も、前項と同様とする。
  • 刑法第253条(業務上横領)
    業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。
  • 刑法第254条(遺失物等横領)
    遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。

横領罪が成立するための要件として規定されている「自己の占有する他人の物」とは、自分が預かっているだけで本来は他人が所有している財物を指します。
例えば、友人から貸してもらっている本や、経理担当が会社から預かっているお金などが該当します。

また、横領罪は、財物を預かる人(受託者)と財物を預ける人(委託者)の間にある委託信頼関係に基づくことが必要です。
さらに、「横領」とは、「預かった財物を不法に自分の物にしよう」といった不法領得の意思」による行為であることが必要になります。

今回の刑事事件では、Aは経理担当として勤務していた会社の預貯金口座から約57万円を「借金の返済に充てよう」という不法領得の意思で着服しているので、業務上横領罪が成立するということになります。

【横領罪と窃盗・背任罪との違い】

刑法第235条に規定されている窃盗罪や刑法第247条に規定されている背任罪は、横領罪と似ている点があり混在しがちなので、ここで違いを解説します。

まず、窃盗罪と横領罪の違いは、他人の財物を領得する行為の際に他人の占有を侵害するかしないか」です。
「他人の占有を侵害する」場合は窃盗罪「他人の占有を侵害しない」場合は横領罪が成立します。
もう少しわかりやすく説明すると、領得しようとしている財物を「他人が持っている」か「自分が預かっている」かということです。

例えば、他人が持っているバッグなどを奪えば、他人が持っている(他人が占有している)財物を領得しているため、窃盗罪が成立します。
一方で、会社の経理担当が会社から預かっているお金などの財物を着服すれば、自分が預かっている(自分が占有している)財物を領得しているため、横領罪が成立します。

次に、背任罪と横領罪の違いは、委託者と受託者の間にある信頼関係を破って委託者に損害を与える行為の際に「どのような方法で損害を与えたか」です。
委託者の財物を勝手に処分(領得)する行為で損害を与えた場合は横領罪委託された職務に背いた行為で損害を与えた場合は背任罪が成立します。

例えば、友人から借りた本を勝手に売却すれば、委託者の財物を勝手に処分して委託者に損害を与えているため、横領罪が成立します。
一方で、販売担当している勤務先の会社で、会社が決めている値段よりも安い金額で商品を友人に売れば、委託された職務に背いた行為で委託者(会社)に損害を与えているため、背任罪が成立します。

【横領罪の刑事弁護活動】

今回の刑事事件では、Aは被害者である会社と示談を締結できたこともあり、結果として不起訴処分が下されて裁判にかけられないことになりました。
ただ、Aと会社が示談締結できたことは、Aが事前に刑事事件専門の弁護士に依頼して、弁護士が会社に対して示談交渉をしていたことが大きく影響しています。

当事者間では、加害者に対する怒りなどを理由に被害者は示談に応じてくれないことがほとんどです。
弁護士が介入することで示談交渉を円滑に進めることができるので、横領罪で示談交渉をする際は弁護士に依頼することをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、横領罪による刑事事件で被害者との示談を締結して不起訴処分を獲得したり事件化を阻止した実績がある経験豊富な弁護士が在籍しています。

横領罪による刑事事件でお困りの方は、弊所が提供している初回無料の法律相談をご検討ください。

【事例解説】他人が置き忘れられた財布を盗る行為で成立する罪は窃盗罪?占有離脱物横領罪?

2023-10-25

【事例解説】他人が置き忘れられた財布を盗る行為で成立する罪は窃盗罪?占有離脱物横領罪?

他人が置き忘れたものを取った場合、成立する罪は窃盗罪占有離脱物横領罪のどちらが成立するかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説致します。

【事例】

ある日の昼下がり、Aが東京都世田谷区の公園のベンチで休憩していたところ、向かいのベンチに座っていたVが財布を置き忘れていったことに気付きました。
そこで、Aはベンチに2分ほど座ったままVが戻ってこないことを確認し、Vが置き忘れた財布を持ち去りました

Aの行為には、どのような罪が成立するのでしょうか。
(※この事例は全てフィクションです。)

【Aに成立する可能性がある罪】

結論から言うと、本事例においてAには窃盗罪占有離脱物横領罪のどちらかが成立する可能性があります。
窃盗罪については刑法第235条、占有離脱物横領罪については刑法第254条で以下のように規定されています。

  • 刑法第235条(窃盗)
    他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
  • 刑法第254条(遺失物等横領)
    遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。

窃盗罪と占有離脱物横領罪の違いは、簡潔に言えば「被害者の占有があったかどうか」です。

窃盗罪は、「人の財物を窃取した者」と規定しています。
ここにいう「窃取」とは、他人の占有する財物を、占有者の意思に反して、その占有を侵害し自己又は第三者の占有に移転させることと解されています。

