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【報道事例】営利目的で覚醒剤を製造したとして男女合わせて5人を覚醒取締法違反の疑いで逮捕

2023-11-09
覚醒剤取締法違反

【報道事例】営利目的で覚醒剤を製造したとして男女合わせて5人を覚醒取締法違反の疑いで逮捕

今回は、営利目的で覚醒剤を製造したとして、男女合わせて5人が覚醒剤取締法違反の疑いで逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

【事例】

松山市内で覚醒剤を販売目的で製造したとして、台湾人の男を含む男女5人が覚醒剤取締法違反の罪で起訴された事件。

愛媛県警はきょう、覚醒剤取締法違反の疑いで千葉県と東京都の男女2人を新たに逮捕し、7月にも松山市の男女2人と東京都の女1人を逮捕していたことを発表しました。

警察によると、容疑者らは共謀の上、今年5月24日から30日の間に、覚醒剤およそ103グラムを製造したいうことです。
(※11/7に『Yahoo!JAPANニュース』で配信された「【速報】覚せい剤を密造 東京と千葉の男女らを逮捕」記事を引用しています。)

【覚醒剤取締法とは】

覚醒剤取締法とは、覚醒剤の濫用による保健衛生上の危害を防止するために、覚醒剤及び覚醒剤原料の輸入輸出所持製造譲渡成就及び使用に関して取締りを行うために作られた法律であると同法第1条で規定されています。

そもそも、覚醒剤とは、覚醒剤取締法第2条で以下のように定義付けられています。

  • 覚醒剤取締法第2条(用語の意義)
    この法律で「覚醒剤」とは、次に掲げる物をいう。
     フエニルアミノプロパン、フエニルメチルアミノプロパン及び各その塩類
     前号に掲げる物と同種の覚醒作用を有する物であつて政令で指定するもの
     前二号に掲げる物のいずれかを含有する物

今回の事例では、男女5人が販売目的(=営利目的)で覚醒剤を製造したとして、覚醒剤取締法違反の疑いで逮捕されています。
営利目的で覚醒剤を製造した場合の覚醒剤取締法による罰則については、覚醒剤取締法第41条第2項で以下のように規定されています。

  • 覚醒剤取締法第41条(罰則)
    覚醒剤を、みだりに、本邦若しくは外国に輸入し、本邦若しくは外国から輸出し、又は製造した者(第四十一条の五第一項第二号に該当する者を除く。)は、1年以上の有期懲役に処する。
     営利の目的で前項の罪を犯した者は、無期若しくは3年以上の懲役に処し、又は情状により無期若しくは3年以上の懲役及び1000万円以下の罰金に処する。
     前2項の未遂罪は、罰する。

単純に覚醒剤を製造した場合(前条第1項)は1年以上の有期懲役営利目的で覚醒剤を製造した場合(前条第2項)は無期若しくは3年以上の懲役と、目的で罰則の内容が異なり、営利目的で覚醒剤を製造した場合は非常に重い罰則が規定されています。
これは、営利目的だと他者にも覚醒剤が渡り、社会に対して影響が及ぶ危険性が高いことが大きな理由として挙げられるからです。

【覚醒剤取締法違反で逮捕されてしまったら】

覚醒剤取締法違反は、所持している覚醒剤や販売ルートなどを処分して証拠隠滅をするおそれが高いと捜査機関から判断される場合が多いため、逮捕勾留されて身体を長期的に拘束される可能性が高いです。

また、身体を拘束されている間も、共犯者と口裏を合わせるおそれがあるとして、家族を含む一切の面会を禁止される可能性も十分にあります。

長期的に身体が拘束され、家族とも全く会えない状況となれば、職場や学校、家庭にも大きな影響を及ぼしかねません。
なので、ご家族が覚醒剤取締法違反で逮捕されてしまった場合は、少しでも早く弁護士に刑事弁護活動を依頼することをおすすめします。

弁護士に刑事弁護活動を依頼すれば、弁護士が接見に向かい、逮捕されている本人から直接事実関係を確認したうえで、今後の取調べ対応などについて具体的なアドバイスをしてくれます。
また、早期の身柄開放を実現するための弁護活動や、万が一起訴されて裁判になった際に少しでも軽い判決を獲得できるための弁護活動に尽力してくれます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、覚醒剤取締法違反事件といった薬物事件で刑事弁護活動を担当した実績を多く持つ、刑事事件・少年事件に特化した専門の法律事務所です。

東京都内で、ご家族が覚醒剤取締法による薬物事件を起こして逮捕されてしまったという方は、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部までご相談ください。
最短当日中に弁護士が接見に向かう初回接見サービスを提供していますので、ご依頼は24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120−631−881)までご連絡ください。

【事例解説】覚醒剤を営利目的で密輸すると成立する罪は?逮捕される可能性と逮捕後の流れ

2023-10-22

【事例解説】覚醒剤を営利目的で密輸すると成立する罪は?逮捕される可能性と逮捕後の流れ

覚醒剤を密輸した場合、どのような問題が生じるかについて、あいち刑事事件総合法律
事務所が解説いたします。

【事例】

外国から覚醒剤約2キロを営利目的で密輸したとして、東京都新宿区に住むAさんは覚醒剤取締法違反(営利目的輸入)の疑いで逮捕されました。
(※事例はフィクションです)

