車内での性行為で公然わいせつ罪に?
自動車の中などで性行為をするカーセックスと呼ばれる行為で問題となる公然わいせつ罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都大田区大森在住のAは、大田区大森にある会社に勤める会社員です。
Aには妻子がいましたが、会社内の同僚Xといわゆる不倫関係にありました。
Aは深夜にXと一緒に自家用自動車で大田区大森にあるコンビニエンスストアに行ってコンビニ前の駐車場に自動車を止めて買い物をしたのですが、帰宅前に一度営みをしようと考え、自動車内で性行為をするいわゆるカーセックスをしていました。
しかし、コンビニの店員は不自然に長く停車していた車に違和感を覚えてAの車を覗き込んだところ、性行為をしていることに気が付いたため、警察に通報しました。
臨場した大田区大森を管轄する大森警察署の警察官は、AとXに対して公然わいせつ罪にあたる可能性を説明し、任意で取り調べを受けることになりました。
≪ケースはすべてフィクションです。≫
【自動車内での性行為が公然わいせつ罪に?】
Aらはいわゆるカーセックスをしていました。
この場合に問題となる罪に、公然わいせつ罪が挙げられます。
条文は以下のとおりです。
刑法174条 公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
ケースについて見ると、実際にAらのカーセックスを目撃したのはコンビニ店員1人だけですので、「公然」というキーワードに違和感を覚える方もおられるかもしれません。
しかし、判例によると、公然とわいせつ罪のいう公然とは「不特定又は多数の人が認識することのできる状態」であることを指し、その可能性があれば足りるとしています。
つまり、実際に目撃した人がいない、あるいは1人などであったとしても、不特定又は多数の者から目撃される可能性がある場所でわいせつな行為をした場合には、公然わいせつ罪は成立するのです。
ケースについていうと、大田区大森という都心部のコンビニエンスストア前の駐車場を想定していますので、たとえ車内であったとはいえ性行為などのわいせつな行為をした場合には公然わいせつ罪が適用されると考えられます。
ちなみに、公然わいせつ罪の故意は「公然とわいせつな行為をすることを行為者が認識していることが必要」とされていて、露出魔のような意図的にわいせつなものを見せつけるような行為はもとより、不特定又は多数の者からみられるかもしれないという認識さえあれば、公然わいせつ罪の故意が認められ、罪が成立します。
【公然わいせつ罪には被害者がいない?】
公然わいせつ罪の場合、それ自体を目撃した目撃者がいる場合があります。
ケースについてはコンビニの店員がそれにあたります。
この者は被害者のように思えますが、厳密にいうと、いわゆる被害者には当たらないと言えます。
というのも、公然わいせつ罪の保護法益(その法律が制限を科すことで目的としている利益)は主として「性秩序ないし健全な性的風俗」とされていて、痴漢や強制わいせつ、強姦などの個人法益を目的としている罪とは区別して考えられているためです。
個人法益を目的としている痴漢などの事件で示談をすれば必ず不起訴になる、というわけではありませんが、実務上はその多くの事件で検察官は不起訴の判断を下します。
しかし、公然わいせつ罪のような社会的法益目撃者として示談交渉を行い、示談が成立したとしても、検察官が必ず不起訴にするという確証はありません。
弁護士としては、目撃者に御迷惑をかけたことでの謝罪・弁済をするだけでなく、事件を起こした原因を追究し、再犯防止のため必要に応じて心療内科を受診する、カウンセリングを受けるなどの対策を講じ、事件に真摯に向き合っていることをしっかりと主張していく必要があります。
東京都大田区大森にて、カーセックスと呼ばれる自動車内での性行為で公然わいせつ罪の捜査を受けているという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御連絡ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料相談が可能です。