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【報道事例】ひったくり事件で問われる罪は?強盗罪が成立することもある?

2023-08-14

【報道事例】ひったくり事件で問われる罪は?強盗罪が成立することも?

ひったくりという言葉を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。
ひったくりで問われる可能性がある罪はいくつかあります。

今回は、実際にひったくり事件で逮捕された報道事例をもとに、ひったくり事件で問われる可能性がある罪ひったくりで逮捕された後の流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が詳しく解説します。

【事例】

東京・渋谷区で高齢女性V(70)を狙ってひったくりをした疑いで、会社員の男性A(40)が逮捕された。
Aは先月23日夜、渋谷区代々木の路上で歩いていたVに後ろから近づき、スマートフォンなどが入ったポーチをひったくった疑いが持たれている。

警視庁によると、周辺の防犯カメラにはAが通行人を物色して女性の後をつける様子が映っていたという。
Aは調べに対し「身に覚えがありません」と容疑を否認しているという。
(※Yahoo!ニュース8月12日配信『高齢女性に後ろから近づき“ひったくり” 47歳会社員の男を逮捕 通行人を物色する姿が防犯カメラに 東京・渋谷区』の内容を一部変更して引用しています)

【ひったくりで成立する罪】

ひったくりで成立する可能性がある罪は、大きく窃盗罪強盗罪の2つがあります。
まずは、刑法第235条で規定されている窃盗罪と、刑法第236条で規定されている強盗罪を確認しておきましょう。

  • 刑法第235条(窃盗)
    他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
  • 刑法第236条(強盗)
    暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。

そもそも「ひったくり」とは、カバンを持って1人で帰っている歩行者や自転車のカゴに荷物を入れて帰っている人を狙い、すれ違いざまや背後からいきなり物を奪い取ってそのまま逃げる行為を指し、万引きや置き引き、スリなどと同じように、窃盗の手口の一つです。
つまり、ひったくりは窃盗罪が成立する可能性が高いということです。

今回の事例で考えると、AはVの背後に近づきスマートフォンなどが入ったポーチをひったくっています。
窃盗罪が成立する要件に当てはめてみると、Aは他人(V)の財物(スマートフォンなどが入ったポーチ)を窃取(ひったくり)しているので、窃盗罪が成立する可能性が高いです。

【ひったくりで強盗罪が成立するケース】

ひったくりは窃盗罪が成立することが多いと説明しましたが、場合によっては強盗罪が成立する可能性もあります。

強盗罪は、他人の財物を奪う手段として暴行や脅迫を用いた場合に成立します。
暴行や脅迫を財物を奪う手段とすることが、窃盗罪との大きな違いです。

強盗罪が成立するひったくりの例としては、原付バイクなどで歩行者に近づき、追い越す際に荷物を強く引っ張り、荷物を離さないと転倒して怪我をする危険性を与えてから荷物を奪い取って逃走するといったケースです。
この場合は、歩行者の荷物(財物)を奪うための手段として、無理矢理荷物を引っ張って歩行者に怪我を負わせる危険性を感じさせているため、暴行を用いたことになります。

また、暴行を用いてひったくりをした際に被害者が怪我を負わせた場合は刑法第240条前段で規定されている強盗致傷罪が成立し、被害者が死亡した場合は刑法第240条後段で規定されている強盗致死罪が成立する可能性もあります。

【ひったくりで逮捕された後の流れ】

ひったくりで逮捕された後は被疑者として扱われます。
最初に警察による取調べや捜査が行われ、48時間以内に身柄を検察に送致されます。
送致された後は、検察官から取調べを受け、検察官が被疑者に対して処罰を与えるべきかどうかを判断し、起訴不起訴を決定します。

検察官による取調べの期間で、被疑者の身柄をそのまま拘束しておくべきと検察官が判断すれば、検察官は警察から身柄を送致されて24時間以内に裁判所に対して勾留請求を行います。
勾留請求を受けた裁判所が被疑者に対して勾留質問を行い、勾留の必要性があると判断すれば、検察官からの勾留請求を認め、被疑者の勾留が決定します。

勾留が決定すれば、10日間身柄を拘束された状態で取調べを受けることになります。
さらに、勾留は追加で10日間延長することもできるので、最大で20日間身柄を拘束され続ける可能性があるということです。

取調べの結果、検察官が起訴を決定すれば、略式起訴公判請求がなされ、公判請求されると裁判にかけられることになります。
また、起訴された時点で、罰金刑であっても懲役刑であっても前科が付くことになります。

【ひったくりで逮捕されたら弁護士へ依頼】

前述したように、ひったくりで逮捕されて起訴されてしまうと、罰金刑や懲役刑が言い渡される可能性があったり前科がついてしまったりと今後の人生に関わります。
なので、起訴を免れて不起訴処分を獲得するためにも、弁護士に刑事弁護活動を依頼することをお勧めします。

