医師法違反・医療事故・医療過誤事件

・サロンでのアートメークをしたことが医師法に違反するとして、警視庁北沢警察署に逮捕・勾留された

・経営する診療所の看護師が患者を間違え注射した。経営者として刑事責任を問われるか不安だ…

・東京都江東区の病院で手術を受けた後、容態が急変し死亡した。遺族は弁護士とともに、医師を業務上過失致死罪の疑いで警視庁深川警察署へ告訴状を提出した…

1 医師法違反・医療事故・医療過誤

医師法違反・医療事故・医療過誤事件は、医師法業務上過失致死傷罪(刑法211条前段)が問題となります。

2 医師法違反

医師法は、医師の資格・試験・業務・罰則等を定めています。

医師法違反事件としては、医師以外の者が医業をした場合や、医師の名称や紛らわしい名称を用いた場合、医師が診察をしないで治療した場合などが問題となります。

(1)医師以外の者による医業、名称の使用制限

医師法17条は、「医師でなければ、医業をなしてはならない」としています。

これに違反し、医師以外の者が医業を行った場合3年以下の懲役、100万円以下の罰金又はこれら懲役と罰金の併科です(医師法31条1項1号)。

過去には、医師でない者がアートメーク(眉や目元などに針で色素を注入することなど)を行ったことが医師法違反の容疑で刑事事件として逮捕された事例もあります。

アートメークは、人の皮膚に針などで色素を入れるもので、医療行為として、医師以外の者は行えません。

また、この場合に、医師以外の者が医師や医師に類似した名称を用いたときは、刑が加重され、3年以下の懲役、200万円以下の罰金、又はこれら懲役と罰金の併科です(医師法31条2項)。

医師でない者が、医師又はこれに紛らわしい名称を用いたときは、50万円以下の罰金です(医師法33条の3第1項)

(2)医業停止命令期間中の違反行為

医業停止を命じられた者が、停止の期間中に医業を行った場合3年以下の懲役、200万円以下の罰金、又はこれら懲役と罰金の併科です(医師法32条)。

(3)無診断治療等の禁止

医師は、自ら診察しないで治療をし、診断書・処方箋を交付し、自ら出産に立ち会わないで出産証明書・死産証書を交付し、自ら検案をしないで検案書を交付してはならないとされています(医師法20条)。

医師がこれらに違反した場合50万円以下の罰金です(医師法33条の3第1項)

主な医師法違反事件のまとめ

罪となる行為 罰則・法定刑
医師以外の者による医業(医師法31条1項1号) 3年以下の懲役100万円以下の罰金、又は懲役と罰金の併科
医師以外の者による医業を行った場合で、医師やこれに類似した名称を用いたとき(医師法31条2項) 3年以下の懲役200万円以下の罰金、又は懲役と罰金の併科
医業の停止を命じられた者で、その停止の期間中に医業を行った場合(医師法32条) 1年以下の懲役50万円以下の罰金、又は懲役と罰金の併科
・医師又はこれに紛らわしい名称を使用した場合
・無診断治療等の禁止違反(医師法33条の3第1項)
50万円以下の罰金

3 医療事故・医療過誤

医療事故・医療過誤事件は、業務上過失致死傷罪(刑法211条前段)が問題となります。

業務上過失致死傷罪は、業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させることによって成立する犯罪です。

医療事故・医療過誤事件で、患者が死亡した場合「業務上過失致死罪」、死亡に至らなかった場合「業務上過失致傷罪」にあたる可能性があります。

業務上過失致死傷罪の法定刑は、5年以下の懲役・禁錮、又は100万円以下の罰金です(刑法211条前段)。

医師法違反・医療事故・医療過誤事件における弁護活動

1 不起訴処分・執行猶予判決・無罪判決を目指した弁護活動

医師法違反・医療事故・医療過誤事件について、故意犯である医師法違反事件と、過失犯である医療事故・医療過誤事件では、弁護活動の方針が異なります。

全く身に覚えのない医師法違反事件の場合、事実を解明し、故意がないことを説得的に主張していきます。

医療事故・医療過誤事件では、注意義務違反の有無や、因果関係の有無などを専門家とも協力しながら、適切な弁護活動を行います。

不起訴処分となれば、刑事裁判になりません。前科もつきません。早期の社会復帰が可能となります。

2 早期の身柄解放

医師法違反・医療事故・医療過誤事件で警察が捜査した場合、被疑者を逮捕することがあります。

一度逮捕されると、捜査・取調べのため、逮捕・勾留と最長23日間の身柄拘束されるおそれがあります。

早期に弁護士へ相談することで、逮捕・勾留などの身柄拘束を避けて捜査するよう働きかけることや、逮捕に引き続く勾留を阻止する働きかけを行うことができます。

3 被害弁償・示談交渉

医師法違反・医療事故・医療過誤事件で、事実を認めている場合、被害者に対し、謝罪や示談交渉をすることで、不起訴処分や刑の減軽を目指した弁護活動を行います。

被害者への謝罪や示談交渉をすることは、専門の弁護士へお任せください。

本人同士が直接話し合うことは、感情的になりやすく、示談交渉自体ができなくなってしまう可能性もあります。

被害者への謝罪や示談が成立すると、不起訴処分や執行猶予判決などになる可能性が高まります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部では、医師法違反・医療事故・医療過誤事件の経験豊富な弁護士による最善のアドバイスを受けることができます。

刑事事件・少年事件を専門に取り扱う弁護士が、直接「無料相談」を行います。

被疑者が逮捕された事件の場合、最短当日に、弁護士が直接本人のところへ接見に行く「初回接見サービス」もご提供しています。

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