【覚醒剤を密輸するとどうなる?】

覚醒剤の輸出入については、覚醒剤取締法第13条で以下のように規定されています。

  • 覚醒剤取締法第13条(輸入及び輸出の禁止)
    何人も、覚醒剤を輸入し、又は輸出してはならない。

条文で規定されているように、覚醒剤の輸入及び輸出は全面的に禁止されています。
これは、自国ないし輸出先の国において、覚醒剤濫用の危険が生じ、又は保健衛生上の危害が生じることを防ぐためです。
覚醒剤を輸入し、覚醒剤取締法違反が成立した場合の処罰内容は、覚醒剤取締法第41条で以下のように規定されています。

  • 覚醒剤取締法第41条(刑罰)
    覚醒剤を、みだりに、本邦若しくは外国に輸入し、本邦若しくは外国から輸出し、又は製造した者(第四十一条の五第一項第二号に該当する者を除く。)は、一年以上の有期懲役に処する。

     営利の目的で前項の罪を犯した者は、無期若しくは三年以上の懲役に処し、又は情状により無期若しくは三年以上の懲役及び一千万円以下の罰金に処する。

     前二項の未遂罪は、罰する。

第2項により営利目的が重く処罰される理由としては、所持・使用よりも営利目的の場合の方が薬物が社会に蔓延する危険性が高いからです。

今回の事例では、Aさんは営利目的で覚醒剤を輸入したとして、覚醒剤取締法違反の疑いで逮捕されています。
営利目的による覚醒剤輸入であるため、Aさんには無期若しくは三年以上の懲役に処される可能性があるということになります。

【覚醒剤取締法違反で逮捕される可能性は?】

警察が被疑者を逮捕する事件の多くは、罪を犯した疑いのある人が証拠を隠滅したり、逃亡する恐れがあったりする場合です。
上記のような逮捕するかどうかについての判断は、刑事訴訟法第60条第1項の規定をもとに考慮されます。

  • 刑事訴訟法第60条
    裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを勾留することができる。
     被告人が定まつた住居を有しないとき。
     被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
     被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。

上記条文は勾留についての規定ですが、逮捕をするかどうかもこの事情を考慮して決せられます。

今回のような覚醒剤事犯などの薬物事件は、トイレに流したり、隠したりといった方法により証拠となる覚醒剤などを簡易かつ迅速に処分できてしまうため、その証拠の隠滅がされるおそれが高いと判断され、早いうちに逮捕に踏み切られる可能性があります。

したがって、逮捕される場合が非常に多く、それに引き続く勾留も長期化することが一般的です。
そして、身柄拘束が長期化した場合、職場や学校に出席できず、日常生活に支障がでたり、逮捕されたことが職場等に発覚すれば、退職に追い込まれたりすることが考えられます。
また、事件が報道されれば社会的信用を失い、社会復帰が困難になる可能性もあります。

【覚醒剤取締法違反で逮捕されてしまったら】

ご自身で覚醒剤取締法違反による薬物事件を起こしてしまったり、ご家族が逮捕されてしまった場合、できるだけ早期に刑事事件に精通した弁護士に相談することをお勧めします。

覚醒剤取締法違反による逮捕の場合には、身柄拘束が長期化する場合が多いです。
弁護士に相談して刑事弁護活動を依頼することで、早期の身柄解放不起訴処分執行猶予付き判決減刑を獲得できる可能性が高まります。

【事務所紹介】

今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が覚醒剤取締法違反について解説致しました。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件に強い事務所であり、今回のような事例に対しても豊富な弁護経験があります。

東京都及び周辺に在住の方やそのご家族で、刑事事件の被疑者として捜査されているという方などは、是非一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部までご連絡ください。

初回無料の法律相談や、最短当日に弁護士が接見に向かう初回接見サービス(有料)をご希望の方は、24時間365日受付中のフリーダイヤル0120-631ー881でご予約を承っておりますので、ご連絡をお待ちしております。

大麻で逮捕 大麻取締法違反の刑罰・要件とは?

2023-09-01

大麻で逮捕 大麻取締法違反の刑罰・要件とは?

今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が大麻取締法違反について事例を用いて解説致します。

【事例】

東京農業大学ボクシング部の21歳の男子部員が、大麻を販売する目的で所持したとして新たに逮捕されました。
このボクシング部の逮捕者は3人目で、警視庁は部内で大麻が広がっていた疑いもあるとみて実態の解明を進めています。

逮捕されたのは東京農業大学の3年生で、ボクシング部に所属するA(21)です。

警視庁によりますと、先月5日、東京 世田谷区の大学敷地内の駐車場で乾燥大麻およそ59.6グラム末端の密売価格で29万8000円余りを販売する目的で所持したとして大麻取締法違反の疑いが持たれています。

先月以降、同じボクシング部に所属するいずれも19歳の男子部員2人が大麻を所持した疑いで逮捕されていて、Aは、このうち1人の部員が運動部の寮にあった大麻を外に持ち出そうとした際に手伝ったとみられています。

(※引用:2023年8月10日に『NHK NEWS WEB』で配信された「東京農業大ボクシング部員を逮捕 大麻所持疑い 逮捕者は3人目」記事の一部を変更して引用しています。)