ひったくり事件で不起訴処分を獲得するためには、被害者との示談を締結することが重要なポイントになります。
ただ、ひったくり事件において、当事者間で示談を締結することは極めて難しいです。
なので、弁護士に刑事弁護活動を依頼して、弁護士を代理人として、被害者との示談交渉をスムーズに進めることが大切です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、ひったくり事件はもちろん、様々な刑事事件で被害者との示談を締結して不起訴処分を獲得した実績を持つ弁護士が多数在籍している刑事事件・少年事件に特化した法律事務所です。

ご家族がひったくりで逮捕されてしまったという方は、弁護士が直接ご家族が逮捕されている場所まで向かい、直接話を聞いた後にご家族に今後の流れや見通しについて説明する初回接見サービスを提供していますので、ぜひご利用ください。
初回接見サービスのご連絡については、24時間受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)でお待ちしております。

弁護士星野昌季が取材を受けました

2023-08-12

弁護士星野昌季が取材を受けました

当事務所に所属している元会計検査院官房審議官の星野昌季弁護士が取材を受け、その内容が8月12日配信の朝日新聞デジタル『横浜市のレシ活ポイント4億円分が誤失効 「契約にも問題」と専門家』で紹介されました。

内容は、横浜市の物価高対策事業「レシ活」で、利用者に還元されたポイントが有効期限を迎える前に誤って失効されたという問題についてです。
市と運営会社が交わした契約について、市の契約手続きや契約の内容に関して問題があったのではないかと見解を示しています。

書類送検ってどういう意味? ニュースでよく聞くあの用語を解説

2023-08-11

書類送検ってどういう意味? ニュースでよく聞くあの用語を解説

今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部がニュース番組などでよく耳にする書類送検の意味について解説致します。

【事例】

昨年11月に東京都町田市で睡眠障害を自覚しながら路線バスを運転して事故を起こし、乗客7人に重軽傷を負わせたとして、警視庁は30日までに、自動車運転処罰法違反の疑いで、神奈川中央交通の男性社員(60)を書類送検した。
(Yahoo!ニュース乗客7人負傷事故でバス運転手書類送検6/30(金) 10:43配信記事の一部を引用しています。)

【解説】

1 書類送検ってどういう意味?

まず前提として書類送検(しょるいそうけん)とは、正式な法律用語ではなくテレビニュースなどで慣例的に用いられている用語です。
その意味は、刑事手続において警察が被疑者を逮捕せずに(逮捕後釈放した場合も含む)事件(犯罪捜査の書類や証拠)を検察官に送ることです。

このような刑事手続きを法律用語で検察官送致(在宅送致)と呼んでおり、書類送検はこの検察官送致を指しています。

※事件の捜査書類・証拠と一緒に、逮捕で警察署に拘束されていた被疑者の身柄が検察官に送致される場合を「身柄送致」と言います。

2 では書類送検されると何が起こるの?

検察官には刑事事件を起訴(裁判所に処分を求める)するか否かの決定権があります。

起訴しない旨を決定した場合には、不起訴処分(処分を求めない)となるわけですが、書類送検がなされると送検を受けた検察官はこの起訴か不起訴かの決定を行うことになるわけです。

3 書類送検されてしまったら?

書類送検がなされてしまった場合には、起訴か不起訴かの決定を受けることになるわけですが、この際に被害者がいる刑事事件の場合には被害者と示談を成立させておくことが重要となります。

示談が成立していれば、事件の当事者の間ではトラブルが解決していることを意味します。
示談成立の有無は、不起訴となるための重要な要素となります。

示談が成立していても起訴となる場合もありますが、示談成立の事実は裁判の際に有罪判決を受けても減刑の要素として未だ大きな意味があります。

そして、示談を成立させるためには弁護士による示談交渉が不可欠となってくるわけです。

【事務所紹介】

今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が書類送検の意味について解説致しました。
上述した通り、書類送検となった場合には弁護士による示談交渉や裁判に向けての一日でも早い準備が不起訴処分獲得や刑の減刑に大変重要となります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件に特化した法律事務所です。
なんらかの事件を起こしてしまった方、警察から取調べを受けている、呼び出しを受けている方は,弊所へお越しいただいての初回無料相談をご利用いただけます。

また、既に逮捕されている方へは、お申込み後、最短当日中に弁護士が接見をして、今後の対応についてのアドバイスや状況を確認する初回接見サービス(有料)がございます。
東京都町田市内及び周辺に在住の方やそのご家族で、刑事事件の被疑者として捜査されているという方などは、是非一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部までご連絡ください。

無料相談、初回接見サービスをご希望の方は、24時間365日受付中のフリーダイヤル0120-631―881でご予約をお取りできますので、ご連絡をお待ちしております。

【報道事例】アパートに侵入しゲーム機を窃盗した事件で問われる罪は?

2023-08-08

【報道事例】アパートに侵入しゲーム機を窃盗した事件で問われる罪は?

