売春で処罰対象に?

売春で処罰対象に?

個人で行う売春刑事事件に発展する場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都新宿区在住のAは、新宿区内の会社に勤める会社員です。
Aは小遣い稼ぎの感覚から、お金を受け取って性行為を行う、いわゆる売春をしていました。
ある日、Aの自宅に新宿区を管轄する牛込警察署の警察官が来て、売春防止法違反による家宅捜索を受けました。
Aは、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士に対し、売春や買春で処罰される可能性について質問しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【売春・買春そのものに罰則規定はない】

売春について、売春防止法2条は「対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交することをいう。」と定義しています。
これについて、同法3条は「何人も、売春をし、又はその相手方となつてはならない。」と定めています。
この相手方になる行為が、買春と呼ばれるものです。

この売春・買春については禁止こそされているものの、罰則規定はありません。

【売春で処罰される場合】

売春は不特定の相手と性行為をすることで成立しますが、その相手を見つけるためには何らかのアクションを起こす必要があります。
その際、⑴公衆の目に触れるような方法で勧誘をしたり、⑵公共の場所で立ち塞がり・つきまといをしたり、⑶広告などを使って売春の勧誘を行う行為は、売春の勧誘として処罰されます。
例えば、1年程前に某地区で一斉摘発された‘立ちんぼ’や、SNSでの援助交際(事実上の売春)募集の投稿などはこれにあたります。
⇒売春防止法5条各号:六月以下の懲役又は一万円以下の罰金

【売春・買春に携わった場合の問題】

・周旋(斡旋や仲介)等
売春行為をするよう斡旋するような行為は処罰対象です。
例えば、知人に売春をするよう勧めたり、売春相手の仲介役をしたり、路上でのキャッチなどにより売春行為を勧める行為が対象となります。
直接的な周旋だけでなく、勧誘の⑵⑶などに当たるような行為をした場合にも適用されます。
⇒同法6条各項:二年以下の懲役又は五万円以下の罰金(併科可)

・困惑等による売春
例えば、相手を騙して売春をさせた場合や親族という関係をたてに売春させた場合には、騙した者が処罰対象となります。
また、暴行や脅迫を用いて売春をさせた場合にも、処罰対象となります。
⇒欺罔・困惑については同法7条1項:三年以下の懲役又は十万円以下の罰金
⇒暴行・脅迫については同法7条2項:三年以下の懲役又は十万円以下の罰金(併科可)

更に、売春をさせた際に仲介した人が売春で得た金を(たとえ一部であっても)受け取る約束をしたり受け取ったした場合には、より重い罪にあたります。
⇒同法8条1項:五年以下の懲役及び二十万円以下の罰金
⇒親族関係の影響力を用いた場合は同法8条2項:三年以下の懲役又は十万円以下の罰金

・売春の契約
売春することを内容とした契約をした場合に処罰されます。
⇒同法10条:三年以下の懲役又は十万円以下の罰金

・場所の提供
売春をすることを知っていてその場所を提供した場合の罪です。
違法な風俗営業などの場合、その場所で売春婦が売春行為が行われていることを知って場所を提供していることが一般的ですので、この罪での検挙・処罰が考えられます。
⇒反復・継続して行われていない場合は同法11条1項:三年以下の懲役又は十万円以下の罰金
⇒反復・継続して行われていた場合は同2項:七年以下の懲役及び三十万円以下の罰金

・管理売春
自分が管理する場所や指定した場所で売春婦に売春行為をさせていた場合、管理売春にあたり処罰されます。
⇒同法12条:十年以下の懲役及び三十万円以下の罰金

・資金等の提供
売春のための場所の提供であることを知っていてその資金や建物を提供したり、管理売春をすることをしって資金や建物を提供した場合に処罰対象となります。
前者については売春防止法13条1項:五年以下の懲役及び二十万円以下の罰金
後者については売春防止法13条2項:七年以下の懲役及び三十万円以下の罰金

買春・売春自体には罰則規定はありませんが、売春に関わること(あるいは売春をする過程)で刑事罰がある行為をしてしまい、捜査対象になることはあり得ます。
上記のような事件に心当たりがある場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御連絡ください。

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