【解説】

1.大麻取締法違反の処分・刑罰

◆所持・譲受・譲渡
5年以下の懲役

◆営利目的の所持・譲受・譲渡
7年以下の懲役(情状により200万円以下の罰金併科

◆栽培・輸出・輸入
7年以下の懲役

◆営利目的の栽培・輸出・輸入
10年以下の懲役(情状により300万円以下の罰金併科

2.犯罪の成立要件

大麻取締法では以下のような4つの行為を犯罪の成立行為としています。

  1. 所持
  2. 譲渡・譲受
  3. 栽培
  4. 輸出・輸入

ここで、上記の4つの犯罪行為には大麻の「使用が含まれていないから、「使用」は罪に問われないと理解してはいけません

大麻の「使用」があるということは、通常、大麻の「所持」が認められるので、最終的には大麻の「所持」で逮捕されてしまう可能性があります。

大麻を使い切っていても大麻所持の痕跡(吸引パイプ・大麻を入れていた小分けのビニール袋など)から、大麻の「所持」で逮捕される可能性もあります。

3.家族が逮捕されたら?

ご家族が大麻事件で逮捕された場合、できるだけ早期に刑事事件専門の弁護士に相談しましょう。

大麻取締法違反による逮捕の場合には、一般的に長期間による身柄拘束が多いです。
弁護士が入ることで長期間による身柄拘束を避けることができる場合もあります。

また、早期に弁護活動を開始することで、不起訴処分執行猶予付き判決減刑を獲得できる可能性もあります。

【事務所紹介】

今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部大麻取締法違反について解説致しました。
上述したように、大麻取締法違反で逮捕された場合には長期間による身体拘束が予想される為、刑事事件に強い弁護士による法的サポートが不可欠です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部は、刑事事件少年事件を数多く扱う法律事務所です。

大麻取締法違反による刑事事件を起こしてしまった方、警察から取調べを受けている、呼び出しを受けている方は,弊所へお越しいただいての初回無料相談をご利用いただけます。

また、既に逮捕されている方へは、お申込み後、最短当日中に弁護士が接見をして、今後の対応についてのアドバイスや状況を確認する初回接見サービス(有料)がございます。

東京都及び周辺に在住の方やそのご家族で、刑事事件の被疑者として捜査されているという方などは、是非一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部までご連絡ください。

無料相談、初回接見サービスをご希望の方は、24時間365日受付中のフリーダイヤル0120-631ー881でご予約をお取りできますので、ご連絡をお待ちしております。

【解決事例】大麻栽培で職場復帰をサポート

2022-12-12

【解決事例】大麻栽培で職場復帰をサポート

大麻の所持及び栽培の事案で逮捕・勾留され起訴されたものの執行猶予付きの判決が言い渡され、職場復帰のサポートも功を奏したという事案について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。

【事例】

東京都大田区在住のAさんは、大田区内の会社に勤める会社員でした。
事件当日、Aさんは東京都大田区内の路上で大田区内を管轄する大森警察署の警察官により職務質問を受け、大麻の所持が発覚し逮捕されました。
その後Aさんは起訴されましたが、起訴されて初めて遠方に住むAさんの家族にAさんが起訴された旨の連絡が来たため、Aさんの家族は当事務所の初回接見サービスを利用されました。
当事務所としても、当初は大麻の単純所持で起訴されているとだけ聞いていましたが、初回接見を行ったところ、Aさんは自分で使用する目的で大麻栽培していたことが発覚しました。
そこで初回接見の報告を行ったうえで弁護の依頼を受けた弁護士が捜査機関と協議したところ、大麻栽培の事案でいわゆる再逮捕する予定であり、その量がなんと5キログラム以上にのぼることが分かりました。
大麻を5キログラム以上も栽培していたとなると、(実際にそのすべてが違法薬物として使用できるわけではありませんが、)Aさんが営利目的で大麻を栽培していたと疑われることは当然であり、事件の規模からして実刑判決が十分に予想される事案でした。
そこで弁護士は、保釈が認められる前からAさんの勤務先に連絡し、Aさんの置かれている立場やAさんが社会復帰した際には職場に戻りたいと考えていることを説明しました。
また、Aさんの保釈が認められたのちはAさんと一緒に職場に行き、Aさんの裁判で執行猶予判決を宣告された場合には雇用し続けてくれると言っていただきました。
裁判では、所持していた大麻がAさんの自己使用目的であり他人に渡したり言わずもがな売ったりはしていなかったこと、Aさんが反省していて家族のサポートが見込まれることに加え、Aさんには以降も雇い続けてくれる会社があることを説明し、社会内処遇で更生が見込まれることを主張した結果、Aさんは執行猶予付きの判決を言い渡されました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【大麻栽培の罪】

大麻取締法24条
1項 大麻を、みだりに、栽培し、本邦若しくは外国に輸入し、又は本邦若しくは外国から輸出した者は、7年以下の懲役に処する。
2項 営利の目的で前項の罪を犯した者は、10年以下の懲役に処し、又は情状により10年以下の懲役及び300万円以下の罰金に処する。

今回のAさんの場合、同法24条1項の単純所持(自己使用目的での所持)が問題となっていました。
しかし、栽培していた量が多かったため、捜査機関からは同条2項の営利目的での大麻栽培を疑われ、厳しい取調べが行われました。