東京都江戸川区で起きた窃盗事件をもとに、問われる可能性がある罪や逮捕後の流れ、弁護士に刑事弁護活動を依頼するメリットについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が詳しく解説します。

【事例】

東京都江戸川区で、男性Vが暮らすアパートからゲーム機などを盗んだとして、46歳の男性Aが逮捕されました。

Aは、先月、江戸川区で1人暮らしをしているVのアパートの部屋に侵入し、ゲーム機2台やゲームソフトなどを盗んだ疑いがもたれています。

警視庁によりますと、Aはインターホンを押し、Vの不在を確認した上で鍵がかかっていない窓から侵入したということです。
インターホンの録画にAの姿が映っていたことから特定されました。

Aは、取り調べに対して容疑を認め「生活費に困ってやった。ゲーム機は手っ取り早く金になる」などと話しているということです。
(Yahoo!JAPANニュース 8月5日配信『「手っ取り早く金になる」アパート侵入しゲーム機など窃盗 46歳男逮捕 東京・江戸川区』記事の一部を変更して引用しています)

【成立する可能性がある罪】

Aの行為は、V宅に人が居ないことを確認して侵入し、ゲーム機などを窃盗しているため、いわゆる空き巣に該当します。
ただ、法律で「空き巣罪」というものはありません。

空き巣を行った場合は、住居侵入等罪窃盗罪が成立する可能性があります。
住居侵入等罪については刑法第130条、窃盗罪については刑法第235条で以下のように規定されています。

  • 刑法第130条(住居侵入等)
    正当な理由がないのに、人の住居もしくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかったものは、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
  • 刑法第235条(窃盗)
    他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

まず、Aは正当な理由もなくVが住んでいるアパートの部屋に侵入しているため、刑法第130条の前段で規定されている住居侵入等罪が成立する可能性があります。
また、V部屋に侵入した後に、部屋にあったV(他人)が所有しているゲーム機(財物)などを窃取しているため、侵入後のAの行為については刑法第235条の窃盗罪が成立する可能性があります。

【2つの犯罪が成立?牽連犯(けんれんはん)とは】

今回のAの行為は、ゲーム機などを盗むという「目的」のために、Vが留守中にV部屋に侵入することを「手段」としています。
つまり、Aに成立する可能性がある住居侵入等罪と窃盗罪の2つの犯罪は、手段と目的という関係になっています。

このように、犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れることを牽連犯(けんれんはん)といい、牽連犯については、刑法第54条1項で以下のように規定されています。

  • 刑法第54条1項(一個の行為が二個以上の罪名に触れる場合等の処理)
    一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。

つまり、牽連犯の場合は、成立している複数の犯罪の中で最も重い刑で処罰されるということです。
Aは、住居侵入等罪と窃盗罪の牽連犯となる可能性があり、牽連犯となった場合は、住居侵入等罪と窃盗罪の処罰内容を比べると窃盗罪の方が重い刑になるため、窃盗罪の罰則で処罰されることになります。

【逮捕された後の流れ】

今回のような刑事事件を起こして逮捕されると被疑者として身柄を拘束され、まずは警察が取調べや捜査を行い、逮捕後48時間以内に身柄を検察庁に送致されます。

検察庁に送致された後は、検察官が被疑者の取調べを行い、被疑者に処罰を与えるべきかどうかを判断し、起訴不起訴を決定します。
この取調べ期間中に、被疑者の身柄を解放すると逃亡や証拠を隠滅する恐れがあると判断されれば、検察官は送致後24時間以内に裁判所に対して勾留請求を行い、裁判所が勾留請求を認めると、被疑者は引き続き身柄を拘束(=勾留)された状態で取調べを受けることになります。
勾留が決定すると、10日間身柄を拘束されることになり、勾留は追加で10日間延長できるため、最大20日間身柄を拘束される可能性があります。

取調べを行った結果、検察官が起訴することを決定すると、裁判を開く公判請求と、裁判を開かない略式起訴のどちらかがなされます。
公判請求をされると懲役刑を言い渡される可能性があり、略式起訴をされると罰金刑を言い渡されます。

【弁護士に刑事弁護活動を依頼するメリット】

前述したように、刑事事件を起こして逮捕されてしまうと、長期間身柄を拘束されてしまう恐れがあります。
また、起訴されると、公判請求でも略式起訴でも前科がついてしまうため、今後の人生に影響が及ぶ可能性もあります。

弁護士に刑事弁護活動を依頼することで、弁護士が被疑者の代理人となり、被疑者の身柄を早急に開放するための活動や、起訴を免れて前科をつけないための活動、万が一起訴されてしまった場合は少しでも処罰が軽くなるような活動に尽力します。
さらに、被害者との示談交渉も弁護士が行うため、当事者間で示談を進めるよりもスムーズに行うことができ、示談を締結できる可能性も高まります。

今回の事例のような窃盗事件では、被害者と示談を締結することが不起訴処分を獲得するための重要なポイントにもなるので、窃盗事件による刑事事件を起こしてしまった場合は、弁護士に刑事弁護活動を依頼することをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗事件はもちろん、様々な刑事事件で被害者との示談を締結して不起訴処分を獲得した実績がある弁護士が多数在籍している刑事事件に特化した法律事務所です。
ご家族が窃盗事件で逮捕されてしまって今後どうなるか不安に感じている方は、まずは24時間受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご相談ください。

【事例解説】風俗店での本番行為は犯罪?当事者間での示談は危険?

2023-08-05

【事例解説】風俗店での本番行為は犯罪?当事者間での示談は危険?

