【報道事例】ひったくり事件で問われる罪は?強盗罪が成立することも?
「ひったくり」という言葉を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。
ひったくりで問われる可能性がある罪はいくつかあります。
今回は、実際にひったくり事件で逮捕された報道事例をもとに、ひったくり事件で問われる可能性がある罪やひったくりで逮捕された後の流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が詳しく解説します。
【事例】
東京・渋谷区で高齢女性V(70)を狙ってひったくりをした疑いで、会社員の男性A(40)が逮捕された。
Aは先月23日夜、渋谷区代々木の路上で歩いていたVに後ろから近づき、スマートフォンなどが入ったポーチをひったくった疑いが持たれている。
警視庁によると、周辺の防犯カメラにはAが通行人を物色して女性の後をつける様子が映っていたという。
Aは調べに対し「身に覚えがありません」と容疑を否認しているという。
(※Yahoo!ニュース8月12日配信『高齢女性に後ろから近づき“ひったくり” 47歳会社員の男を逮捕 通行人を物色する姿が防犯カメラに 東京・渋谷区』の内容を一部変更して引用しています)
【ひったくりで成立する罪】
ひったくりで成立する可能性がある罪は、大きく窃盗罪と強盗罪の2つがあります。
まずは、刑法第235条で規定されている窃盗罪と、刑法第236条で規定されている強盗罪を確認しておきましょう。
- 刑法第235条(窃盗)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
- 刑法第236条(強盗)
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
そもそも「ひったくり」とは、カバンを持って1人で帰っている歩行者や自転車のカゴに荷物を入れて帰っている人を狙い、すれ違いざまや背後からいきなり物を奪い取ってそのまま逃げる行為を指し、万引きや置き引き、スリなどと同じように、窃盗の手口の一つです。
つまり、ひったくりは窃盗罪が成立する可能性が高いということです。
今回の事例で考えると、AはVの背後に近づきスマートフォンなどが入ったポーチをひったくっています。
窃盗罪が成立する要件に当てはめてみると、Aは他人(V)の財物(スマートフォンなどが入ったポーチ)を窃取(ひったくり)しているので、窃盗罪が成立する可能性が高いです。
【ひったくりで強盗罪が成立するケース】
ひったくりは窃盗罪が成立することが多いと説明しましたが、場合によっては強盗罪が成立する可能性もあります。
強盗罪は、他人の財物を奪う手段として暴行や脅迫を用いた場合に成立します。
暴行や脅迫を財物を奪う手段とすることが、窃盗罪との大きな違いです。
強盗罪が成立するひったくりの例としては、原付バイクなどで歩行者に近づき、追い越す際に荷物を強く引っ張り、荷物を離さないと転倒して怪我をする危険性を与えてから荷物を奪い取って逃走するといったケースです。
この場合は、歩行者の荷物(財物)を奪うための手段として、無理矢理荷物を引っ張って歩行者に怪我を負わせる危険性を感じさせているため、暴行を用いたことになります。
また、暴行を用いてひったくりをした際に被害者が怪我を負わせた場合は刑法第240条前段で規定されている強盗致傷罪が成立し、被害者が死亡した場合は刑法第240条後段で規定されている強盗致死罪が成立する可能性もあります。
【ひったくりで逮捕された後の流れ】
ひったくりで逮捕された後は被疑者として扱われます。
最初に警察による取調べや捜査が行われ、48時間以内に身柄を検察に送致されます。
送致された後は、検察官から取調べを受け、検察官が被疑者に対して処罰を与えるべきかどうかを判断し、起訴・不起訴を決定します。
検察官による取調べの期間で、被疑者の身柄をそのまま拘束しておくべきと検察官が判断すれば、検察官は警察から身柄を送致されて24時間以内に裁判所に対して勾留請求を行います。
勾留請求を受けた裁判所が被疑者に対して勾留質問を行い、勾留の必要性があると判断すれば、検察官からの勾留請求を認め、被疑者の勾留が決定します。
勾留が決定すれば、10日間身柄を拘束された状態で取調べを受けることになります。
さらに、勾留は追加で10日間延長することもできるので、最大で20日間身柄を拘束され続ける可能性があるということです。
取調べの結果、検察官が起訴を決定すれば、略式起訴か公判請求がなされ、公判請求されると裁判にかけられることになります。
また、起訴された時点で、罰金刑であっても懲役刑であっても前科が付くことになります。
【ひったくりで逮捕されたら弁護士へ依頼】
前述したように、ひったくりで逮捕されて起訴されてしまうと、罰金刑や懲役刑が言い渡される可能性があったり前科がついてしまったりと今後の人生に関わります。
なので、起訴を免れて不起訴処分を獲得するためにも、弁護士に刑事弁護活動を依頼することをお勧めします。
ひったくり事件で不起訴処分を獲得するためには、被害者との示談を締結することが重要なポイントになります。
ただ、ひったくり事件において、当事者間で示談を締結することは極めて難しいです。
なので、弁護士に刑事弁護活動を依頼して、弁護士を代理人として、被害者との示談交渉をスムーズに進めることが大切です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、ひったくり事件はもちろん、様々な刑事事件で被害者との示談を締結して不起訴処分を獲得した実績を持つ弁護士が多数在籍している刑事事件・少年事件に特化した法律事務所です。
ご家族がひったくりで逮捕されてしまったという方は、弁護士が直接ご家族が逮捕されている場所まで向かい、直接話を聞いた後にご家族に今後の流れや見通しについて説明する初回接見サービスを提供していますので、ぜひご利用ください。
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