これに対して占有離脱物横領罪は占有を離れた他人の物」と規定しています。
又、どちらも他人の物を自己の占有に移すという点では共通していますから、被害者による占有が失われていれば占有離脱物横領罪失われていなければ窃盗罪が成立することになるわけです。

【占有とは】

刑法上、占有とは「財物に対する事実上の支配であると解されています。

占有といった場合に物の現実の握持まで要求すると、例えば家の前の自転車や、タンスの中の現金にも占有が及ばないということになってしまい、不都合だからです。
そこで、占有の存否は、客観的な財物の支配主観的な財物に対する占有の意思を総合的に判断することになります。

では、本件ではどのような判断がなされるでしょうか。
最高裁判所の判例には、公園のベンチに置き忘れられたポシェットを領得した行為は、被害者がベンチから約27メートルしか離れていない場所まで歩いて行った時点で行われたことなどの事実関係の下では、窃盗罪に当たると判示した事例があります。

本件についても、2分程度であれば距離としてもそれほど遠くはありませんから、未だに支配意志があるといえ、占有を肯定することができると判断される可能性があります。
Vの占有が肯定されれば、今回の事例は上記の判例に類似する事案であると言えますから、Aには占有離脱物横領罪ではなく窃盗罪が成立することになると考えられます。

【窃盗罪で逮捕されてしまったら】

窃盗事件の場合、被害額が小さかったり、初犯であったりする場合には、その後の交渉次第で不起訴になることがあります。
不起訴の可能性を少しでも高めるために、逮捕後にできる活動として、被害者との示談が重要なポイントになります。
被害弁償をして被害者に謝罪をした上で示談を成立させることができた場合、起訴前であれば起訴猶予などの不起訴処分となる可能性が上がります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗事件の豊富な弁護経験を持つ、刑事事件少年事件に特化した法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と交渉を行うことで、不起訴処分、罰金刑、執行猶予付判決などより軽い処分にできる可能性がございます。

特に起訴前に示談が成立すれば不起訴処分となり前科を回避することができるかもしれませんので、東京都内で窃盗事件を起こしてしまった場合は、まずは、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部にご相談ください。
ご連絡は、24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120−631−881)にてお待ちしております。

【報道事例】工事現場に侵入して13万円相当の工具を盗んだ男性を窃盗罪などの疑いで逮捕

2023-09-25

【報道事例】工事現場に侵入して13万円相当の工具を盗んだ男性を窃盗罪などの疑いで逮捕

他人の財物を盗むことで成立する窃盗罪ですが、窃盗罪にはいくつかの手口があります。
今回は、東京都福生市で起きた侵入窃盗事件をもとに、侵入窃盗について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が詳しく解説していきます。

【事例】

東京・福生市のアパートの建設現場に侵入し、ドライバーなどの工具、あわせて13万円相当を盗んだとして、38歳の男が警視庁に逮捕されました。

窃盗などの疑いで逮捕されたのは、運送会社の会社員A(38)です。

警視庁によりますと、Aは今年7月、福生市のアパートの建設現場に侵入し、部屋からドライバーのセットや鉄板を切るための電動カッターなど工具8点、あわせて13万1000円相当を盗んだ疑いがもたれています。

Aは建設現場の鍵がかかっていないドアから敷地に侵入し、無施錠の部屋を探して犯行に及んだということです。
取り調べに対し、Aは「生活費のために盗んだ」「人のものを盗んでお金に換えるしかないと思った」と容疑を認めているということです。

福生市や近隣の市町村では、今年に入って同様の事件が30件ほど起きていて、警視庁は関連を調べています。
(※9/22に『Yahoo!JAPANニュース』で配信された「「生活費のために…」工事現場から13万相当の工具を盗む 38歳男を逮捕 福生市中心に約30件 関連捜査」記事の一部を変更して引用しています。)

【侵入窃盗とは】

侵入窃盗とは、窃盗罪に該当する手口の一つで、他人の住居や建造物に無断で侵入して窃盗を行うことを指します。

窃盗罪が成立する手口には、万引きやスリなど様々な種類がありますが、侵入窃盗事件は、窃盗事件の中でも重く処罰される可能性が高いです。

侵入窃盗事件が他の窃盗事件よりも重くみられる理由としては、侵入窃盗事件は窃盗罪の他に、建造物侵入罪や住居侵入罪など、窃盗を行うための手段が他の罪に該当する牽連犯となるからです。
牽連犯とは、1つの行為に対して「目的と手段の関係」で他の犯罪も成立する場合を指し、成立した罪の中でも最も重い罪の処罰内容で処罰されることになります。

今回の事例では、Aは建設現場内の部屋に侵入して工具を盗んでいるため、窃盗罪建造物侵入罪に問われる可能性があります。

ここからは、Aに問われる可能性がある窃盗罪と建造物侵入罪について解説していきます。

【Aに問われる可能性がある罪】

前述したように、今回の事例でAに問われる可能性がある罪は、窃盗罪建造物侵入罪があります。

窃盗罪については刑法第235条、建造物侵入罪については刑法第130条で以下のように規定されています。

  • 刑法第235条(窃盗)
    他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
  • 刑法第130条(住居侵入等)
    正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