風俗店トラブルのほとんどは、禁止されている「本番行為」をしてしまうことです。
本番行為を行ったことが店に発覚した後に当事者間で示談を締結しようとすると、別の問題が発生する危険性もあります。

今回は、風俗店トラブルを示談締結によって事件化阻止できた事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が詳しく解説します。

【事例】

東京都台東区にある風俗店を利用していた男性A(32)は、従業員の女性V(23)に対して、禁止されているにも関わらず本番行為を行ってしまいました
Vが店長に「Aが本番行為をしてきた」と伝えたことで発覚し、店長はAに対して「300万円払えば示談してやる。払えない場合は警察に被害届を出す。」と金銭を要求しました。

300万円も持ち合わせていなかったAは、とりあえず財布に入っていた現金5万円を店長に渡し、後日連絡するとして店を後にしました。
今後どうなっていくのか不安に感じたAは、店に連絡をする前に弁護士に相談することにしました。
(※この事例は全てフィクションです。)

【風俗店で本番行為を行うと犯罪?】

原則、本番行為が認められている風俗店はありません。
本番行為を認めてしまうと、店や従業員が売春防止法違反で処罰されてしまうからです。
なので、本番行為禁止というルールを定めている風俗店がほとんどで、これに違反してしまうと違反金が請求される恐れがあります。

今回の事例では、AがVに対して禁止されている本番行為を行ったことで、店長から「違反金を払わないと警察に被害届を出す」と言われています。
では、警察に被害届を出されてしまった場合、Aは何罪に問われるのでしょうか。
この場合、Aは不同意性交等罪に該当する可能性があります。
不同意性交等罪については、刑法第177条で以下のように規定されています。

  • 刑法第177条(不同意性交等)
    前条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛こう門性交、口腔くう性交又は膣ちつ若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第百七十九条第二項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、五年以上の有期拘禁刑に処する。
    • 2 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、性交等をした者も、前項と同様とする。
    • 3 十六歳未満の者に対し、性交等をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。

条文に記載されている「前条第一号各号に掲げる行為」とは、刑法第176条で規定されている以下の行為です。

一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕がくさせること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。

不同意性交等罪は、上記の行為やこれらに類似する行為によって、相手が同意しない意思を形成することや表明すること、全うすることが困難な状態にさせ、性行為等をすることで成立します。
わかりやすく説明すると、相手が同意していないにも関わらず性行為等をすることで、不同意性交等罪が成立するということです。

今回の事例で考えると、そもそも店のルールとして本番行為は禁止されているため、Vに同意はありません。
ですが、プレイ中にAが勢い余って本番行為をしてしまったとすると、Vは嫌だ(同意しない)という意思表示をする「いとまがない」ため、刑法第176条1項5号に該当し、AのVに対する行為は不同意性交等罪が成立する可能性があります。

【示談で事件化阻止ができる?】

当事者間で示談を締結し、被害者が被害届を提出しなければ、刑事事件になることを阻止することはできます。
事件化阻止ができれば、逮捕されたり処罰されることもありませんが、当事者間で示談を進めることは難しいです。

当事者間で示談を進めてしまうと、示談金を支払ったのに被害届を提出されてしまったり、示談したはずなのに追加で金銭を要求されてしまったりといった問題が発生する危険性があります。

なので、風俗店トラブルを起こしてしまい、示談で事件化阻止を目指したいという場合は、弁護士に代理人として示談交渉を行ってもらうことをお勧めします。

今回の事例でも、Aは弁護士に依頼して、弁護士がAの代理人として、店長やVと示談交渉を行った結果、被害届を提出しないことや今後金銭を要求しないといった旨を記載した示談を締結することができ、無事に事件化阻止することができました。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、風俗店トラブルはもちろん、様々な刑事事件で被害者との示談締結を行った実績を持つ刑事事件に特化した法律事務所です。

風俗店トラブルを起こしてしまって今後どうなるか不安に思っている方は、まずは24時間受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご相談ください。

【報道事例】売上金が入った金庫を奪ったコンビニ強盗事件

2023-08-02

【報道事例】売上金が入った金庫を奪ったコンビニ強盗事件

東京都中野区で起きたコンビニ強盗事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事例】

1日未明、東京・中野区にあるコンビニ店に男Aが押し入り、店員を刃物で脅して売上金などが入った金庫を奪って逃げました
午前2時半ごろ中野区東中野のコンビニ店で、「包丁を突き付けられ逃げられた」と40代の男性店員から110番通報がありました。

警視庁によりますと、男性店員が1人で作業をしていたところ物音がしたので確認すると、Aがレジの下にある売上金の入った金庫を持ち去ろうとしていたということです。

Aは取り押さえられそうになると包丁のようなもので脅し、金庫を奪って逃走しました。
けが人はいませんでした。
テレ朝news 8月1日配信「コンビニ店に刃物強盗 売上金入った金庫奪い逃走 東京・中野区」記事の一部を変更し引用しています。)

【今回の事例で問われる罪は?】

今回の事例でのAの行為は、強盗罪又は事後強盗罪に問われる可能性があります。
強盗罪については刑法第236条、事後強盗罪については刑法第238条で以下のように規定されています。