【社会復帰をサポートして執行猶予判決を獲得】

刑事事件を起こして逮捕・勾留された場合、報道されたり、捜査機関から身元確認などで連絡が行ったりするほか、勾留のため会社に連絡ができないことで事件の説明をせざるをえなくなる等の理由で、職場に発覚するおそれがあります。
当然、逮捕=解雇ということはあり得ませんが、有罪判決を受けた場合などでは就業規則などに基づき処分される可能性があり、また、同僚に前科があることを知られ自ら職を辞する方もおられます。
しかし、多くの方は裁判後に、あるいは服役を終えたのちに、社会復帰をすることになります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部では、裁判での結果はもちろんのこと、裁判の後の生活をも考えての弁護活動を行っています。
今回の事例では、依頼後すぐにAさんの勤務先に連絡して、執行猶予付きの判決を言い渡された場合にはその後も雇用して頂けるよう交渉しました。
また、Aさんが保釈された後は、Aさんと一緒に勤務先に行き謝罪に同席したほか、刑事裁判では法廷に立っていただき情状証人としてAさんの社会復帰をサポートしてくださることを主張しました。

このように、刑事裁判ではただ罪についてのみ話をするのではなく、被告人のその後の社会復帰をサポートし、社会内処遇の可能性を探っていく必要があります。
東京都大田区にて、家族が大麻栽培の嫌疑で逮捕・勾留されていて、社会復帰や執行猶予の可能性について知りたいという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部の初回接見サービス(有料)をご利用ください。

【解決事例】覚醒剤の再犯事件で一部執行猶予②

2022-09-09

【解決事例】覚醒剤の再犯事件で一部執行猶予②

過去に覚醒剤を使用した罪で有罪判決を受けたものの再犯により逮捕され、実刑判決を受けたものの一部執行猶予が獲得できたという事案について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説いたします。

【事例】

東京都港区在住のAさんは、港区内の会社に勤める会社員です。
Aさんは本件事件の5年ほど前に覚醒剤を使用したという覚醒剤取締法違反事件で懲役1年6月執行猶予3年という「全部執行猶予付きの有罪判決」を受けていました。
しかし、その後も覚醒剤の使用を止めることができなかったAさんは、覚醒剤を使用し乍ら生活をしていたところ、事件当日の深夜に港区六本木を歩いていたところで港区内を管轄する麻布警察署の警察官による職務質問を受け、その際に採尿を求められ、Aさんが応じたところ尿から覚醒剤の成分が検出されたため逮捕されたという事案でした。

Aさんは執行猶予期間が明けてから2年ほどしか経っていなかったということもあり、Aさんの家族は減刑を求め弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部の初回接見サービスを利用した後、依頼してくださいました。
弁護士は、Aさんが罪を認めたうえで、現在は反省していること、再犯防止のため家族の監督体制が整っていることや依存症と向き合うため専門医に受診し始めたこと等を主張した結果、Aさんに対しては実刑判決ではあるものの一部執行猶予が付いた判決を言い渡されることとなりました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【覚醒剤使用の罪】

≪前回のブログをご覧ください。≫

【再犯事件の刑事罰】

≪前回のブログをご覧ください。≫

【一部執行猶予について】

執行猶予という言葉は、多くの方がご存知かと思いますが、改めて検討します。

執行猶予とは、刑事裁判において被告人は有罪ではあるが、事情を踏まえて刑の執行を猶予するというものです。
たとえば懲役3年執行猶予5年の判決が宣告された場合、
・本来であれば被告人は刑事収容施設(いわゆる刑務所)に3年間服役する必要があるが、
・一定以下の刑の宣告については、情状により刑の執行を猶予することができる
とされています。

但し、執行猶予期間中に再犯事件を起こし一定以上の刑に処された場合や、執行猶予と併せて保護観察が言い渡された場合に遵守事項を守らなかった場合等の際は、執行猶予は取り消され、服役することになる場合があります。
そのため、上記例で判決が言い渡された4年後に再犯事件で懲役2年の判決が言い渡された場合、被告人は2年+3年で5年間、刑事収容施設に収容されることになります。

一般的に執行猶予というと、上記のような「刑の全部の執行猶予」を指します。(刑法25条~同27条等)
そのほかに、平成25年6月に改正され、平成28年6月から施行された改正刑法では、「刑の一部執行猶予」という手続きが新設されています。
刑の一部執行猶予とは、実刑判決により服役する必要はあるが、服役する期間の一部についてはその執行を猶予し、執行猶予期間中に再犯等がなければその一部は執行されないというものです。
例えば、「被告人を懲役3年の刑に処する。その刑の一部である懲役6月の失効を4年間猶予し、その猶予の期間中被告人を保護観察に付する。」という判決が言い渡された場合、
・2年6ヶ月は刑事収容施設で服役する
・6ヶ月は刑の執行が猶予されるため、4年間再犯などで執行猶予取消しがなければ服役は不要
ということになります。
なお、覚醒剤を含む薬物使用等の罪で再犯事件を起こし一部執行猶予を宣告された場合、保護観察が付されることになります。

薬物使用等の罪で再犯防止を求めるためには、ただ刑事収容施設で懲役刑や禁錮刑といった刑に服するのでは不十分であり、長期的な医療や保健福祉機関の専門的な支援が必要不可欠です。
一部執行猶予判決を求めることで、少しでも早く社会復帰し、専門的な支援を依頼することが必要です。

