Archive for the ‘刑事事件’ Category
警視庁浅草警察署の交通事故
~ケース~
東京都の役所に勤めるAさんは、車で通勤しています。
先日、仕事終わりに同僚から飲みに誘われて、職場近くの居酒屋でビール等を飲酒しました。
その後、車の中で1時間ほど寝て酔いを覚ましたAさんは、車を運転して帰路につきましたが、その道中で再び睡魔に襲われて居眠りしてしまい、東京都台東区内の路上で街路樹に衝突する交通事故を起こしてしまいました。
飲酒運転が発覚すると仕事を辞めなくてはいけないと思ったAさんは、事故現場に車を放置して自宅に逃げ帰りましたが、その後すぐに警視庁浅草警察署の警察官が自宅を訪ねてきました。
そこで飲酒検知されたAさんの呼気からは、基準値を超えるアルコールが検出されて、Aさんは道路交通法違反で摘発されてしまいました。
(フィクションです)
飲酒運転
軽微な道路交通法違反は、交通反則通告制度によって処理されるので、期日までに反則金を納付する事で刑事罰を免れる事になりますが、飲酒運転は、交通反則通告制度の対象外となります。
道路交通法では、飲酒運転を「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」に分けています。
お酒を飲んで車を運転し、呼気アルコール濃度が0.15mg以上の場合で酒気帯び運転となりますが、呼気アルコール濃度に関係なく、酒に酔って正常な運転ができない状態で車を運転すると酒酔い運転となります。
酒気帯び運転の刑事罰則規定は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金ですが、酒酔い運転の刑事罰則規定は5年以下の懲役又は100万円以下の罰金と、より厳しい設定になっているので注意しなければなりません。
酒気帯び運転で検察庁に書類送検されると、初犯であれば、ほぼ略式罰金で済みますが、回数を重ねるごとに重い処分となる事は言うまでもなく、前刑との期間が短く、犯行形態が悪質な場合は、2回目で実刑判決となる可能性もあります。
公務員による飲酒運転
刑事罰を受ける事によって、社会的な不利益を被る事はどなたも同じですが、公務員の方は一般の会社に勤めている方よりも大きな不利益を被る可能性が高いです。
例えば、一般の会社に勤めておられる方ならば報道されないような軽微な事件であっても、新聞、ニュースで事件が報じられるだけでなく、時として勤務先や、住所の一部、実名が報道されることもあります。
そして報道によって事件が職場に知れてしまうことになれば、事件の内容や、刑事処分の結果によっては、失職するおそれもあるのです。
ちなみに今回の事件を起こしたAさんは、市役所に勤務する地方公務員です。
地方公務員法では、分限や懲戒処分を規定しているだけでなく、信用失墜行為を禁止しています。
近年、飲酒運転に対して、社会は非常に厳しい反応を示しています。
その様な背景を考慮すれば、刑事罰以外にも、Aさんに対して厳しい処分が科せられることが予想されます。
その様な、最悪の事態に陥ってしまう前に、刑事事件を起こしてしまった公務員の方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
弊所では、これまでにも様々な職種の公務員の方からご依頼をいただき実績を残してまいりました。
東京都台東区で飲酒運転で交通事故を起こしてしまった公務員の方は、交通事件に強いと評判の、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談のご予約は、0120-631-881にて24時間・年中無休で承っております。
警視庁玉川警察署からの呼び出し
詐欺事件の任意出頭について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
◇事件◇
東京都世田谷区に住むAさんは、1年ほど前にリストラにあい、それまで10年以上勤務した会社を辞めました。
その後、再就職先が見つからず、それまでの貯金を崩しながら生活していましたが、1ヶ月ほど前に貯金が底をつきてしまいました。
ちょうどその時に、インターネットで「即日融資します。」という広告を見つけて、この業者に電話してみたのです。