今回、Aが盗んだ工具は窃盗罪の条文内に記載されている他人の財物」に該当するため、窃盗罪が成立する可能性があります。

また、Aが侵入した建設現場は、まだ人が日常生活で利用していないため、「住居」ではなく「建造物」に該当します。
なので、Aが建設現場に侵入した行為は、建造物侵入罪が成立する可能性があるということになります。

Aは、工具を盗むために建設現場内の部屋に侵入しているため、牽連犯となります。
この場合、Aは、より重い窃盗罪の10年以下の懲役又は50万円以下の罰金で処罰される可能性があります。

【侵入窃盗事件を起こしたら弁護士へ】

今回の事例のように、侵入窃盗事件は逮捕される可能性も十分にあります。
また、初犯であっても起訴される可能性が他の窃盗事件よりも高いです。

侵入窃盗事件で起訴を免れて不起訴処分を獲得するためには、被害者との示談を締結することが重要になります。
ただ、侵入窃盗事件の被害者は加害者に対する処罰感情が強いことが多い傾向にあるので、当事者間で示談を締結することは難しいです。

なので、侵入窃盗事件を起こしてしまい、被害者と示談を締結して不起訴処分を獲得できる可能性を少しでも高めたい場合は、弁護士に刑事弁護活動を依頼することをお勧めします。
弁護士が代理人となり、被害者との示談交渉を行ってくれるので、より示談を締結できる可能性が高まります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、様々な刑事事件の弁護活動を担当してきた実績を持つ、刑事事件少年事件に特化した専門の法律事務所です。
被害者との示談を締結して不起訴処分を獲得した実績を持つ弁護士も多数在籍しています。

東京都内で侵入窃盗事件を起こしてしまった方や、ご家族が侵入窃盗事件で逮捕されてしまったという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部までご相談ください。
まずは、24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)より、ご連絡をお待ちしております。

【報道事例】ひったくり事件で問われる罪は?強盗罪が成立することもある?

2023-08-14

【報道事例】ひったくり事件で問われる罪は?強盗罪が成立することも?

ひったくりという言葉を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。
ひったくりで問われる可能性がある罪はいくつかあります。

今回は、実際にひったくり事件で逮捕された報道事例をもとに、ひったくり事件で問われる可能性がある罪ひったくりで逮捕された後の流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が詳しく解説します。

【事例】

東京・渋谷区で高齢女性V(70)を狙ってひったくりをした疑いで、会社員の男性A(40)が逮捕された。
Aは先月23日夜、渋谷区代々木の路上で歩いていたVに後ろから近づき、スマートフォンなどが入ったポーチをひったくった疑いが持たれている。

警視庁によると、周辺の防犯カメラにはAが通行人を物色して女性の後をつける様子が映っていたという。
Aは調べに対し「身に覚えがありません」と容疑を否認しているという。
(※Yahoo!ニュース8月12日配信『高齢女性に後ろから近づき“ひったくり” 47歳会社員の男を逮捕 通行人を物色する姿が防犯カメラに 東京・渋谷区』の内容を一部変更して引用しています)

【ひったくりで成立する罪】

ひったくりで成立する可能性がある罪は、大きく窃盗罪強盗罪の2つがあります。
まずは、刑法第235条で規定されている窃盗罪と、刑法第236条で規定されている強盗罪を確認しておきましょう。

  • 刑法第235条(窃盗)
    他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
  • 刑法第236条(強盗)
    暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。

そもそも「ひったくり」とは、カバンを持って1人で帰っている歩行者や自転車のカゴに荷物を入れて帰っている人を狙い、すれ違いざまや背後からいきなり物を奪い取ってそのまま逃げる行為を指し、万引きや置き引き、スリなどと同じように、窃盗の手口の一つです。
つまり、ひったくりは窃盗罪が成立する可能性が高いということです。

今回の事例で考えると、AはVの背後に近づきスマートフォンなどが入ったポーチをひったくっています。
窃盗罪が成立する要件に当てはめてみると、Aは他人(V)の財物(スマートフォンなどが入ったポーチ)を窃取(ひったくり)しているので、窃盗罪が成立する可能性が高いです。

【ひったくりで強盗罪が成立するケース】

ひったくりは窃盗罪が成立することが多いと説明しましたが、場合によっては強盗罪が成立する可能性もあります。

強盗罪は、他人の財物を奪う手段として暴行や脅迫を用いた場合に成立します。
暴行や脅迫を財物を奪う手段とすることが、窃盗罪との大きな違いです。

強盗罪が成立するひったくりの例としては、原付バイクなどで歩行者に近づき、追い越す際に荷物を強く引っ張り、荷物を離さないと転倒して怪我をする危険性を与えてから荷物を奪い取って逃走するといったケースです。
この場合は、歩行者の荷物(財物)を奪うための手段として、無理矢理荷物を引っ張って歩行者に怪我を負わせる危険性を感じさせているため、暴行を用いたことになります。