  • 刑法第236条(強盗)
    暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。
  • 刑法第238条(事後強盗罪)
    窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。

今回、Aは先に売上金の入った金庫を持ち去ろうとした窃盗(盗み)行為を行っています。
その後、現場を店員に目撃されて取り押さえられそうになったため、包丁のようなもので脅し、金庫を奪って逃走しました。

包丁のようなもので脅した目的が、「財物(金庫)を奪取するため」なのか「財物(金庫)を取り返されるのを防ぐため・逮捕を免れるため・罪証を隠滅するため」なのかで、問われる罪が変わります。
前者の目的だった場合は、強盗罪が成立します。
一方で、後者の目的だった場合は、事後強盗罪が成立します。

強盗罪と事後強盗罪で成立する要件は異なりますが、事後強盗罪は、条文に「強盗として論ずる」と記載されているため、事後強盗罪も強盗罪と同様の罰則で処罰されます。
つまり、強盗罪と事後強盗罪の罰則は、5年以上の有期懲役となります。

有期懲役とは、期間の定めがある懲役刑を指し、原則として1月以上20年以下の範囲内で懲役刑が科せられます。

【Aが見つかった後の流れは?】

今回の事例のAが見つかった場合、逮捕される可能性が高いです。
警察から逮捕された後は、警察官からの取調べなどの捜査を受け、48時間以内に身柄を検察庁に送致されます。

検察庁に送致された後は、検察官からの取調べを受け、24時間以内に検察官が犯人の身柄をこのまま拘束した状態で取調べを続ける(=勾留する)かどうかを判断します。
身柄を拘束した状態で取調べを続ける必要がないと判断されれば釈放となりますが、身柄を拘束した状態で取調べや捜査を続けるべきであると判断された場合は、検察官は裁判所に対して勾留請求をします。

裁判所が勾留請求を認めると、10日間勾留されることになります。
また、勾留は追加で10日間延長することが可能なので、勾留が決定すると最大20日間身柄が拘束される可能性があります。

勾留期間中に検察官が取調べを続け、犯人に処罰を与えるべきであると判断すれば、起訴されることになります。
今回のAに成立する可能性がある強盗罪と事後強盗罪は、どちらも懲役刑のみの罰則なので、起訴されると公判請求され、裁判にかけられて懲役刑が言い渡される可能性があります。

【強盗罪・事後強盗罪の刑事弁護活動】

強盗罪・事後強盗罪のような強盗事件で逮捕される割合は、他の刑事事件に比べると高く、勾留請求がされる割合も高いです。
つまり、強盗事件を起こしてしまうと長期間身柄が拘束されてしまう可能性が高いということです。

長期間身柄を拘束されると、家族や職場に連絡することもできず、職場をクビになってしまったり家族に迷惑をかけてしまったりと、大きな不利益が生じる恐れもあります。
なので、強盗事件で逮捕されてしまった場合は、弁護士に刑事弁護活動を依頼することをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、強盗事件はもちろん、様々な刑事事件で逮捕・勾留された方の早期釈放を実現した実績を持つ刑事事件に特化した法律事務所です。

ご家族が強盗事件で逮捕されてしまって今後どうなっていくのか不安に感じている方や、刑事弁護活動の詳しい内容を知りたい方は、まずは24時間受付中のフリーダイヤル(0120-631-881)までご連絡ください。

【事例解説】他人の家の門を壊すと建造物損壊罪が成立する?

2023-07-30

【事例解説】他人の家の門を壊すと建造物損壊罪が成立する?

他人の建造物を壊す行為は、建造物損壊罪が成立します。
では、「建造物」とは、どこまでが建造物として認められるのでしょうか。
壊したものが建造物でなければ、建造物損壊罪ではなく器物損壊罪が成立します。

今回は、他人の家の門を壊した事例をもとに、建造物損壊罪が成立するための「建造物」の定義について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所がわかりやすく解説します。

【事例】

東京都調布市のアパートに住んでいる男性A(43)は、近所の一軒家に住んでいる男性V(48)を良く思っていませんでした。
ある日、Aが仕事から帰る道中でV宅を通り過ぎる際、普段からVが気に食わなかった腹いせに、V宅のを蹴り、扉部分を壊しました

次の日、自宅の門が壊されていることに気づいたVは、警視庁調布警察署に通報しました。
自宅の防犯カメラを確認したところ、AがV宅の門を蹴っている姿が写っていたため、後日、A宅に警察が来て、任意の取調べを受けることになりました。

Aの行為は、建造物損壊罪器物損壊罪のどちらが成立するでしょうか。
(※この事例は全てフィクションです)

【建造物損壊罪とは】

建造物損壊罪については、刑法第260条で以下のように規定されています。

  • 刑法第260条(建造物等損壊及び同致死傷)
    他人の建造物又は艦船を損壊した者は、5年以下の懲役に処する。よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

建造物損壊罪は、他人の建造物や艦船を損壊した場合に成立します。
建造物損壊罪については、刑法第260条の前段で規定されており、後段には建造物損壊によって人を死傷させた場合に関する規定がされています。