但し、上記の手続きはあくまで数字上のものであり、実際の手続きでは未決勾留期間の算入仮釈放などの手続きが用意されているため、刑期全日を刑事収容施設で生活するというわけではありません。
実際に刑事罰が科された場合にどれほどの期間収容されるのかについては、事件によって異なりますので、刑事事件専門の弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、覚醒剤をはじめとした薬物使用等の罪で再犯した場合の弁護活動に対応しています。
東京都港区にて、覚醒剤使用の前科がある家族が再犯により逮捕・勾留されていて、一部執行猶予判決を求める弁護活動について知りたいという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部の初回接見サービスをご利用ください。(有料)
刑事事件を専門とする弁護士が接見を行い、事件の詳細や弁解録取・取調べでの供述内容を確認したうえで、一部執行猶予判決の獲得可能性などについて丁寧にご説明いたします。

【解決事例】覚醒剤の再犯事件で一部執行猶予①

2022-09-06

【解決事例】覚醒剤の再犯事件で一部執行猶予①

過去に覚醒剤を使用した罪で有罪判決を受けたものの再犯により逮捕され、実刑判決を受けたものの一部執行猶予が獲得できたという事案について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説いたします。

【事例】

東京都港区在住のAさんは、港区内の会社に勤める会社員です。
Aさんは本件事件の5年ほど前に覚醒剤を使用したという覚醒剤取締法違反事件で懲役1年6月執行猶予3年という「全部執行猶予付きの有罪判決」を受けていました。
しかし、その後も覚醒剤の使用を止めることができなかったAさんは、覚醒剤を使用し乍ら生活をしていたところ、事件当日の深夜に港区六本木を歩いていたところで港区内を管轄する麻布警察署の警察官による職務質問を受け、その際に採尿を求められ、Aさんが応じたところ尿から覚醒剤の成分が検出されたため逮捕されたという事案でした。

Aさんは執行猶予期間が明けてから2年ほどしか経っていなかったということもあり、Aさんの家族は減刑を求め弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部の初回接見サービスを利用した後、依頼してくださいました。
弁護士は、Aさんが罪を認めたうえで、現在は反省していること、再犯防止のため家族の監督体制が整っていることや依存症と向き合うため専門医に受診し始めたこと等を主張した結果、Aさんに対しては実刑判決ではあるものの一部執行猶予が付いた判決を言い渡されることとなりました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【覚醒剤使用の罪】

ご案内のとおり、覚醒剤と呼ばれる薬物は我が国における法禁物であり、その所持や使用が制限されています。
使用の罪については覚醒剤取締法19条により、医師により処方された方などでなければ、覚醒剤を使用することが出来ないとされています。
該当する条文は以下のとおりです。

覚醒剤取締法19条 次に掲げる場合のほかは、何人も、覚醒剤を使用してはならない。
1号 覚醒剤製造業者が製造のため使用する場合
2号 覚醒剤施用機関において診療に従事する医師又は覚醒剤研究者が施用する場合
3号 覚醒剤研究者が研究のため使用する場合
4号 覚醒剤施用機関において診療に従事する医師又は覚醒剤研究者から施用のため交付を受けた者が施用する場合
5号 法令に基づいてする行為につき使用する場合

同法41条の3第1項 次の各号の一に該当する者は、10年以下の懲役に処する。
1号 第十九条(使用の禁止)の規定に違反した者

【再犯事件の刑事罰】

刑事事件を起こし検察官により起訴された場合、刑事裁判に発展します。
刑事裁判が行われた場合、最終的に裁判官は被告人に対し有罪か無罪か、有罪であればどのような刑事罰を科すか、言い渡します。
有罪判決を受けた場合、俗にいう前科という扱いになります。

前科がある人が再度事件を起こした場合、俗に再犯事件と呼ばれ、前科がない人に比べて厳しい刑事罰が科せられる場合が一般的です。
執行猶予中の再犯事件では、原則として執行猶予が取消され、前回の裁判で受けた判決+今回の判決が科せられることになります。

Aさんの場合、執行猶予中ではなかったとはいえ、5年前に懲役1年6月執行猶予3年の有罪判決を受けたばかりでした。
前刑の執行猶予が明けてから2年ほどしか経っておらず、同種の事案ということもあり、当初より厳しい刑事罰が言い渡される事案であることは明らかでした。

【一部執行猶予について】

≪次回のブログに続きます≫

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、覚醒剤をはじめとした薬物使用等の罪で再犯した場合の弁護活動に対応しています。
東京都港区にて、覚醒剤使用の前科がある家族が再犯により逮捕・勾留されていて、一部執行猶予判決を求める弁護活動について知りたいという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部の初回接見サービスをご利用ください。(有料)
刑事事件を専門とする弁護士が接見を行い、事件の詳細や弁解録取・取調べでの供述内容を確認したうえで、一部執行猶予判決の獲得可能性などについて丁寧にご説明いたします。

【解決事例】大麻所持再犯で執行猶予判決

2022-04-12

【解決事例】大麻所持再犯で執行猶予判決

大麻所持事件で過去に有罪判決を受けた方が、再犯で逮捕されたものの執行猶予判決を受けたという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。

【事例】
東京都新宿区西早稲田在住のAさんは、10年近く前に大麻取締法違反で執行猶予付きの有罪判決を受けたことがありました。
しかし、事件当日、新宿区西早稲田を管轄する警視庁戸塚警察署の警察官による職務質問を受け、Aさんの大麻所持が発覚してしまい、Aさんは大麻取締法違反で現行犯逮捕されました。