また、暴行を用いてひったくりをした際に被害者が怪我を負わせた場合は刑法第240条前段で規定されている強盗致傷罪が成立し、被害者が死亡した場合は刑法第240条後段で規定されている強盗致死罪が成立する可能性もあります。

【ひったくりで逮捕された後の流れ】

ひったくりで逮捕された後は被疑者として扱われます。
最初に警察による取調べや捜査が行われ、48時間以内に身柄を検察に送致されます。
送致された後は、検察官から取調べを受け、検察官が被疑者に対して処罰を与えるべきかどうかを判断し、起訴不起訴を決定します。

検察官による取調べの期間で、被疑者の身柄をそのまま拘束しておくべきと検察官が判断すれば、検察官は警察から身柄を送致されて24時間以内に裁判所に対して勾留請求を行います。
勾留請求を受けた裁判所が被疑者に対して勾留質問を行い、勾留の必要性があると判断すれば、検察官からの勾留請求を認め、被疑者の勾留が決定します。

勾留が決定すれば、10日間身柄を拘束された状態で取調べを受けることになります。
さらに、勾留は追加で10日間延長することもできるので、最大で20日間身柄を拘束され続ける可能性があるということです。

取調べの結果、検察官が起訴を決定すれば、略式起訴公判請求がなされ、公判請求されると裁判にかけられることになります。
また、起訴された時点で、罰金刑であっても懲役刑であっても前科が付くことになります。

【ひったくりで逮捕されたら弁護士へ依頼】

前述したように、ひったくりで逮捕されて起訴されてしまうと、罰金刑や懲役刑が言い渡される可能性があったり前科がついてしまったりと今後の人生に関わります。
なので、起訴を免れて不起訴処分を獲得するためにも、弁護士に刑事弁護活動を依頼することをお勧めします。

ひったくり事件で不起訴処分を獲得するためには、被害者との示談を締結することが重要なポイントになります。
ただ、ひったくり事件において、当事者間で示談を締結することは極めて難しいです。
なので、弁護士に刑事弁護活動を依頼して、弁護士を代理人として、被害者との示談交渉をスムーズに進めることが大切です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、ひったくり事件はもちろん、様々な刑事事件で被害者との示談を締結して不起訴処分を獲得した実績を持つ弁護士が多数在籍している刑事事件・少年事件に特化した法律事務所です。

ご家族がひったくりで逮捕されてしまったという方は、弁護士が直接ご家族が逮捕されている場所まで向かい、直接話を聞いた後にご家族に今後の流れや見通しについて説明する初回接見サービスを提供していますので、ぜひご利用ください。
初回接見サービスのご連絡については、24時間受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)でお待ちしております。

【報道事例】アパートに侵入しゲーム機を窃盗した事件で問われる罪は?

2023-08-08

【報道事例】アパートに侵入しゲーム機を窃盗した事件で問われる罪は?

東京都江戸川区で起きた窃盗事件をもとに、問われる可能性がある罪や逮捕後の流れ、弁護士に刑事弁護活動を依頼するメリットについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が詳しく解説します。

【事例】

東京都江戸川区で、男性Vが暮らすアパートからゲーム機などを盗んだとして、46歳の男性Aが逮捕されました。

Aは、先月、江戸川区で1人暮らしをしているVのアパートの部屋に侵入し、ゲーム機2台やゲームソフトなどを盗んだ疑いがもたれています。

警視庁によりますと、Aはインターホンを押し、Vの不在を確認した上で鍵がかかっていない窓から侵入したということです。
インターホンの録画にAの姿が映っていたことから特定されました。

Aは、取り調べに対して容疑を認め「生活費に困ってやった。ゲーム機は手っ取り早く金になる」などと話しているということです。
(Yahoo!JAPANニュース 8月5日配信『「手っ取り早く金になる」アパート侵入しゲーム機など窃盗 46歳男逮捕 東京・江戸川区』記事の一部を変更して引用しています)

【成立する可能性がある罪】

Aの行為は、V宅に人が居ないことを確認して侵入し、ゲーム機などを窃盗しているため、いわゆる空き巣に該当します。
ただ、法律で「空き巣罪」というものはありません。

空き巣を行った場合は、住居侵入等罪窃盗罪が成立する可能性があります。
住居侵入等罪については刑法第130条、窃盗罪については刑法第235条で以下のように規定されています。

  • 刑法第130条(住居侵入等)
    正当な理由がないのに、人の住居もしくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかったものは、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
  • 刑法第235条(窃盗)
    他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

まず、Aは正当な理由もなくVが住んでいるアパートの部屋に侵入しているため、刑法第130条の前段で規定されている住居侵入等罪が成立する可能性があります。
また、V部屋に侵入した後に、部屋にあったV(他人)が所有しているゲーム機(財物)などを窃取しているため、侵入後のAの行為については刑法第235条の窃盗罪が成立する可能性があります。

