【解決事例】業務上横領罪による刑事事件を示談で不起訴|横領罪の種類や窃盗・背任罪との違い

【解決事例】業務上横領罪による刑事事件を示談で不起訴|横領罪の種類や窃盗・背任罪との違い

業務上横領罪 示談 不起訴

業務上横領罪の疑いで任意の取り調べを受けたが、示談の締結によって不起訴処分になった事案をもとに、横領罪とはどのような罪か、横領罪の種類や窃盗・背任罪との違いについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

【事例】

東京都在住の男性A(35)が、経理担当として勤務していた東京都新宿区内にある会社から現金を着服したとして、業務上横領罪の疑いで警視庁新宿警察署から任意の取り調べを受けました。

Aは、勤務先の会社の預貯金口座から約57万円を引き出し、着服した疑いです。
警察の取り調べに対し、Aは「借金の返済に充てた」と容疑を認めています。
(令和5年2月9日に掲載された「Yahoo!ニュース」記事の一部事実を変更したフィクションです。)

【横領罪とは】

横領罪とは、自己の占有する他人の物を横領することで成立する犯罪です。

横領罪とは広義的な意味であり、具体的には、単純横領罪(刑法第252条)業務上横領罪(刑法第253条)遺失物等横領罪(刑法第254条)の3種類に分けられます。

  • 刑法第252条(横領)
    自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。
     自己の物であっても、公務所から保管を命ぜられた場合において、これを横領した者も、前項と同様とする。
  • 刑法第253条(業務上横領)
    業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。
  • 刑法第254条(遺失物等横領)
    遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。

横領罪が成立するための要件として規定されている「自己の占有する他人の物」とは、自分が預かっているだけで本来は他人が所有している財物を指します。
例えば、友人から貸してもらっている本や、経理担当が会社から預かっているお金などが該当します。

また、横領罪は、財物を預かる人(受託者)と財物を預ける人(委託者)の間にある委託信頼関係に基づくことが必要です。
さらに、「横領」とは、「預かった財物を不法に自分の物にしよう」といった不法領得の意思」による行為であることが必要になります。

今回の刑事事件では、Aは経理担当として勤務していた会社の預貯金口座から約57万円を「借金の返済に充てよう」という不法領得の意思で着服しているので、業務上横領罪が成立するということになります。

【横領罪と窃盗・背任罪との違い】

刑法第235条に規定されている窃盗罪や刑法第247条に規定されている背任罪は、横領罪と似ている点があり混在しがちなので、ここで違いを解説します。

まず、窃盗罪と横領罪の違いは、他人の財物を領得する行為の際に他人の占有を侵害するかしないか」です。
「他人の占有を侵害する」場合は窃盗罪「他人の占有を侵害しない」場合は横領罪が成立します。
もう少しわかりやすく説明すると、領得しようとしている財物を「他人が持っている」か「自分が預かっている」かということです。

例えば、他人が持っているバッグなどを奪えば、他人が持っている(他人が占有している)財物を領得しているため、窃盗罪が成立します。
一方で、会社の経理担当が会社から預かっているお金などの財物を着服すれば、自分が預かっている(自分が占有している)財物を領得しているため、横領罪が成立します。

次に、背任罪と横領罪の違いは、委託者と受託者の間にある信頼関係を破って委託者に損害を与える行為の際に「どのような方法で損害を与えたか」です。
委託者の財物を勝手に処分(領得)する行為で損害を与えた場合は横領罪委託された職務に背いた行為で損害を与えた場合は背任罪が成立します。

例えば、友人から借りた本を勝手に売却すれば、委託者の財物を勝手に処分して委託者に損害を与えているため、横領罪が成立します。
一方で、販売担当している勤務先の会社で、会社が決めている値段よりも安い金額で商品を友人に売れば、委託された職務に背いた行為で委託者(会社)に損害を与えているため、背任罪が成立します。

【横領罪の刑事弁護活動】

今回の刑事事件では、Aは被害者である会社と示談を締結できたこともあり、結果として不起訴処分が下されて裁判にかけられないことになりました。
ただ、Aと会社が示談締結できたことは、Aが事前に刑事事件専門の弁護士に依頼して、弁護士が会社に対して示談交渉をしていたことが大きく影響しています。

当事者間では、加害者に対する怒りなどを理由に被害者は示談に応じてくれないことがほとんどです。
弁護士が介入することで示談交渉を円滑に進めることができるので、横領罪で示談交渉をする際は弁護士に依頼することをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、横領罪による刑事事件で被害者との示談を締結して不起訴処分を獲得したり事件化を阻止した実績がある経験豊富な弁護士が在籍しています。

横領罪による刑事事件でお困りの方は、弊所が提供している初回無料の法律相談をご検討ください。

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