業務上横領事件で不起訴

2019-02-15

業務上横領事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

東京都日野市に住むAさんは、新聞販売店にアルバイト配達員として勤務していました。同販売店で集金を担当していた従業員Bが長期休暇を取ったため、店長から、「今月分だけ、Bさんに代わってAさんが集金して欲しい。」と依頼され、配達先を回って新聞代金の集金を行いました。
しかし、Aさんはそのころサラ金から多額の借金を抱えており、その返済に困っていたことから、自身が集金した現金をその返済に充てようと考え、集金した現金を持ち逃げして通常逮捕されました。
後日、Aさんは弁護士の元を訪れて、なんとか不起訴で穏便に済ませられないか相談することにしました。(フィクションです。)

◇業務上横領罪について◇

業務上横領罪は、他人の物を業務上占有する者がその占有物を横領することによって成立する犯罪です。
ここでいう業務とは、社会生活上の地位に基づいて反復又は継続して行われる事務をいい、本務たる事務、兼務たる事務、他人に代わって事実上行う事務及び慣例上本来の事務に付随して行う事務等のすべてを含むと解されています。

◇事例検討◇

事例の場合、Aさんは新聞販売店にアルバイト配達員として雇われ、主に配達業務に従事していたのであるから、集金業務はAさんにとって、本来の仕事ではありませんでした。
しかし店長から依頼を受け、臨時とはいえ集金担当のBさんに代わって集金事務を自らの仕事として行ったのですから、前述の業務に関する意義に照らすと、明らかに業務性が認められることになるでしょう。

Aさんは、新聞販売店にアルバイト配達員として勤務している者であって、たまたま、集金を担当している従業員Bが長期休暇を取ることになったので、店長に依頼されて臨時に集金を行ったもので、事例の場合、Aさんが単なる占有補助者として集金した現金を持っていた、つまり、現金に対する占有を有していないのではないかと考えることができます。
この点について、高裁判例は、見習社員として採用され、決まった仕事も与えられずに不特定の仕事に従事していた者が、上司から集金の代行を命ぜられて集金を行い、その現金を持ち逃げしたという事案について、
「被告人が正式社員でなく見習社員に過ぎなかったとしても又集金そのものが自己本来の職務でなかったとしても正当権限者からその者の職務の代行を命ぜられたものである以上…右代行によって集金した金員を横領した場合業務上横領を構成する」
業務上横領罪の成立を認めています。

この判例は業務の意義について判示したもので、占有がどこに存在するのか直接判示したものではありませんが、上記の事案について業務上横領の成立を認めている以上、見習社員であったとしても、上司から集金の代行を命ぜられて集金を行っている場合には、その集金によって得た現金に対しての占有を有するとしています。
すなわち、占有補助者(アルバイト配達員Aさん)については、物に対する業務上の占有が常にないわけではなく、事例の場合のように、店員が店長に命ぜられて集金先から集金するような場合には、主たる占有者(店長)から独立して集金代金を事実上保管する立場にあるので、当該現金について独立の占有を有し、Aさんは業務上横領罪の刑責を負うことになるでしょう。

◇不起訴について◇

刑事事件には裁判のイメージがつきまといがちですが、実際のところ裁判に至る事件というのは全体の1割もありません。
略式起訴を合わせても起訴率は全体の3割強にとどまっており、それと家庭裁判所送致を除く全体の6割強が不起訴で終了しているというのが現状です。

検察官により不起訴処分が下された場合、その日を以って事件は終了し、よほどのことがない限り起訴などにより事件が蒸し返されることはありません。
ですので、もし不起訴の知らせを受けたら、もはやその事件に関して捜査や刑罰がなされることはないと考えてよいでしょう。

不起訴には様々な理由がありますが、代表的なものとして①起訴猶予、②嫌疑不十分、③嫌疑なしの3つが挙げられます。
まず「起訴猶予」とは、被疑者の事情、事件の内容、事件後の出来事などの様々な事情を考慮して行われる不起訴処分です。
後述のとおり、実務上最も多い不起訴の理由が起訴猶予であり、たとえば被害者と示談を締結した際などに行われるが多くあります。
次に「嫌疑不十分」とは、その名のとおり犯罪の疑いが十分でない場合に行われる不起訴処分です。
裁判で有罪を立証できるほど証拠が揃っていない場合に行われると考えられます。
最後に「嫌疑なし」とは、その名のとおり犯罪の嫌疑がない場合に行われる不起訴処分です。
例えば、捜査を行った結果別の者が犯人であると判明した場合などがこれに当たります。

不起訴の理由の中で群を抜いて多いのは起訴猶予で、その割合は起訴などを含む全事件の5割強に及びます。
仮に罪を犯してしまったのが明らかであっても、示談などその後の弁護活動次第では不起訴となる可能性は充分に考えられます。
弁護士に相談した際には、ぜひ不起訴の可能性がないか聞いてみるとよいでしょう。

東京都日野市業務上横領罪に関する相談を含め刑事事件に強い弁護士をお探しの方、ご家族、ご友人が逮捕された方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部にご相談ください。
初回法律相談:無料
警視庁日野警察署までの初回接見費用:35,400円

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