客引きで略式手続

客引きで略式手続

客引き行為で検挙された場合の罪と略式手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都豊島区西池袋在住のAは、都内のいわゆるキャバクラでアルバイトをしていました。
ある日、そのキャバクラの店長から「今は客が少ないから客引きしてきてくれない?」と言われ、客引き1人あたり1000円を報酬に、西池袋で客引きを行いました。
Aは数人の客引きに成功したことから、その後も店の客が少ない時間帯に客引きを行っていました。
ある日、客引き行為をしたところ、通行人の一人が捜査中の豊島区西池袋を管轄する池袋警察署の警察官であり、「君、客引きだね。」と言われ現行犯逮捕されました。
取調べの際、Aは以前から警察官にマークされていて、内偵捜査が行われていたと聞きました。
Aは、その後接見に来た弁護士から、「略式手続になる可能性が高い。」という説明を受けました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【客引き行為について】

都内の繁華街などを歩いたことがある方は、「客引き行為」を見かけたことがあるかもしれません。
客引き行為は、路上などで歩行者に対して居酒屋やキャバクラ、性風俗などの店に勧誘することを意味します。
通行人が客引きに着いて行った店で、不当とも言える金額を請求されるという話も少なからず聞くところです。
このように、トラブルに発展する可能性がある客引き行為は、複数の法律で禁止されています。
規制する問題となる法律には以下のようなものがあります。

・風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律違反
キャバクラや性風俗などは風俗営業と呼ばれ、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下、風適法と略します。)の制限を受けます。
これらの風俗営業について、それを営む者は「当該営業に関し客引きをすること。」及び「当該営業に関し客引きをするため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと。」を禁止しています。(風適法22条1項1号・2号)
これに違反した場合には「六月以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」と定めています。(同法52条1号)

・迷惑防止条例違反
上記のような風俗営業には当たらない居酒屋などの客引きについてはどうなるのでしょうか。
これは、風適法ではなく各都道府県の定める迷惑防止条例が問題となります。
ケースの場合、東京都豊島区西池袋での事件を想定していますので、東京都が定める公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の処罰に関する条例違反(以下、東京都迷惑防止条例と略します。)にあたります。
同条例では、7条1項で「何人も、公共の場所において、不特定の者に対し、次に掲げる行為をしてはならない。」とし、その3号で「異性による接待をして酒類を伴う飲食をさせる行為…の提供について、客引きを…すること。」と定めています。
罰条は「50万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」です。(同条例8条4項5号)

【略式手続について】

本来、被疑者が起こした刑事事件について、担当する検察官は起訴するか不起訴にするかを決める必要があります。
不起訴になった場合、検察官が裁判所に対して起訴することなく、刑罰を科さずに終了するということです。
また、起訴された場合は、被疑者は被告人という立場に代わり、公開の法廷で有罪・無罪や、有罪だった場合の刑罰についての審理が行われます。

また、検察官は正式な起訴とは別に、略式起訴することもできます。
略式起訴は、比較的軽微でかつ被疑者が認めている事件で行われる手続きで、100万円以下の罰金又は科料の範囲で求刑し、簡易裁判所は書類の審査をしたうえで問題ないと判断した場合に認められる手続です。
略式手続は公開の法廷ではなく書類だけで行われ、被告人は裁判所から届いた起訴状・略式命令書と検察庁から届いた納付書に従って銀行等で罰金又は科料を納めるか、直接検察庁で納付することになります。
略式手続は、書類だけでの手続きになるため、被疑者・被告人にとって負担は少ないと言えます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
東京都豊島区西池袋にて、御家族が客引き行為で逮捕されたり、自身が客引き行為で在宅捜査を受けている方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御連絡ください。

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