男女トラブルから発展した刑事事件についての2回目は、ストーカー規制法の刑事手続について解説します。
今回の事件で、Aさんの行為がストーカー規制法に当たることは説明するまでもありません。
さてここで気になるのが、もしAさんの元交際相手が警察に被害を訴えた場合、どの様な手続きになるかです。
~ストーカー規制法の手続き~
想定される警察の手続きは
①警告
②禁止命令
③刑事手続き(逮捕等)
です。
①悪質でない場合や、緊急性のない場合については、禁止命令や刑事手続きが取られる前に、まず警告されます。
通常であれば、警察署に呼び出されたり、警察官からストーカー行為者に電話がかかってきて。行為者が警告を受けることになります。
②もし警告に従わなかったり、緊急性がある場合は、公安委員会から禁止命令が発せられます。
通常、禁止命令が発せられる前に、聴聞会が開かれて弁解を聞いてもらう事ができますが、緊急性がある場合は、事前の警告や、聴聞会がないまま急に禁止命令が発せられることもあります。
③被害者がストーカー行為者に対して刑事罰を希望した場合や、ストーカー行為が悪質で、逮捕の必要がある場合は、警告や、禁止命令が発せられることなく、ストーカー行為罪として逮捕されたり、警察署に呼び出されて取調べを受けることになります。
ストーカー行為罪はこれまで親告罪でしたが、法改正によって非親告罪となったので、被害者の処罰感情にかかわらず、警察の判断で刑事手続きが進められます。
その様な背景から、法改正後は、ストーカー行為罪での逮捕件数が増加傾向にあり、悪質なストーカー行為については、警告や禁止命令の前に刑事手続きが進められています。
最近は、警察が悪質なストーカー事件を認知すると、まず行為者が逮捕され、その逮捕、勾留期間中に禁止命令の手続きが進んで、禁止命令が発せられる傾向があります。
~ストーカー禁止法の刑事罰~
ストーカー行為罪については「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」の法定刑が定められています。
またストーカー行為にかかる禁止命令違反については「2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金」の法定刑が定められています。
2日間にわたってストーカー規制法違反について解説しました。
3回目の明日は「リベンジポルノ防止法違反」について解説します。
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