警視庁杉並警察署の選挙違反事件

公職選挙法違反事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

◇事件◇

東京都杉並区に住むAさんは、工場で食品加工の仕事をしています。
昨夜は夜勤で徹夜仕事だったため、今日は朝方に帰宅して寝ていますが、寝始めてすぐに近所で街頭演説が始まり、その声で目が覚めてしまいました。
街頭演説は、来週に行われる杉並区議会議員選挙の候補者が行っているものでした。
最初は我慢していましたが、街頭演説が一時間以上にも及び、全く寝付けないことに苛立ったAさんは、演説会場に行き、そこで演説していた候補者に対して空き缶を投げつけたのです。
Aさんは、公職選挙法違反で現行犯逮捕され、事件はニュースで報道されてしまいました。
(この事件の内容はフィクションです)

◇公職選挙法違反◇

日本国内で行われる選挙を取り締まるための法律です。
この法律で規制される選挙(公職選挙)は、衆議院議員、参議院議員、地方公共団体の議会の議員、地方公共団体の長(都道府県知事や市町村長)を選出するための選挙です。
公職選挙法では、選挙制度や、公正に選挙が行われるための様々な決まりが定められれています。

◇選挙活動とは◇

公職選挙法では、選挙活動に対して様々なルールが定められていますが、そもそも公職選挙法で規制されている選挙活動(運動)とは、どのような活動なのでしょうか。
公職選挙法では、選挙については定義されていますが、その活動(運動)には定義がありません。
そのため最高裁で、確定した
1.特定の選挙において
2.特定の候補者を当選させるために
3.有権者に働きかける行為
が、選挙活動(運動)と定義付けられており、選挙活動が許される期間は、公示日(告示日)から選挙が行われる日の前日までです。
よく街角で見かける街頭演説でも、選挙活動(運動)と、そうでない政治活動がありますが、選挙期間中に「●月●日に選挙では●●党の●●に清き一票をお願いします。」といった内容を演説していた場合は選挙活動となります。

◇選挙の自由妨害違反◇

選挙の候補者や、選挙運動に従事する者等の選挙活動に対して、暴行若しくは威力を加えて妨害した場合は、選挙の自由妨害となります。
Aさんのように、街頭演説を行っている候補者に対して空き缶を投げつける行為は当然のこと、街中の掲示板(候補者掲示板)に掲示されている候補者の選挙ポスターを破ったりして損壊した場合も、公職選挙法の自由妨害違反となります。
最近では、候補者の選挙ポスターにシールを貼った男が公職選挙法違反で警察に逮捕されています。
選挙の自由妨害罪で起訴されて有罪が確定すれば「4年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金」です。
Aさんの様に、人に向かって空き缶を投げつけた場合、もし人に当たって怪我をすれば傷害罪が適用されますが、当たらなかった場合、暴行罪の適用にとどまります。
暴行罪の法定刑は「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」ですので、同じ行為であっても、公職選挙法違反が適用された場合は厳罰化されます。
更に、選挙前になると、選挙区を管轄する警察署には捜査本部が設立されます。
その期間中、選挙違反に対する取り締まりが強化されますので、自由妨害違反であっても警察に逮捕される可能性は、単純な暴行や、器物損壊事件よりも高くなるので、注意しなければなりません。

ご家族、ご友人が警視庁杉並警察署に逮捕されてしまった方、公職選挙法違反等の選挙違反事件のご相談は、刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回法律相談:無料
警視庁杉並警察署までの初回接見費用:35,200円

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