~事件~
土建業をしているAさんは、文京区の工事現場で、重機の操作を誤って他の作業員をケガさせてしまいました。
文京区を管轄する警視庁本富士警察署において、業務上過失傷害罪で取調べを受けているAさんは、過失犯に強い弁護士を探しています。
(※この事件はフィクションです)
1 業務上過失傷害罪
業務上過失傷害罪とは、業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させる事です。
業務上過失傷害罪で起訴された場合、5年以下の懲役若しくは禁固又は100万円以下の罰金が科せられます。
業務とは、人が社会生活上の地位に基づき反復継続して行う行為で、かつ、その行為が他人の生命、身体に危害を加えるおそれのあるものをいいます。
また業務は、主たる職業であることを要せず、本務であると兼務であるとを問いません。
業務上過失傷害罪の主体は、死傷の結果を惹起しやすい業務に従事する者です。
業務上過失傷害罪が成立するには、注意義務を怠った過失行為と死傷との間には因果関係がなければなりません。ただし、因果関係を具体的に予見できなくても、予見可能性が認められれば、過失犯として責任が問われるおそれがあります。
2 過失犯とは
過失犯とは、不注意によって結果発生の認識、認容を欠き、その状態で一定の作為、不作為を行って犯罪事実を実現する事です。
刑法では原則として故意犯を処罰する旨を規定していますが、過失傷害罪のように、特別の規定がある場合に限って過失犯も処罰を受ける事となります。
その過失犯の中でも、危険を伴う仕事をする者が、業務上の注意義務に違反したために、他の者の法益を侵害した時は、業務上の過失犯となります。
業務上過失傷害罪は
・業務者に特別な高度な注意義務が課せられている
・客観的な法益侵害が大きく、違法性が大きい
・業務者は、通常人よりも広く結果を予見する能力を有する
ために、通常の過失犯よりも重く処罰される規定があります。