建造物損壊罪が成立すると、5年以下の懲役によって処罰されます。

【器物損壊罪とは】

器物損壊罪については、刑法第261条で以下のように規定されています。

  • 刑法第261条(器物損壊等)
    前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

器物損壊罪の条文に記載されている「前三条」とは、刑法第258条(公用文書等毀棄)刑法第259条(私用文書等毀棄)刑法第260条(建造物等損壊及び同致死傷)を指し、これらに該当しないものを損壊した場合に器物損壊罪が成立します。

器物損壊罪が成立すると、3年以下の懲役30万円以下の罰金科料によって処罰されます。

【「建造物」の定義】

今回の事例では、AはV宅の門を蹴って壊しています。
Aの行為が、建造物損壊罪と器物損壊罪のどちらに該当するのかについて考えるためには、「門」が「建造物」として認められるかどうかがポイントになります。
門が建造物として認められれば建造物損壊罪が成立し、門が建造物として認められなければ器物損壊罪が成立します。

「建造物」について、判例では「屋根を有し、壁又は柱によって支えられ、土地に定着し、その内部に人の出入りが可能なもの(大審院大正13年5月31日判決)」と定義されています。

今回Aが壊した「門」は、単に人が通行するものにすぎず、人が出入りするような内部もありません。
つまり、門は建造物として認められないため、今回のAの行為は器物損壊罪が成立するということになります。

【建造物損壊罪・器物損壊罪による事件を起こしてしまったら弁護士へ】

建造物損壊罪や器物損壊罪による刑事事件を起こしてしまった場合は、弁護士に刑事弁護活動を依頼することをお勧めします。

刑事事件を起こして、警察から逮捕されたり任意の取調べを受けることになると、検察官に送致され、その後検察官が起訴するかどうかの判断をします。
起訴されてしまうと、懲役刑罰金刑が言い渡されたり、前科が付いてしまったりと、今後の人生に大きな影響を及ぼす可能性があります。

起訴を免れて不起訴処分を獲得するためにも、弁護士に刑事弁護活動を依頼することがお勧めです。
弁護士が代理人となって、被害者と示談交渉を行ったり、検察官と意見を交わして不起訴処分を獲得するための活動に尽力してくれます。

今回の事例のように、建造物損壊罪や器物損壊罪は被害者と示談を締結することが不起訴処分を獲得するためにも重要なポイントになります。
示談を締結できれば不起訴処分を獲得できる可能性も高まりますが、当事者間で示談を行うとトラブルが起きてしまう恐れもあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、建造物損壊罪や器物損壊罪による刑事事件はもちろん、様々な刑事事件で被疑者との示談締結を行い、不起訴処分を獲得した実績を持つ経験豊富な弁護士が多数在籍しています。

建造物損壊罪や器物損壊罪による事件を起こしてしまった方や、ご家族が逮捕されてしまって不安に感じている方は、まずは24時間受付中のフリーダイヤル(0120-631-881)までご相談ください。

【報道事例】女性駅員に対する不同意わいせつ罪で逮捕

2023-07-27

【報道事例】女性駅員に対する不同意わいせつ罪で逮捕

令和5年7月13日から施行された不同意わいせつ罪は、従来の性犯罪に関する規定を見直すために新設された改正刑法の一つです。

今回は、不同意わいせつ罪が成立する要件について、実際の報道事例をもとに、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所がわかりやすく解説します。

【事例】

東京都千代田区にある東京メトロの駅で20代の女性駅員Vに後ろから抱きつき、わいせつな行為をしたとして、警視庁麹町署は20日、不同意わいせつ罪の疑いで住所職業不詳の男性A(37)を逮捕しました。

性犯罪規定を見直す改正刑法の施行後、警視庁による同容疑事件の摘発が明らかになるのは初めてです。

署によると「駅員の後ろから抱きついたことに間違いない。終電を逃してむしゃくしゃしていた」と容疑を認めています。
(Yahoo!JAPANニュース 7月20日配信「不同意わいせつ疑い男逮捕 メトロ女性駅員に、警視庁」の内容を一部変更して引用)

【不同意わいせつ罪とは】

不同意わいせつ罪とは、令和5年7月13日に施行された改正刑法の一つです。
従来の「強制わいせつ罪」「準強制わいせつ罪」統合された内容として新設されました。
不同意わいせつ罪については、刑法第176条で以下のように規定されています。

  • 刑法第176条(不同意わいせつ)
    次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、六月以上十年以下の拘禁刑に処する。

    一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
    二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
    三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
    四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
    五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
    六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕がくさせること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
    七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
    八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。

    2 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、わいせつな行為をした者も、前項と同様とする。

    3 十六歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。

【不同意わいせつ罪の成立要件】

不同意わいせつ罪が成立する要件は、大きく以下の3つを満たす必要があります。

  • 一~八に該当する行為やそれらに類似する行為があった
  • ①の行為により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせた又はその状態を利用した
  • わいせつな行為をした

不同意わいせつ罪が成立する要件を今回の事例に当てはめると、以下のようになります。

  • AがVの後ろからいきなり抱きついた(条文が掲げる「五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと」に該当)
  • 不意を突かれた(Aからの行為)により、Vは同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態であった
  • AがVに対して抱きついた