≪守秘義務・個人情報保護の観点から、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【大麻所持の罰条】

我が国では、大麻取扱者を除き大麻を所持することが禁止されています。
大麻を所持していた場合には大麻取締法違反にあたり、
・他人に売るなどして営利を目的としていた場合には「7年以下の懲役/7年以下の懲役及び200万円以下の罰金
・上記以外の場合で、自分で使用することを目的としていた場合などには「5年以下の懲役
に処せられます。(大麻取締法24条の2第1項、同第2項)

【大麻所持事件での弁護活動】

大麻所持事件の場合、大麻を所持している認識があったのか、なかったのかにより、弁護活動が異なります。
今回のAさんの場合は、職務質問とその際の所持品検査で大麻が出てきていて、Aさん自身も所持を認めていたため、事案に争いはありませんでした。
大麻所持事件の場合は量が少なく認めていた場合には執行猶予付有罪判決を受ける場合が少なくありません。
しかし、Aさんの場合、過去に同種事案での前科があり、有罪判決を受けて10年未満での犯行でしたので、厳しい刑事処罰を受ける可能性が否定できませんでした。

~接見禁止の一部解除~
Aさんは勾留された際、家族であっても面会ができない「接見禁止決定」が下されていました。
しかし、Aさんが更生する為には家族の協力が不可欠であり、将来を見据えた話し合いをする必要があることから、弁護人はすぐに接見禁止の一部解除を申立て、証拠隠滅などを手助けする恐れがない家族については、面会が出来るよう求めました。
接見禁止の一部解除はすぐに発動され、依頼を受けた2日後に家族はAさんの面会が許されました。

~保釈請求~
刑事訴訟法上、前科の有無がすぐに刑事手続きに影響を及ぼすわけではありません。
しかし、前科があって今回の事件で実刑判決を受ける恐れがある事件では、実刑判決による収監を恐れて逃亡する恐れが否定できないなどの理由で保釈に慎重になる可能性がありました。
弁護人は、予め家族と打合せをして、Aさんが逃亡する意思がないことを確認するとともに、監督する者としてAさんが逃亡できないような環境づくりに協力して頂きました。
そして、Aさんが起訴された当日に保釈請求書を裁判所に提出し、裁判官に対して書類・口頭でAさんの逃亡のおそれがないことや証拠隠滅の意思がないことを主張した結果、起訴された次の日には保釈が許可され、即日保釈金を納付しAさんは手続き上最速で拘束を解かれることとなりました。

~刑事裁判~
保釈が認められた場合でも、Aさんは裁判を受けることに変わりありません。
弁護人は、保釈された直後のAさんに、薬物依存症のおそれがあるとして専門家による診断・受診の必要性を説明し、専門の治療施設を紹介しました。
Aさんの保釈後の決意と行動、家族のサポート体制などを踏まえ、弁護人はAさんが反省していて二度とこのような事件を起こさないよう努力している状況について被告人質問や情状証人で証言してもらい、その内容を弁論で主張した結果、Aさんは執行猶予付きの判決を受けることに成功しました。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は、これまでに大麻所持などの薬物事件を多数経験してきました。
特に再犯事件の場合、実刑になる恐れがあるだけでなく、社会復帰後も見据えて薬物依存症と向き合うなどの対策は必要不可欠です。
薬物の再犯事件では、薬物事件の弁護経験が豊富な弁護士に弁護活動を依頼することをお勧めします。

東京都新宿区西早稲田にて、過去に大麻所持で有罪判決を受けた方が再犯事件で逮捕されてしまい、執行猶予判決を獲得できるか知りたいという場合、すぐに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御連絡ください。

大麻事件で逮捕,薬物事件で18歳,19歳も懲役刑になる?!

2022-03-10

大麻事件で逮捕,薬物事件で18歳,19歳も懲役刑になる?!

少年を含む若者の大麻事件と、改正少年法について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。

・事例
専門大学生のXさん(19歳)は,学校の友達と深夜,渋谷区内で遊んだ際に友達の1人から「良いところあるから寄っていこうぜ」と誘われました。
Xさんは友達について行ってあるマンションに入りましたが,実はそこは,大麻を回し吸いする現場でした。Xさんは友達から「体に悪くないから」と言われたこともあり,一口大麻を吸ってしまいました。また,その場にいた人から「あげるよ」と言われて,大麻タバコを一本貰ってしまいます。
帰り道,Xさんは渋谷区内の路上で歩いていたところ渋谷警察署の警察官から職務質問を受けて,大麻タバコの所持を発見され,大麻取締法違反によって現行犯逮捕されてしまいました。これからどうなるのでしょうか。

≪ケースは全てフィクションです。≫

・若者の間で蔓延する大麻

若い世代での大麻関連の事件が増加しているとの報道が相次いでいます。
「若者に広まる大麻,上半期の摘発2554人 最年少は14歳」朝日新聞デジタル
警察庁の統計によると,2020年に警察が大麻事件で摘発した人のうち,約7割が20代以下の若い世代であったということです。
SNS等を通じて,若い世代の間で「大麻はタバコやお酒よりも安全」「大麻は覚醒剤と違って依存もしない」というような情報が出回っており,大麻に対するハードルが下がっていることが要因の様です。
大麻については言説が様々ありますが,現在の日本では,大麻の所持や譲渡はれっきとした犯罪であり,5年以下の懲役が科せられる可能性があります。

