GW中の出頭命令について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
まもなく平成が終わり、5月1日からは新たな元号を迎えます。
新天皇の即位に際し、今年のゴールデンウィーク(GW)は10連休となります。
年末、年始などに会社によっては10連休という長期休暇を経験された方はいるかもしれませんが、カレンダー上で10連休は、おそらく初めてのことではないでしょうか。
刑事事件を専門に扱っている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、このゴールデンウイーク中も休まず営業しており、首都圏の警察署に逮捕された方の初回接見にも対応いたします。
本日から始まったゴールデンウィーク中の刑事事件に関するご相談はフリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)まで、お気軽に科電話ください。
◇ゴールデンウィーク中に法律相談◇
東京都練馬区に住むAさんは、ゴールデンウィークを利用して妻と、2人の子供と一緒にドライブに出かけました。
その道中で、後方を走行する車にあおり運転をされたことに危険を感じたAさんは、赤信号で停止した際に、その車の運転手に注意しようとしましたが、その運転手は窓ガラスを閉めたままAさんの言うことを全く聞こうとしません。
そして、信号が青に変わると同時に、車を急発進させたのです。
Aさんは、思わず手に持っていたスマートフォンを相手の車に投げつけてしまい、車に命中させました。
そのまま、その車は走り去ってしまったので気を取り直して、Aさんは、その後のドライブを家族と楽しんだのですが、その翌日、Aさんの自宅に、警視庁光が丘警察署から電話がかかってきました。
警察官からは「Aさんの投げたスマートフォンが車に当たり、車が傷付いた。相手の運転手が器物損壊罪の被害届を提出したので、ゴールデンウィーク明けに警察署に出頭して欲しい。」と言われました。
Aさんは、警察署に出頭する前に弁護士に相談したく、ゴールデンウィーク中も法律相談を受けてくれる弁護士を探しています。
(フィクションです。)
◇器物損壊罪◇
他人の物を損壊した場合と、他人の動物を傷害した場合に器物損壊罪が成立します。
器物損壊罪は刑法第261条に規定された犯罪で、その法定刑は「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する」です。
器物損壊でいう「損壊」とは、物を物理的に壊すことは当然のこと、その物の効用を喪失させた場合にも「損壊」となります。
つまり、嫌がらせで物を隠すといった隠匿する行為についても、その物を使えなくしている点で効用を喪失させているので損壊に当たるのです。
今回の事件で、Aさんには、相手の車を壊す意思が明確にあるわけではありませんが、スマートフォンが車に当たれば車が傷付くことは容易に分かるでしょうから、Aさんが器物損壊の故意を否定するのは難しく、Aさんの行為は器物損壊罪に抵触するでしょう。
◇親告罪◇
器物損壊罪は親告罪です。
親告罪とは、告訴がなければ公訴を提起することができない犯罪で、親告罪には、告訴不可分の原則があります。
これは、共犯の1人または数人に対してした告訴または告訴の取消しは、他の共犯に対してもその効力を生じることです。
これを告訴の主観的不可分と言います。
また犯罪事実の一部に対してした告訴または告訴の取消しは、その全部について効力が生じます。
これを告訴の客観的不可分と言います。
◇弁護活動◇
親告罪には
・告訴がなければ起訴できない
・一度取消した告訴は、同じ事実で再び告訴できない
という決まりがあります。
そのため器物損壊罪のような親告罪の刑事弁護活動は、被害者との示談が最優先されます。
未だ被害者が告訴していない場合は、示談書の中で告訴しないことを約束してもらい、既に告訴してしまっている場合は、告訴を取消すことを約束してもらうのです。
そういった内容の示談を、起訴されるまでに締結することができれば、器物損壊罪のような親告罪で警察の捜査を受けていても、刑事罰が科せられることはありません。