【報道事例】交通事故を起こして知人に身代わり出頭をさせた男性を逮捕|身代わり出頭で問われる罪は?
今回は、交通事故を起こして知人に身代わり出頭をさせたとして男性らが逮捕された事例をもとに、身代わり出頭で問われる罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
【事例】
無免許で運転中にトラックに衝突し、その後、逃走した男が“身代わり出頭”を知人にそそのかしたとして、警視庁に逮捕されました。
男性A(28)は去年8月、無免許で運転中に品川区の交差点でトラックに衝突して運転手Vにけがをさせ、立ち去った上で、無免許運転の発覚を免れるため知人の男性B(26)にAの代わりに名乗り出るようそそのかした疑いが持たれています。
警視庁によりますと、その後、現場に「私が運転していました」とBが現れましたが、防犯カメラの捜査から逃走した容疑者ではないと発覚。
警視庁は事件のいきさつを調べています。
(※2/29に『Yahoo!JAPANニュース』で配信された「無免許運転でトラックに衝突し逃走…知人に“身代わり出頭”を依頼か 28歳の男ら3人を逮捕 東京・品川区」記事の一部を変更して引用しています。)
【身代わり出頭で問われる罪は?】
今回、Aは自身が無免許運転の発覚を免れるためにBに身代わり出頭するようにそそのかしたと報道されています。
「身代わり出頭」とは、その名の通り、事件・事故を起こした本人に代わって警察に自首する行為を指します。
身代わり出頭は、刑法第103条で規定されている犯人隠避罪に問われる可能性が高いです。
- 刑法第103条(犯人隠匿等)
罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を隠匿し、又は隠避させた者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
「隠匿」とは逃走中の犯人が隠れる場所を提供することを指し、「隠避」とは隠匿以外の逃走を助ける一切の行為を指します。
今回の事件で考えると、まず、Aは無免許で運転中に人身事故を起こしています。
無免許運転は道路交通法違反、人身事故は過失運転致傷罪に問われる可能性が高く、どちらも罰金と懲役刑が罰則で規定されています。
つまり、Aは「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者」に該当するということです。
Bは、Aの身代わり出頭をしているため、Aの逃走を助ける行為をしたとして犯人隠避罪に問われる可能性が高いです。
また、AはBに対して身代わり出頭をするようにそそのかしたとされています。
人に犯罪行為を行わせるように仕向けることは「教唆」と言い、教唆については刑法第61条で以下のように規定されています。
- 刑法第61条(教唆)
人を教唆して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する。
(第2項省略)
AはBを教唆して、Bに犯人隠避罪を実行させているため、Aは教唆犯となりBと同じ刑罰が科せられる可能性があります。
もちろん、Aは無免許運転による人身事故(ひき逃げ)を起こしているため、道路交通法違反や過失運転致傷罪などの罪に問われる可能性があります。
【身代わり出頭した・させた場合は弁護士に相談】
身代わり出頭をしたり、身代わり出頭をさせた場合は、犯人隠避罪・犯人隠避教唆罪に問われる可能性があります。
自身の犯行であることが発覚することを免れるために別の人に身代わり出頭を依頼してしまった、知人のために自らの意思で身代わり出頭をしてしまったという方は、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に相談することで、今後どうなるかの流れや見通しについて詳しく説明を受ける事ができます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、様々な刑事事件の弁護活動を担当した実績を多く持つ、刑事事件に特化した専門の法律事務所です。
初回法律相談は無料でご案内していますので、ご相談・ご予約に関するお問い合わせは、弊所フリーダイヤル(0120-631-881)にてお待ちしております。
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