・未成年の大麻事件

2022年(令和4年)4月1日から,少年法が改正されて,18歳19歳は「特定少年」という,少年法の中でも少し変わった立ち位置になります。民法の成人年齢が引き下げられたことにも関連して,18歳,19歳の人については,これまでよりも刑事責任を問いやすくなった,つまり,これまでと違って大人としての責任を問われやすくなったのです。
具体的には,18歳19歳の人がした犯罪については,逆送といって,少年法による「保護」ではなく,他の成人と同じ刑事裁判の手続きに付する事件が広がりました。
Xさんのような大麻取締法違反(単純所持)については,全て逆送されるわけではありませんが,薬物犯罪の場合は初犯であっても起訴猶予になりにくいものです。18歳や19歳の薬物事件についても「ここで一度お灸をすえておかなければならない」と考えて少年事件ではなく刑事事件に扱うために逆送決定がなされる可能性があります。

・逆送決定とは?

逆送決定とは,少年事件を受理した家庭裁判所が,少年事件として扱わず検察官に事件を送り返すことを言います。
本来,20歳未満の人の犯罪については少年事件として扱い,「今後更生するためにはどうすればいいか」という少年審判が開かれます。
しかし,「更生だけではなく,やったことへの責任をきちんと取らせるべきだ」という事件に対して,家庭裁判所は事件を検察官に逆送します。逆送がなされると,検察官は再度,犯罪についての捜査を行い,当該犯罪について証拠が十分にあると考えれば大人と同じように起訴をします。起訴され,証拠によって事実が認められれば大人と同じような懲役刑が科せられる可能性があります。
Xさんの事件についても,家庭裁判所から検察官へ逆送され,大人と同じ刑事裁判で裁かれてしまう可能性があるのです。

・未成年の薬物事件は早急に弁護士へ相談

18歳19歳のご家族が薬物事件で逮捕されてしまったという場合には,早急に刑事事件,少年事件に強い弁護士に相談しましょう。
2022年4月1日以降,18歳19歳の方の事件というのは,他の少年事件と比べると刑事裁判によって,懲役刑を受ける可能性が高まったといえます。
懲役刑のリスクを少しでも下げるためには,逆送されないための弁護活動が重要です。逮捕された直後から本人や家族の話を聞いたり,弁護士が様々な働きかけをしたりして,本人や生活環境の問題点をあぶり出すことで「本人に必要なのは刑罰ではない」と主張していくことで,最終的に逆送決定を避けることができます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、大麻所持のような薬物事件の弁護活動を数多く経験してきました。
東京都渋谷区にて、ご家族やご子息が薬物事件で逮捕されてしまったという方は,刑事事件,少年事件に特化した弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部へご相談ください。

偽造処方せんで向精神薬を取得し逮捕

2022-01-14

偽造処方せんで向精神薬を取得し逮捕

偽造した処方せんを使用し向精神薬を取得した事件を題材にして、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が刑事弁護活動等について解説いたします。

事例

東京都北区在住のAは、北区内にある民間の病院を受診した際に、医師から処方せんの交付を受けました。
Aは、この処方せんをカラーコピー機で偽造した上で、偽造した処方せんを使用し複数の薬局において薬剤師から向精神薬を購入しました。
東京都北区を管轄する滝野川警察署の警察官は、Aを麻薬及び向精神薬取締法等の疑いで逮捕しました(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。

~偽造した処方せんを行使して向精神薬を取得~

Aの行為には、後述するとおり私文書偽造罪や詐欺罪といった刑法犯が成立する可能性があります。
もっとも、上記行為は薬物に関する取締り規定にも反し得るという点を見落としがちです。
この点、麻薬及び向精神薬取締法は、業者のみならず個人に対しても、処方せんの偽造行為に関する処罰規定を置いています。

麻薬及び向精神薬取締法
第七十二条 次の各号の一に該当する者は、二十万円以下の罰金に処する。
一~三(略)
四 向精神薬処方せんを偽造し、又は変造した者

すなわち、上記規定により、Aの偽造行為は刑法犯のみならず、同法による処罰対象となるのです。
したがって、Aが処方せんを偽造した行為には、特別刑法犯として麻薬及び向精神薬取締法72条4号に反するものということができます。

そして、上述したようにさらに重い罪として刑法上の犯罪も成立しうることにも注意が必要です。
まず、Aが処方せんをカラーコピー機で偽造した行為には、上記麻薬及び向精神薬取締法違反に加えて、刑法159条1項の私文書偽造罪が成立することになるでしょう。
そして、かかる偽造した処方せんを行使したことについて、偽造私文書行使罪(刑法161条1項)が成立します。
さらに、Aはこの偽造した処方せんを提示して、薬剤師の所属する薬局から「財物」たる向精神薬をだまし取っていることから、刑法246条1項の詐欺罪も成立することになります。
文書偽造に関しては「三月以上五年以下の懲役」、詐欺については「十年以下の懲役」とより重い法定刑が定められていることに注意が必要です。