【2つの犯罪が成立?牽連犯(けんれんはん)とは】

今回のAの行為は、ゲーム機などを盗むという「目的」のために、Vが留守中にV部屋に侵入することを「手段」としています。
つまり、Aに成立する可能性がある住居侵入等罪と窃盗罪の2つの犯罪は、手段と目的という関係になっています。

このように、犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れることを牽連犯(けんれんはん)といい、牽連犯については、刑法第54条1項で以下のように規定されています。

  • 刑法第54条1項(一個の行為が二個以上の罪名に触れる場合等の処理)
    一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。

つまり、牽連犯の場合は、成立している複数の犯罪の中で最も重い刑で処罰されるということです。
Aは、住居侵入等罪と窃盗罪の牽連犯となる可能性があり、牽連犯となった場合は、住居侵入等罪と窃盗罪の処罰内容を比べると窃盗罪の方が重い刑になるため、窃盗罪の罰則で処罰されることになります。

【逮捕された後の流れ】

今回のような刑事事件を起こして逮捕されると被疑者として身柄を拘束され、まずは警察が取調べや捜査を行い、逮捕後48時間以内に身柄を検察庁に送致されます。

検察庁に送致された後は、検察官が被疑者の取調べを行い、被疑者に処罰を与えるべきかどうかを判断し、起訴不起訴を決定します。
この取調べ期間中に、被疑者の身柄を解放すると逃亡や証拠を隠滅する恐れがあると判断されれば、検察官は送致後24時間以内に裁判所に対して勾留請求を行い、裁判所が勾留請求を認めると、被疑者は引き続き身柄を拘束(=勾留)された状態で取調べを受けることになります。
勾留が決定すると、10日間身柄を拘束されることになり、勾留は追加で10日間延長できるため、最大20日間身柄を拘束される可能性があります。

取調べを行った結果、検察官が起訴することを決定すると、裁判を開く公判請求と、裁判を開かない略式起訴のどちらかがなされます。
公判請求をされると懲役刑を言い渡される可能性があり、略式起訴をされると罰金刑を言い渡されます。

【弁護士に刑事弁護活動を依頼するメリット】

前述したように、刑事事件を起こして逮捕されてしまうと、長期間身柄を拘束されてしまう恐れがあります。
また、起訴されると、公判請求でも略式起訴でも前科がついてしまうため、今後の人生に影響が及ぶ可能性もあります。

弁護士に刑事弁護活動を依頼することで、弁護士が被疑者の代理人となり、被疑者の身柄を早急に開放するための活動や、起訴を免れて前科をつけないための活動、万が一起訴されてしまった場合は少しでも処罰が軽くなるような活動に尽力します。
さらに、被害者との示談交渉も弁護士が行うため、当事者間で示談を進めるよりもスムーズに行うことができ、示談を締結できる可能性も高まります。

今回の事例のような窃盗事件では、被害者と示談を締結することが不起訴処分を獲得するための重要なポイントにもなるので、窃盗事件による刑事事件を起こしてしまった場合は、弁護士に刑事弁護活動を依頼することをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗事件はもちろん、様々な刑事事件で被害者との示談を締結して不起訴処分を獲得した実績がある弁護士が多数在籍している刑事事件に特化した法律事務所です。
ご家族が窃盗事件で逮捕されてしまって今後どうなるか不安に感じている方は、まずは24時間受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご相談ください。

【報道事例】売上金が入った金庫を奪ったコンビニ強盗事件

2023-08-02

【報道事例】売上金が入った金庫を奪ったコンビニ強盗事件

東京都中野区で起きたコンビニ強盗事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事例】

1日未明、東京・中野区にあるコンビニ店に男Aが押し入り、店員を刃物で脅して売上金などが入った金庫を奪って逃げました
午前2時半ごろ中野区東中野のコンビニ店で、「包丁を突き付けられ逃げられた」と40代の男性店員から110番通報がありました。

警視庁によりますと、男性店員が1人で作業をしていたところ物音がしたので確認すると、Aがレジの下にある売上金の入った金庫を持ち去ろうとしていたということです。

Aは取り押さえられそうになると包丁のようなもので脅し、金庫を奪って逃走しました。
けが人はいませんでした。
テレ朝news 8月1日配信「コンビニ店に刃物強盗 売上金入った金庫奪い逃走 東京・中野区」記事の一部を変更し引用しています。)

【今回の事例で問われる罪は?】

今回の事例でのAの行為は、強盗罪又は事後強盗罪に問われる可能性があります。
強盗罪については刑法第236条、事後強盗罪については刑法第238条で以下のように規定されています。

  • 刑法第236条(強盗)
    暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。
  • 刑法第238条(事後強盗罪)
    窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。