事例には事件の詳細までは記載されていませんが、今回のAの行為は上記のような要件があったことで不同意わいせつ罪が成立した可能性があります。

また、不同意わいせつ罪の条文には第2項と第3項も規定されています。

第2項は、誤信(行為がわいせつなものではないと思っていた若しくは人違いをしていた)によるわいせつ行為をした者」に対しても、不同意わいせつ罪が成立することを規定しています。

第3項は、16歳未満の者に対してわいせつな行為をした者」に対しても不同意わいせつ罪が成立することを規定しています。
ただ、16歳未満の被害者が13歳以上である場合は、行為者との年齢差が5歳以上離れている場合のみ不同意わいせつ罪が成立するとされています。

【不同意わいせつ罪で逮捕されたら弁護士へ】

不同意わいせつ罪の罰則は、6月以上10年以下の懲役刑のみです。
なので、不同意わいせつ罪で逮捕されてしまい、検察官から起訴されると必ず裁判が開かれる(公判請求)ことになり、懲役刑を言い渡されることになります。

また、起訴された時点で前科がついてしまうため、今後の人生に大きな影響を及ぼす可能性もあります。
なので、不同意わいせつ罪で逮捕されてしまった場合は、起訴を免れる不起訴処分を獲得することが重要になります。

ただ、逮捕されている状態で自分だけの力で不起訴処分を獲得できる可能性は低いです。
そのためにも、弁護士に刑事弁護活動を依頼することをお勧めします。
弁護士が代理人として、被害者との示談交渉を行ったり、検察官と意見を交わし、不起訴処分を獲得するための活動に尽力します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とした法律事務所です。
ご家族が不同意わいせつ罪による性犯罪事件で逮捕されてしまった方や、弁護士に刑事弁護活動を依頼する場合の流れ、弁護士が行う活動の詳細について詳しく聞きたい方は、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

【事例紹介】少年が原則逆送対象事件の強盗罪で逮捕

2023-07-24

【事例紹介】少年が原則逆送対象事件の強盗罪で逮捕

原則逆送対象である強盗罪で逮捕された少年について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。

【参考事例】

25日、東京・江東区の住宅に3人組が押し入り、高齢女性を脅して現金を奪った事件で、警視庁は30歳の男18歳19歳の少年2人のあわせて3人を逮捕しました。
警視庁によりますと、強盗などの疑いで逮捕されたのは職業不詳の…容疑者(30)と沖縄県那覇市の18歳と19歳の少年2人です。
3人は25日午後、江東区南砂の住宅に押し入り、この家に住む70代の女性の口をふさいで「騒いだら殺すぞ」などと脅し、金庫から現金およそ240万円を奪った疑いがもたれています。

警視庁は逃走していた3人組の行方を追っていましたが、その後、事件に関わったとみられる3人の身柄を確保し、さきほど強盗などの疑いで逮捕したということです。
警視庁は3人の関係性や役割などについて詳しく調べています。

(※日テレNEWS 令和5年5月26日(金)18時08分配信「江東区住宅強盗 18歳少年ら3人逮捕」より引用)

【強盗罪について】

強盗罪の条文は以下のとおりです。

  • 刑法236条1項
    暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。

参考事例の場合は「騒いだら殺す」などと被害者を脅して現金を強取した嫌疑ですので、強盗罪が適用されているものと考えられます。
なお、その他にも被害者の方宅に押し入っている点で住居侵入罪についても成立すると考えられます。

【未成年者の取扱い】

事件を起こしたとされている3名のうち2名については、少年法のいう少年に該当します。
14歳以上の20歳未満の少年が刑事事件を起こした場合には、犯罪少年として扱われます。
犯罪少年の場合、捜査段階では成人の刑事事件と同様の手続きが採られるため、捜査上やむを得ない場合には逮捕されたり勾留されたりすることもあります。
捜査が終了した時点で、少年は家庭裁判所に送致されます。
家庭裁判所では調査官による調査が行われ、少年に対し保護処分(少年院送致や保護観察処分など)が検討されます。

【原則逆送事件について】

参照事例では、少年らは強盗罪に問われています。
本来であれば前章で紹介したとおり、家庭裁判所で保護処分を課すことが検討されるのですが、令和4年4月1日施行の改正少年法では18歳・19歳の場合は特定少年とされ、通常の少年事件とも異なる取り扱いがなされます。
関連条文は以下のとおりです。

  • 少年法20条(検察官への送致)
    • 1項 家庭裁判所は、死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件について、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは、決定をもつて、これを管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。
    • 2項 前項の規定にかかわらず、家庭裁判所は、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であつて、その罪を犯すとき16歳以上の少年に係るものについては、同項の決定をしなければならない。ただし、調査の結果、犯行の動機及び態様、犯行後の情況、少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは、この限りでない。
  • 少年法62条(検察官への送致についての特例)
    • 1項 家庭裁判所は、特定少年(18歳以上の少年をいう。以下同じ。)に係る事件については、第20条の規定にかかわらず、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは、決定をもつて、これを管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。
    • 2項 前項の規定にかかわらず、家庭裁判所は、特定少年に係る次に掲げる事件については、同項の決定をしなければならない。ただし、調査の結果、犯行の動機、態様及び結果、犯行後の情況、特定少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは、この限りでない。
      • 1号 故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であつて、その罪を犯すとき16歳以上の少年に係るもの
      • 2号 死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪の事件であつて、その罪を犯すとき特定少年に係るもの(前号に該当するものを除く。)