~刑事弁護士による弁護活動のメリット~

逮捕されてしまうと、被疑者(容疑者)は、密室である取調室において捜査のプロである取調官と対峙しなければなりません。
また、捜査のプロであるといっても、違法不当な捜査や取調べを行わないとは限らない点に注意が必要です。
したがって、弁護士と早期に面会(弁護士には逮捕された方と立会人なしで面会できる法律上の特権を有します)するなどして、取調べ対応等について適切なアドバイスを受ける必要があります。
さらに、弁護士は面会において、被疑者(容疑者)自身の言い分をしっかり聞き取ることが可能です。
あくまで捜査側に立つ取調官は取調べにおいて、被疑者(容疑者)の言い分を十分に聞いてくれるとは限らず、この点に関しても弁護士との面会は重要性を有します。
また、逮捕されてしまうと、隔離された空間で孤立してしまうことから精神的な負担も少なくありません。
このようなメンタルケアの観点からも、定期的な弁護士との面会は重要といえるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、薬物事件を含む刑事事件を専門とする法律事務所です。
刑事事件の対象は刑法犯のみならず特別刑法犯など多岐に渡るため、刑事弁護士の専門知識と経験が不可欠となります。
東京都北区にて、麻薬及び向精神薬取締法事件等で逮捕された方のご家族は、年中無休のフリーダイヤル(0120-631-881)にご連絡ください。

大麻を実際に持っていなくても逮捕?

2021-10-11

大麻を実際に持っていなくても逮捕?

大麻を所持していた場合に問題となる罪と、実際に持っていたのは別の者だったにも拘らず「共同所持」として逮捕される場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都渋谷区在住のAは、渋谷区内の飲食店で経営者をしています。
Aには一緒に夜遊びをする友人Xがいて、Xの車で遊びに出かけることが多く、そのうちXが持っていた大麻を一緒に吸引していました。
ある日、AはXが運転する車に同乗して遊びに出かけていたところ、渋谷区内を管轄する渋谷警察署の警察官がAらの職務質問が行い、それに付随する所持品検査の過程でXの車から大麻片が見つかりました。
Xは警察官に対して「この車は自分の車で、大麻は俺のものだ」と言いましたが、警察官はAとXの二人を大麻取締法違反で逮捕しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【大麻の所持について】

昨今、大麻の使用罪の新設や医療大麻の解禁など、大麻取締法についての議論が活発化しています。
現状、我が国では医療大麻を含め、大麻の所持や栽培、輸出入といった行為を禁止しています。
ケースの場合は、大麻を所持していたことが問題となります。
条文は以下のとおりです。
大麻取締法24条の2第1項 大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、五年以下の懲役に処する。

【大麻の共同所持について】

・共同所持とは?
ケースのAについては、直接大麻を所持していたわけではありません。
しかし、大麻の共同所持で逮捕されています。
共同所持した場合の条文は設けられていませんが、判例は覚醒剤の共同所持について、「必ずしも覚せい剤を物理的に把持することは 必要でなく、その存在を認識してこれを管理しうる状態にあるをもつて足りると解すべきである。」であると示しています。(昭和30年(あ)第300号)
つまり、①大麻がそこにあることを認識していて、②自分自身で使ったり捨てたりすることなどが出来る状態にある、という場合には、直接所持していない者に対しても「共同所持」していたとして大麻取締法違反と評価されます。

・共同所持の裏付け捜査は?
とはいえ、車に大麻片があったからといって、すぐに大麻の共同所持が認められるわけではありません。
まずは、各々に大麻を使用したか、持っていたか、誰かが大麻を持っていることを知っていたか確認します。
次に、客観的に大麻共同所持の裏付けをとる方法として、共同所持が疑われる被疑者の尿検査や、大麻片が入っていたビニール袋・吸引器具等に付着した指紋の有無、スマートフォン等の履歴に薬物に関するやり取りが残っているか、といった裏付け捜査が行われると考えられます。

【尿検査を拒否したら?】

大麻共同所持が疑われている場合に、捜査官はまずは関係者全員に任意で尿を出すよう求めます。
任意で尿を提出された場合、簡易検査を行えばすぐに検査結果が出るため、その結果次第で逮捕するかどうかの判断を下すと考えられます。
他方で、任意で尿を出さなかった場合、「犯罪の捜査上真にやむをえないと認められる場合には、最終的手段として」強制採尿が行われます。
強制採尿は警察病院で行われる強制捜査の一種で、警察官が複数人で身体を抑え、陰部にカテーテルと呼ばれる管を差し込む方法で尿を出します。

【家族が大麻の共同所持で逮捕された弁護士へ】

ここまで説明したとおり、大麻共同所持が疑われている場合には供述や尿の簡易検査の結果次第ではその場で逮捕されることもあります。
逮捕された場合、被疑者自身は逮捕後すぐに一度限り呼ぶことができる当番弁護士と、勾留決定後に選任できる国選弁護人のいずれかしか選ぶことができません。
なお、国選弁護人については、資力の要件を満たさない方(一定以上の預金があって私選弁護人を付けることができる方)については選任されません。
御家族が逮捕されて刑事事件・少年事件専門の弁護士に依頼をしたいとお考えの場合、自由に連絡がとれる御家族の方が弁護士に依頼をする必要があります。
東京都渋谷区にて、御家族が大麻共同所持を疑われて逮捕されている場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御連絡ください。
まずは弁護士が初回接見に行き、逮捕・勾留されている御家族からお話を聞いたうえで事実関係や今後の見通しについて御説明します。

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