今回、Aは先に売上金の入った金庫を持ち去ろうとした窃盗(盗み)行為を行っています。
その後、現場を店員に目撃されて取り押さえられそうになったため、包丁のようなもので脅し、金庫を奪って逃走しました。

包丁のようなもので脅した目的が、「財物(金庫)を奪取するため」なのか「財物(金庫)を取り返されるのを防ぐため・逮捕を免れるため・罪証を隠滅するため」なのかで、問われる罪が変わります。
前者の目的だった場合は、強盗罪が成立します。
一方で、後者の目的だった場合は、事後強盗罪が成立します。

強盗罪と事後強盗罪で成立する要件は異なりますが、事後強盗罪は、条文に「強盗として論ずる」と記載されているため、事後強盗罪も強盗罪と同様の罰則で処罰されます。
つまり、強盗罪と事後強盗罪の罰則は、5年以上の有期懲役となります。

有期懲役とは、期間の定めがある懲役刑を指し、原則として1月以上20年以下の範囲内で懲役刑が科せられます。

【Aが見つかった後の流れは?】

今回の事例のAが見つかった場合、逮捕される可能性が高いです。
警察から逮捕された後は、警察官からの取調べなどの捜査を受け、48時間以内に身柄を検察庁に送致されます。

検察庁に送致された後は、検察官からの取調べを受け、24時間以内に検察官が犯人の身柄をこのまま拘束した状態で取調べを続ける(=勾留する)かどうかを判断します。
身柄を拘束した状態で取調べを続ける必要がないと判断されれば釈放となりますが、身柄を拘束した状態で取調べや捜査を続けるべきであると判断された場合は、検察官は裁判所に対して勾留請求をします。

裁判所が勾留請求を認めると、10日間勾留されることになります。
また、勾留は追加で10日間延長することが可能なので、勾留が決定すると最大20日間身柄が拘束される可能性があります。

勾留期間中に検察官が取調べを続け、犯人に処罰を与えるべきであると判断すれば、起訴されることになります。
今回のAに成立する可能性がある強盗罪と事後強盗罪は、どちらも懲役刑のみの罰則なので、起訴されると公判請求され、裁判にかけられて懲役刑が言い渡される可能性があります。

【強盗罪・事後強盗罪の刑事弁護活動】

強盗罪・事後強盗罪のような強盗事件で逮捕される割合は、他の刑事事件に比べると高く、勾留請求がされる割合も高いです。
つまり、強盗事件を起こしてしまうと長期間身柄が拘束されてしまう可能性が高いということです。

長期間身柄を拘束されると、家族や職場に連絡することもできず、職場をクビになってしまったり家族に迷惑をかけてしまったりと、大きな不利益が生じる恐れもあります。
なので、強盗事件で逮捕されてしまった場合は、弁護士に刑事弁護活動を依頼することをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、強盗事件はもちろん、様々な刑事事件で逮捕・勾留された方の早期釈放を実現した実績を持つ刑事事件に特化した法律事務所です。

ご家族が強盗事件で逮捕されてしまって今後どうなっていくのか不安に感じている方や、刑事弁護活動の詳しい内容を知りたい方は、まずは24時間受付中のフリーダイヤル(0120-631-881)までご連絡ください。

【解決事例】万引きの再犯事件でクレプトマニアとの診断

2023-05-03

【解決事例】万引きの再犯事件でクレプトマニアとの診断

万引き事件の前科が多数あるにもかかわらず再び事件を起こしてしまったという窃盗の再犯事件に於て、弁護士のアドバイスにより心療内科を受診したところクレプトマニア(窃盗症)の診断を受け、更なる万引き事件を防ぐとともに裁判で執行猶予判決を受けたという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。

【事例】

東京都足立区在住のAさんは、足立区内の会社に勤める会社員です。
Aさんは事件当日、足立区内の小売店で万引き事件を起こしてしまい、警備員に止められました。
その後警備員の通報を受けて臨場した足立区内を管轄する竹ノ塚警察署の警察官は、Aさんを万引きによる窃盗事件として

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地等や一部事件内容を変更しています。≫

【万引きによる窃盗罪】

今回のAさんの事例は、万引き行為が問題となりました。
万引きは、小売店で未精算の商品を持ち出すことを意味し、窃盗罪に当たります。
条文は以下のとおりです。

刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

【クレプトマニアの診断】

万引きなどの窃盗について、自分では支払う金がないものの商品が欲しくて窃取した、あるいは転売の目的で窃取したという場合が多いことでしょう。
しかし、病的窃盗症・クレプトマニアと呼ばれる精神疾患の診断を受ける方は、窃盗をしなくても購入することができるだけの所持金がある場合や、もとより自分には必要のないものを窃取して盗品は破棄する、といった行為に及ぶ場合があるようです。
これは、商品そのものを手に入れることが目的ではなく、万引きをする際に感じる緊張感・達成感を得ることが目的になっている可能性があるほか、摂食障害などの別の精神疾患が起因している場合があります。