業者から「銀行口座のキャッシュカードを郵送してくれれば、その口座に10万円入金します。」という説明を受け、Aさんは怪しいと思いながらも、指定された住所に銀行のキャッシュカードを郵送しました。
このキャッシュカードは、10年ほど前に貯蓄用に開設した口座でしたが、今は使用していませんでした。
その後、業者に連絡をしましたが電話が通じず、そうこうしているうちに、警視庁玉川警察署から「Aさんの口座が振り込め詐欺に使用された。」旨の電話がかかってきて、Aさんは警察署に呼び出されました。
(フィクションです)
※銀行口座を他人に譲渡することは法律で禁止されています。
正規の金融業者が、お客様にその様な要求をすることはないので、注意してください。
経済的に困窮した方の弱みに付け込み、銀行口座のキャッシュカードの譲渡を条件にお金の貸し付けを約束する悪質な業者が増えているようですが、自身のキャッシュカードを他人に譲渡することは犯罪です。
本日は、この様な行為が、どのような犯罪になるのかを解説します。
◇Aさんの場合◇
Aさんは、数年前に開設した銀行口座のキャッシュカードを他人に譲渡しています。
キャッシュカードを他人に譲渡して、第三者が口座を利用できる状況にすることは、口座を譲渡したこととなります。
この行為は、犯罪収益移転防止法違反となります。
犯罪収益移転防止法とは、犯罪収益が組織的な犯罪を助長するために使用されるとともに、犯罪収益が移転して事業活動に用いられることによって健全な経済活動に重大な悪影響を与えることや、犯罪収益の移転が、被害回復等を困難にしていることから、犯罪収益の移転防止を図り、国民生活の安全と平穏を確保するとともに、経済活動の健全な発展に寄与することを目的にする法律です。
そして犯罪収益移転防止法で、銀行口座を他人に譲渡することを禁止しています。
これに違反すれば1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、又はその両方が科されます。
罰金刑が定められているので初犯であれば、略式罰金の可能性が高いですが、複数の銀行口座を譲渡していた場合などは、起訴されて公開裁判になる可能性があります。
また銀行口座の譲渡が業として行われた場合は、3年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金(又はその両方)と厳しい罰則が科せられるおそれもあります。
◇他人に譲渡するために銀行口座を開設したら◇
Aさんは、以前から所有していた銀行口座を他人に譲渡しています。
上記の通り、この行為は犯罪収益移転防止法違反となりますが、それでは、他人に譲渡するために銀行口座を開設すればどうなるのでしょうか?
その場合、銀行員を騙して口座を開設したということで、詐欺罪に問われる可能性が高いです。
皆さんもご存知のとおり、銀行口座を開設する際は、銀行員から「口座の使用用途」等の調査を受けますが、その使用用途を偽って銀行口座を開設すれば、詐欺罪になるのです。
詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」と、上記した犯罪収益移転防止法違反よりも厳しい罰則になっており、罰金刑の規定がないために起訴されて有罪が確定すれば、執行猶予を得ない限りは刑務所に服役しなければなりません。
銀行口座を開設直後に譲渡している場合や、開設後に一度も使用せずに譲渡している場合などは、「開設当初から他人に譲渡する目的で銀行口座を開設した」と疑われて詐欺罪が適用されるおそれがあるので注意してください。
◇銀行口座の凍結◇
銀行口座が凍結される理由としては、実際に、振込め詐欺等の犯罪に使用された場合だけでなく、不可解な取引があり犯罪に使用されている可能性が高い口座も凍結されるおそれがあります。
また不正に利用された口座だけでなく、当該口座の名義人が所有する他の銀行口座も、犯罪に利用されるおそれのある口座として、同時に凍結されることもあります。
この様な理由で口座が凍結されてしまうと、凍結口座の取引ができなくなるだけなく、債権が消滅したり、今後、銀行口座を開設できなくなる場合もあるので注意してください。
犯罪に利用されたり、利用されるおそれがあることを理由に銀行口座が凍結されてしまうと、債務整理や相続が理由で口座凍結された時のように簡単に解除することができないので、刑事事件に強い弁護士に相談してください。
