(弁護士)東京都国立市で逮捕 違法な所持品検査でも公務執行妨害罪?
Aさんは,深夜に東京都国立市の路上を歩いていたところ,立川警察署の警察官2名から職務質問を受けました。
Aさんが素直に応じ質問に答えていた矢先,突如警察官の1人がAさんを羽交い絞めにし,もう1人がAさんの服のポケットを隈なく探り始めました。
これに対してAさんが警察官の腕を振りほどこうと抵抗したところ,警察官が「はい,公務執行妨害ね。現行犯逮捕します」と言いました。
「こんな逮捕は違法だ」と抗議するもむなしく,Aさんは立川警察署に連行されました。
(上記事例はフィクションです)
【公務執行妨害罪の適用範囲】
刑法95条は,「公務員が職務を執行するに当たり,これに対して暴行又は脅迫を加えた者は,三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する」と公務執行妨害罪を規定しています。
この公務執行妨害罪規定の背景には,国や地方公共団体により行われる公務の円滑な執行を保護しようという理念があります。
もっとも,このような理念の下保護に値する「公務」というのは法令や手続に従ったものでなければなりません。
そのため,違法な公務に対しては公務執行妨害罪が成立しないことが裁判例により示されています。
【所持品検査の限界】
警察官が職務質問を行う際に,不審物を持っていないか確認するため所持品検査を行うことがあります。
所持品検査は多かれ少なかれプライバシーの侵害を伴うことから,対象者の承諾を得ることが原則とされています。
承諾を得ずに所持品検査がなされた場合には,(所持品検査の態様にもよりますが)違法な所持品検査となる可能性があります。
上記事例でAが受けた所持品検査は,承諾を得なかった,羽交い絞めにして無理矢理した,隅々まで検査をしたという諸事情から違法なものと判断される可能性が高いです。
したがって,違法な所持品検査=違法な公務に対するものであることからAさんの抵抗は公務執行妨害罪に当たらない可能性があります。
上記事例は違法な所持品検査であり,公務執行妨害罪には当たらないと判断しても差し支えなさそうな例でしたが,実際には公務執行妨害罪の成立の可否がかなり微妙なケースも多いです。
その場合,弁護士による緻密な証拠収集と裁判における適切な主張が極めて重要となってきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,刑事事件のプロフェッショナルである弁護士が最良の刑事弁護活動を目指して日々事件と向き合っています。
公務執行妨害罪と言われて逮捕された場合には,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士までご相談ください。
(立川警察署 初回接見費用:3万6100円)