クレプトマニアの方による万引き事件では、刑事罰を科しても再発防止には繋がらず、専門医や臨床心理士による中長期的な治療やカウンセリングが必要不可欠です。
しかし、警察官・検察官だけでなく被疑者・被告人自身にクレプトマニアの認識がなく、万引き事件を繰り返す事例が多々見受けられます。
弁護士としては、クレプトマニアの疑いがある万引きの再犯事件では、専門医や臨床心理士を紹介して適切な治療・カウンセリングを繰り返すよう促す必要があります。

今回のAさんは、これまでに裁判になった事件はありませんでしたが、罰金刑が科された万引き事件の前科が数多くあり、担当検察官と交渉はしてみたものの起訴せざるを得ないと言われました。
そこで弁護士は、裁判にて、Aさんが罪を認めていることや被害店舗に弁済を試みたがお断りされたため贖罪寄附をしたこと、クレプトマニアの診断を受けて以降は通院等を繰り返していること、を主張しました。
結果的に裁判官は、Aさんが再犯防止のため真剣に取り組んでいることを考慮し、Aさんに対しては執行猶予付きの判決を宣告しました。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、これまでに数多く万引き事件の弁護活動を経験してきました。
中にはAさんのように万引きを止めたくても止められないクレプトマニアの診断を受ける方もおられ、依頼を受けた事件では各事件の性質やお住いの場所を考慮したうえで中長期的な通院やカウンセリングが可能なクリニック等をご案内しています。
東京都足立区にて、万引きの再犯事件で捜査を受けていてクレプトマニアが疑われる場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部にご連絡ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受けることができます。
家族が逮捕・勾留されている場合はこちら。

【解決事例】東京都外在住の少年が特殊詐欺で警視庁に逮捕②

2023-04-03

【解決事例】東京都外在住の少年が特殊詐欺で警視庁に逮捕②

東京都以外の場所にお住まいの少年が特殊詐欺に関与したとして警視庁の警察官に逮捕されたという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。

【事例】

北海道札幌市在住のAさんが、上京した際、東京都豊島区で特殊詐欺事件に加担してしまい、逮捕・勾留されたという事件です。
捜査後、Aさんは一旦は東京少年鑑別所に送致されましたが、その後の移送決定により法務少年支援センターさっぽろ(札幌少年鑑別所)での観護措置が行われました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地等や一部事件内容を変更しています。≫

【特殊詐欺の受け子について】

≪前回のブログをご覧ください。≫

【居住地以外の都道府県で事件を起こした場合】

≪前回のブログをご覧ください。≫

【居住地と事件地が違う場合の弁護士の選び方】

前章で紹介したように、少年事件で住居地と事件地が異なる場合、捜査は事件地で行われ、家庭裁判所送致後は居住地に移送されることが一般的です。
この期間について、仮に事件が1件で、家庭裁判所送致後に観護措置(収容観護)が行われる場合
・捜査の期間(逮捕から最大で23日程度、再逮捕があれば更に長期に亘る)
・観護措置の期間(原則28日間で、それまでに審判が行われることが原則)
となります。
つまり、いずれも3週間程度、別々の都道府県に身柄拘束される可能性があるのです。
捜査段階においても、観護措置の期間においても、弁護士による弁護人・付添人としての活動は必要不可欠ですが、物理的距離が離れているのでは同じ弁護士が担当することは容易ではありません。
このような場合に、捜査段階は捜査段階で弁護士が弁護人として担当し、観護措置の期間には別の弁護士が付添人として担当する必要があります。
しかし、別々の弁護士にそれぞれ依頼をすると、引継ぎがうまくいかなかったり、着手金等の費用負担が嵩んだりするデメリットが考えられます。
よって、事件地と居住地の両方で弁護活動・付添人活動ができる弁護士事務所を探すことをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所で、全国に本部/支部合わせて12ヶ所に事務所がございます。
北は札幌から南は福岡まで事務所があり、その周辺地域を含め広域で活動ができます。
東京都豊島区にて、お子さん特殊詐欺事件に加担してしまい、今後の見通しを知りたい、弁護を依頼したいという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部にご連絡ください。

【解決事例】東京都外在住の少年が特殊詐欺で警視庁に逮捕①

2023-03-30

【解決事例】東京都外在住の少年が特殊詐欺で警視庁に逮捕①

東京都以外の場所にお住まいの少年が特殊詐欺に関与したとして警視庁の警察官に逮捕されたという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。