参考事例のうち2名の少年は、18歳と19歳なので、どちらも特定少年に該当します。
そして、特定少年の場合、強盗罪(=短期1年以上の懲役刑に該当する罪)については「検察官に送致しなければならない」とされています。(少年法62条2項2号ほか)
この検察官に送致するという手続きを俗に逆送と言います。

逆送の手続きについて、少年法62条2項各号に該当する場合を原則逆送と呼びます。
言い換えると、2項のいう「犯行の動機、態様及び結果、犯行後の情況、特定少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるとき」に該当しなかった場合、すべて逆送されることになります。

逆送されたのち、改めて検察官が捜査を行い、起訴するべき事案であると判断した場合には起訴され、成人の刑事手続きと同様に公開の法廷で刑事裁判を受け、有罪だった場合には刑事罰(死刑・懲役刑・禁錮刑・罰金刑・拘留・科料)が言い渡されます。

【原則逆送事件で弁護士に弁護を依頼】

原則逆送事件の場合、先述のとおり刑事罰が科せられるおそれがあります。
そのため、少年事件の弁護人・付添人の経験が豊富な弁護士に依頼をし、少年として保護処分を課すことが相当である事件であることを積極的に主張し、逆送を回避、あるいは逆送後に再送致(逆送を受けた検察官の判断で家庭裁判所に改めて送致する手続き)に付するべき事案であることを積極的に主張していくことが望ましいと言えます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、原則逆送対象事件の弁護活動・付添人活動の経験がございます。
少年事件の場合、事件の内容だけでなく家庭・生育環境などを少年や保護者からしっかりと聞くこと、学校関係者から話を聞くこと、検察官・家庭裁判所調査官・裁判官などと打合せ・調査委を行う必要があり、事件に即した活動が必要になります。

18歳、19歳の特定少年に該当するお子さんが強盗などの原則逆送事件で逮捕されてしまった場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士による初回接見サービス(有料)をご利用ください。

【お客様の声】監護者わいせつ事件で不起訴獲得

2023-07-21

【お客様の声】監護者わいせつ事件で不起訴獲得

【事件の概要】

埼玉県在住のご本人さま(40代男性)は、同居していた実の娘(10代)に対してわいせつ行為を行ったとの嫌疑で逮捕されました。

【事件経過と弁護活動】

本件はご本人さまの奥さまから、弊所にご依頼いただきました。
ご本人さまが逮捕されてしまっていたため、弁護士が即日で初回接見に向かい、ご本人さまから事件の事実関係を確認しました。

弁護士がご本人さまからお話を伺ったところ、わいせつ行為の事実を否定されていました。
その後、正式にご依頼をしていただき、弁護士は否認事件としての弁護活動をしました。

はじめご本人さまは、勾留からの早期釈放を狙って、でもわいせつ行為を認めた方がよいのではないかと考えていましたが、本件では、わいせつ行為を認めたからといって早期釈放の可能性が生じるものではなく、百害あって一利もないことを弁護士が丁寧に説明をしました。

本件は、逮捕後、勾留状態が続きました。
勾留状態が長期化すると、当然にご本人さまの会社での立場も悪くなり、失職のおそれが生じてくるため、予め、検察官の勾留延長請求の却下と即時釈放を求める意見書を裁判所に提出し、更に、延長の決定がなされたため、これに対して準抗告の申立をして釈放を求めました。

本件は否認事件であったこともあり、勾留延長期間の満期まで釈放は認められませんでした。
しかし、警察や検察からの取調べの対応について、弁護士が事件に即した的確なアドバイスをご本人さまに行いつつ、担当検察官との間で事件に関する十分な意見交換を行った結果、嫌疑不十分で不起訴処分を獲得することが出来ました。

【弁護活動を振り返って】

否認事件の場合には、犯罪の事実の有無をじっくり調べるため、捜査機関による取調べは厳しくなり、早期の釈放どころか、勾留延長期間の満期まで身柄が拘束されることも少なくありません
このように、連日の厳しい取調べや長期間の身柄拘束により心身を疲弊してしまうと、本当はやってもいないのに罪を認めてしまうということが起こっています。

本件でも、長期間による身柄拘束が行われましたが、弊所にご依頼いただき、弁護士が法律面だけでなく、精神面においてもサポートを徹底することで、最後まで犯罪の事実を否定し続け、不起訴処分を獲得することができました。

今回のような性犯罪による刑事事件で、そのような事実はないと否認して争いたいと考えている方は、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所・東京支部までご相談ください。
刑事事件専門の弁護士が、事件の内容を丁寧にヒアリングし、今後の見通しについて詳しくご説明いたします。

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