【解決事例】少年の痴漢事件で不処分

【解決事例】少年の痴漢事件で不処分

20歳未満の少年痴漢の嫌疑をかけられたものの、審判で不処分を獲得したという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説いたします。

【事例】

東京都港区赤坂在住のAさんは、都内の学校に通う高校1年生です。
事件当日、Aさんは港区内を走行している満員列車に乗車していたところ、目の前に立っていた女性から「触ったでしょう」と言われ、車内から降ろされました。
その後、駅員による通報を受けて臨場した港区内を管轄する赤坂警察署の警察官は、Aさんを痴漢事件で在宅捜査することにしました。

Aさんの家族が当事務所の無料相談を受けた時点で、既にAさんは捜査機関による捜査が終了し、家庭裁判所に送致されていました。
そこで、無料相談後に依頼を受けた弁護士は、家庭裁判所に行き捜査機関で作成された証拠を閲覧しました。
次に、Aさんと保護者から別々に時間をかけて話を聞き、今回嫌疑をかけられている内容(被疑事実)についてどう考えているのか、また、今後このような嫌疑をかけられないためにはどうすれば良いのか、それぞれの考えを聞きました。
結果として弁護士としては家庭環境に改善すべき点があると考え、AさんとAさんの保護者に対し、今一度家庭環境を見直し、Aさんの将来に向けた生活や考え方についてのアドバイスを行いました。

家庭裁判所の裁判官は、AさんやAさんの家族に家庭環境の改善がみられることや、Aさんの将来について深く真剣に考えていることなどを考慮し、Aさんには保護処分を課す必要はないと考え、Aさんを不処分としました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【痴漢事件について】

公共の施設や場所、乗り物などで他人の尻や太ももなどに触る等の行為は、俗に痴漢と呼ばれ、各都道府県議会が定める「条例」によって禁止され、処罰されます。
今回の事案で、Aさんは東京都港区を走行中の列車内で痴漢行為の嫌疑をかけられたことから、東京都の定める「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」が問題となります。
該当する条文は以下のとおりです。

条例第5条1項 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
1号 公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。

【不処分に向けた弁護活動】

20歳以上の成人が起こした刑事事件と、20歳未満の少年が起こした少年事件とでは、捜査が行われた後の手続きが異なります。
成人の刑事事件については、担当検察官が被疑者を起訴するかどうか検討し、起訴された場合には刑事裁判に発展し裁判官による判決宣告が行われます。
宣告される判決には、「死刑」「懲役」「禁錮」「罰金」「拘留」「科料」及び「没取」があります。

少年事件の場合、捜査を行った検察官は事件を家庭裁判所に送致します。
家庭裁判所の裁判官は家庭裁判所調査官に調査命令を下し、調査官は心理学や社会学、社会福祉学などの観点から調査を行います。
調査結果を踏まえ、裁判官は審判を行うか否かの判断を下します。
審判が必要であると判断した場合には審判開始決定、審判が不要であると判断した場合には審判不開始決定、一定の重大犯罪や手続き中に20歳の誕生部を迎えた場合には検察官送致(いわゆる逆送)の決定を下します。

審判が行われた場合、裁判官は事件の内容だけでなく少年の要保護性が重要になります。
要保護性とは、少年に対し少年司法が保護する必要があるかどうか、ということです。
例えば、罪としては比較的軽微な事案であっても、このまま保護処分を課さなければ再び犯罪を起こしたり非行に走ったりする可能性が高いという場合には、保護処分が課されます。
保護処分には、「少年院送致」「児童自立支援施設長送致」「児童相談所長送致」「保護観察処分」があります。

今回のAさんについては、家庭裁判所送致後のAさんの反省や家族の監督体制の改善などが見込まれ、裁判官はAさんに対して「少年司法が保護処分を課す必要はない」と判断したため、保護処分を課さない「不処分」という結果になりました。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件だけでなく、少年事件も取り扱っていて、数多くの実績があります。
東京都港区赤坂にて、20歳未満のお子さんが痴漢の嫌疑をかけられ、不処分などを求める弁護活動・付添人活動について知りたいという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部の無料相談をご利用ください。
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