【事例】

北海道札幌市在住のAさんは、事件当時、北海道内の高校に通う18歳でした。
Aさんは長期休暇を利用して友人とともに東京都豊島区に遊びに来て、未成年ではあるものの、酒を提供する飲食店を訪れ酒を飲んでいました。
その際、客と思われる年上の者Xさんから、海外製の高級車を持っているが乗らないかと誘われ、Aさんと友人はXさんが運転する車に乗りました。
するとXさんはAさんらに対して「乗車料は15万な」「高級車に乗っているんだから当たり前だろ」と言い、Aさんらは持ち合わせがないと伝えたところ「なら働いて返せ」と厳しい口調で言いました。
その際にAさんが指示されたのは、銀行員と称して東京都豊島区内の高齢者宅に行ってキャッシュカードなどを騙し取る、いわゆる特殊詐欺の受け子でした。
Aさんは特殊詐欺に加担しているであろうことは理解していましたが、乗車料と称する負債の帳消しに加え、北海道札幌市まで帰る交通費も支給されると言われたため、受け子に加担してしまいました。
2件の被害者宅で事件に成功したAさんですが、3件目の被害者宅にて豊島区内を管轄する巣鴨警察署の警察官が騙されたフリ作戦を敷いていて、Aさんは特殊詐欺に加担した詐欺未遂罪で現行犯逮捕されました。

Aさんは、巣鴨警察署で再逮捕の勾留を含めて1ヶ月以上留置されたのち家庭裁判所送致され、観護措置決定を受けて一旦は練馬区にある東京少年鑑別所で収容鑑別が行われましたが、その後すぐ居住地である札幌の少年鑑別所に移送されました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地等や一部事件内容を変更しています。≫

【特殊詐欺の受け子について】

今回のAさんの場合、特殊詐欺の受け子をしてしまいました。
その手口は、Aさんが銀行員でキャッシュカードを提出する必要があると誤信させ、被害者がそれを信じてしまい、Aさんに対しキャッシュカードを渡してしまう、という手口でした。
この場合、詐欺罪が適用されます。
また、3件目の事例では、上記詐欺事件を行おうとしたものの警察官による騙されたフリ作戦により現行犯逮捕されたため、詐欺未遂罪に問われます。
条文は以下のとおりです。

(詐欺)
刑法246条1項 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
(未遂罪)
同第250条 この章の罪の未遂は、罰する。

【居住地以外の都道府県で事件を起こした場合】

今回の事件について、少年は北海道札幌市在住で、東京都豊島区で事件を起こしています(前述のとおり、事件地等は変更しています。)。
まず前提として、捜査は、事件地を管轄する警察署の警察官等が行う場合が一般的です。
Aさんの事件については、豊島区の被害者宅で行われた事件ですので、事件地を管轄する巣鴨警察署の警察官が捜査を行いました。

次に、逮捕された被疑者については、逮捕後48時間以内に事件地の管轄である検察庁(一部の重大事件や、土日祝日などで対応できない支部の場合は検察庁本庁)に送致されます。
基本的に、勾留が認められた「身柄事件」であれば、その後管轄の裁判所に起訴され、裁判を受けます。
よって、東京地方検察庁が捜査し、被疑者が成人であれば東京地方裁判所に起訴され、東京地方裁判所で裁判を受ける場合が一般的です。

在宅の捜査を受けていた場合も、事件地を管轄する警察署が捜査を行ったのち、事件地を管轄する検察庁に送致されます。
その後も送致を受けた検察庁の検察官が捜査を続ける場合もありますが、被疑者の居住地が遠い場合などでは、「移送」という手続きをとり、被疑者の居住地を管轄する検察庁の検察官が捜査を行う場合もあります。
この辺りは、最終的には担当検察官の判断に委ねられます。

もっとも、今回事件のAさんは20歳未満の少年です。
少年事件の場合、捜査段階は成人の刑事事件と同じ手続きで捜査が行われますが、捜査が終了した時点で、地方裁判所・簡易裁判所に起訴されるわけではなく、家庭裁判所に送致されます。
家庭裁判所の送致については、基本的には捜査を行った検察庁と同じく管轄地の家庭裁判所となります。
Aさんの事例でも、捜査が終了した段階で、東京家庭裁判所に送致されました。
しかし、少年事件の場合、多くの事件で調査官により調査が行われるのですが、対象は少年だけではなく少年の保護者等も含まれます。
事件地と少年の居住地とが離れている場合、事件地を管轄する家庭裁判所が調査を行うことは容易ではありません。
そのため、一旦は事件地を管轄する家庭裁判所に送致されるものの、その後少年の居住地を管轄する家庭裁判所に「移送」される場合が一般的です。
Aさんの事件についても、東京家庭裁判所から、Aさんの居住地である札幌家庭裁判所に事件が移送されました。
事件の移送に伴い、Aさんの身柄も、東京少年鑑別所から法務少年支援センターさっぽろ(札幌少年鑑別所)に移送されました。

【居住地と事件地が違う場合の弁護士の選び方】

≪次回のブログに続きます。≫

東京都以外の場所にお住いのお子さんが、東京都豊島区で特殊詐欺などの事件を起こしてしまい逮捕・勾留されたという場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部にご連絡ください。
弁護士が逮捕・勾留されているお子さんのもとに接見に伺う初回接見サービス(有料)をご利用いただけます。
在宅事件の場合の無料相談についてはこちら。

« Older Entries

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら