自転車同士の事故が刑事事件に

自転車同士の交通事故について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

◇事件◇

江戸川区内の印刷工場に勤務しているAさんは、毎日、工場まで自転車で通勤しています。
先日、前の日に深酒した影響で起きることができず寝坊してしまいました。
遅刻してはいけないと思ったAさんは、急いで出勤しましたが、その道中、必死で自転車をこいでいたAさんは赤信号を見落としてしまい、横断歩道を横断していた自転車に衝突する事故を起こしてしまったのです。
Aさんは、衝突する直前に赤信号に気付き急ブレーキをかけて衝突を避けようとしましたが、間に合わなかったようです。
自転車を運転して年配の女性は、転倒した勢いで、頭を地面に打ち付け、頭がい骨骨折の重傷を負いました。
Aさんは、逮捕されていませんが、警視庁小岩警察署に任意同行されて、取調べを受けました。
警察官から「重過失傷害罪で捜査する。」と聞いたAさんは、今後の手続きや処分が不安で刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

◇重過失傷害罪◇

刑法は、故意に他人に傷害を負わせる傷害罪とは別に、不注意で他人に傷害を負わせる過失傷害罪を規定しています。
その中でも、不注意の程度が特に著しい場合には適用されるのが、重過失傷害罪です。

~過失~

まず、過失傷害罪における「過失」とは、事故を予測してそれを回避する行動ができたにもかかわらず、その行動を怠ったことを意味します。
今回の事故でAさんは、遅刻しまいと先を急ぐあまりに、前方の赤信号を見落として、信号無視をして交差点に進入しています。そしてその結果、青信号で交差点に進入してきた被害者と衝突しています。
Aさんが、交差点の手前できちんと信号を確認し、信号機に従って停止していれば、当然、防げたであろう事故ですので、Aの行為には過失が認められるでしょう。

~重過失~

信号機の設置されている交差点において、赤信号を無視したことや、先を急ぐあまりに、ブレーキをかけても急停止できないほどの相当な速度で走行していたことを考えると、Aさんの過失の程度は非常に重たいといえるでしょう。
重過失傷害でいうところの「重」は、過失の程度にかかるものであって、結果の重大性を意味するものではありません。
ですから重大な結果をもたらした場合でも、過失の程度が低い場合は重過失傷害罪ではなく、過失傷害罪が適用される場合があります。

~重過失傷害罪の罰則~

重過失傷害罪の法定刑は、5年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金となっています。
過失の程度や、被害者の傷害の程度によって刑事罰が決定するでしょうが、今回の事故のように、被害者が、頭がい骨骨折という重傷を負っている場合の量刑は厳しいものになるでしょう。

◇逮捕されるの?◇

逮捕には、被疑者を身体拘束することで、被疑者の逃亡や証拠隠滅を防止する役割があります。
これは捜査を円滑に行うためなので、逮捕を行う必要があるかどうかは、基本的には警察などの捜査機関が判断する事柄です。
ですので、捜査機関以外の者が「絶対逮捕されない(される)」などと言うことは通常できません。
ただ、様々な事情を考慮し、逮捕の可能性をある程度予測することはできます。

逮捕の可能性を予測するうえで重要なのは、犯した罪の重さ、事件の複雑さ、被疑者の態度、などが考えられます。
典型的な自転車の事故であれば、一般的に逮捕の可能性は低いと言えるでしょう。
ただ、逃亡や証拠隠滅を懸念させる事情(たとえばひき逃げをした、定まった住居がない)があれば、一概に逮捕の可能性が低いとは言えなくなってきます。
心配であれば、弁護士から話を聞いたうえで事件を依頼し、逮捕が行われた場合の対応について事前に打ち合わせておくとよいでしょう。

最近は自転車の交通マナーが社会問題として取り上げられることも少なくありません。また、自転車の性能が良くなってきていることから、自転車による死亡事故が増えていると聞きます。
この様な背景から、警察等の捜査当局は、自転車による交通事故を積極的に刑事事件化しているので、自転車事故によって前科が付く可能性もあります。
江戸川区において、交通事件・刑事事件に強い弁護士をお探しの方は、こういった刑事事件を専門にしている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回法律相談:無料

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