【解決事例】飲酒運転で人身事故

【解決事例】飲酒運転で人身事故

酒を飲んだ状態で運転したいわゆる飲酒運転をしてしまい人身事故を起こしたという事件での弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。

【事例】

東京都足立区在住のAさんは、足立区内の会社に勤める会社員です。
Aさんは事故の前日に飲酒した後、当日も運転の3時間前に飲酒をし、その後自動車を運転したところ、追突事故を起こしてしまいました。
目撃者がすぐに通報し、臨場した足立区内を管轄する千住警察署の警察官によってAさんの呼気検査が行われたところ、Aさんの呼気からは0.8mg/Lのアルコールが検知されました。
その後警察官はAさんの受け答えや歩行検査などを総合考慮し、Aさんを酒気帯び運転と人身事故(過失運転致傷)の罪で取調べ等をし、その後検察官送致しました。

Aさんは検察官からの取調べを受けた際、「この事件は酒気帯び運転ではなく酒酔い運転又は危険運転致傷罪の可能性も視野に捜査する」旨の説明と、厳しい口調での取調べを受けたことで、当事務所の弁護士による無料相談をお受けになりました。

なお、追突された乗用車を運転していたVさんは、むち打ち症状が見受けられましたが命に別状はありませんでした。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【飲酒運転での問題】

まず、お酒を飲んだあとに運転をしたいわゆる飲酒運転での問題について検討します。
飲酒運転の禁止については、以下のとおり規定されています。

道路交通法65条1項 何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。

よって、例えば呼気検査で0.01mg/Lのアルコールが検知されたとしても、運転することはできないことになります。
他方で、刑事事件にとしては、以下の「酒気帯び運転」「酒酔い運転」のいずれかに該当する場合となっています。

・酒気帯び運転(呼気中のアルコール濃度が0.15mg/L以上の場合)

道路交通法117条の2の2 次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
 3号 第65条(酒気帯び運転等の禁止)第1項の規定に違反して車両等…を運転した者で、その運転をした場合において身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあつたもの

・酒酔い運転(酩酊状態で、直進歩行ができない、受け答えができない、呼気中のアルコール濃度が極めて高い場合など)

同117条の2 次の各号のいずれかに該当する者は、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
1号 第65条(酒気帯び運転等の禁止)第1項の規定に違反して車両等を運転した者で、その運転をした場合において酒に酔つた状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいう。以下同じ。)にあつたもの

今回のAさんの事件では、警察官は「呼気検査は基準値の約5倍の数値が出たが、受け答えや歩行検査に問題がなかったため、酒酔い運転には問えず酒気帯び運転になるだろう」と判断した一方、送致を受けた検察官は「この数値で歩行検査や受け答えに問題がなかったというのは不自然であり酒酔い運転の可能性がある」と判断したと考えられます。

【飲酒運転と人身事故】

更にAさんは、運転している乗用車を別の乗用車に接触させてしまう事故を起こしてしまい、それによりVさんに怪我を負わせています。
人身事故により被害者に怪我を負わせた場合、まずは過失運転致傷罪の成立が検討されます。
条文は以下のとおりです。

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律5条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

一般的な人身事故については、この過失運転致傷罪が成立します。
但し、

今回の事件は飲酒運転での人身事故でした。
アルコールの影響下で運転して事故を起こした場合、より重い危険運転致死傷罪が成立します。
関連条文は以下の2条です。

同法2条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は15年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
1号 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為

同法3条1項 アルコール又は薬物の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、そのアルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を負傷させた者は12年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は15年以下の懲役に処する。

両者は違いが分かりにくいですが、人身事故を起こした際の状態が
正常な運転が困難な状態        :15年以下の懲役(同法2条1号)
正常な運転に支障が生じる恐れがある状態:12年以下の懲役(同法3条1項)
となっています。

とりわけ酒酔い運転と判断されるような状態で運転をして被害者を死傷させるような事故を起こした場合には、過失運転致傷罪ではなく、危険運転致傷罪の成立が検討されます。

今回のAさんについては、いわゆる酒に強い方で、呼気検査の数値は高いものでしたがそこまでの酩酊状態ではありませんでした。
結果的に、Aさんは過失運転致傷罪と酒気帯び運転の両罪で処分されました。
このうち過失運転致傷罪については、被害者がいる事件ですので、示談交渉を行いました。
Aさんは任意保険に加入していて、今回の事件でもVさんに対し補償がなされましたが、それとは別途謝罪と賠償を行い、刑事事件化を望まない旨の条項(宥恕条項)を設けた示談書を締結して頂きました。
最終的にAさんは、過失運転致傷罪については不起訴となり、酒気帯び運転については略式手続による罰金刑となりました。

東京都足立区にて、飲酒運転の状態で人身事故を起こしてしまい、酒気帯び運転・酒酔い運転・過失運転致傷罪・危険運転致死傷罪などで捜査を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部にご連絡ください。
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