銀行口座を他人に譲渡した事件で、警察署に呼び出された方、ご家族、ご友人が、警視庁玉川警察署に逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、無料法律相談、初回接見サービスのご予約をフリーダイヤル0120-631-881で24時間、年中無休で承っております。
初回法律相談:無料
警視庁玉川警察署までの初回接見費用:37,600円
警視庁世田谷警察署で微罪処分
微罪処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
◇事件◇
会社員のAさんは、先日、仕事帰りに立ち寄った東京都世田谷区のコンビニエンスストアで缶チューハイ(150円相当)と、おつまみ(300円相当)を万引きしました。
支払いをせずに商品を持って店外に出たところで店員に捕まったAさんは、コンビニの事務所に連れていかれました。
コンビニに、妻を呼び出して代金を支払ってもらい、店長も謝罪を受け入れてくれましたが、店長は「会社の決まりで警察に通報しなければいけない。」と言って、警視庁世田谷警察署に通報しました。
その後、駆け付けた警察官によってAさんは、警視庁世田谷警察署に連行されましたが、被害が少額である上に弁償していることと、被害者である店長に謝罪が受け入れられていること等が評価されて、微罪処分となりました。
(フィクションです)
◇微罪処分◇
微罪処分とは、警察が事件を検察庁を送致せず、被疑者への厳重注意、訓戒等で刑事手続きを終了させることをいいます。
本来、警察が立件した事件は警察から検察庁へ送致することが原則(刑事訴訟法第246条本文)とされていますが、微罪処分された事件は、正式に送致されることなく、被疑者と罪名等が記載された一覧表が検察庁に報告されるだけです。
~刑事訴訟法第246条~
司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法律に特別の定がある場合を除いては、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。
但し、検察官が指定した事件については、この限りでない。
◇微罪処分の対象事件◇
なお、「検察官が指定した事件」とありますが、検察官がいちいち事件が立件された都度指定しているのではなく、通常は、各都道府県を管轄する地方検察庁の検事正が、微罪処分の対象事件があらかじめ定めています。
代表的な事件は
・窃盗罪
・横領罪
・占有離脱物横領罪
・暴行罪
等で、それぞれに細かい要件が定まっています。
その代表的な要件としては
●犯情(犯罪事実そのものの情状)が極めて軽微であること
●被害弁償、示談済みであること
●被害者が処罰を望んでいないこと
●被害額が少額であること
●同種の前科、前歴がないこと
等です。
◇微罪処分のメリット◇
微罪処分となれば、どんなメリットがあるのでしょうか?
~警察署での取調べが少ない~
微罪処分で作成される、供述調書等の司法書類は非常に少ないです。
そのため、通常の手続きの場合ですと複数回、警察署での取調べが行われますが、微罪処分の場合は1回、多くても2回でしょう。
ただ微罪処分であっても、被疑者写真や被疑者指紋は採取されて、警察庁のデータベースに登録されてしまいます。
~検察庁からの呼び出しがない~
微罪処分となれば、事件が検察官の元に送致されませんから、検察庁から呼び出しを受けることはありません。
ただ、微罪処分の手続きが適正に行われているかを検察庁が調査するために、ごくまれに検察庁に呼び出される場合があります。
~刑事罰が科せられない~
検察庁に送致されないということは、検察官の刑事処分を受けることもありません。
一番、不利な刑事処分は「起訴されること」ですが、微罪処分となれば、略式起訴も含めて、起訴されることは絶対にありません。
ですから、罰金刑が科せらることはおろか、刑事裁判を受けることも絶対にないのです。
~前科が付かない~
裁判で言い渡された刑事処罰の判断が確定すれば前科となりますが、微罪処分となれば裁判を受ける必要はありませんから、前科が付くこともありません。
◇微罪処分獲得のための弁護活動◇
これまで見てきたように、微罪処分となるためには、被害者弁償、被害者との示談が必要であることが分かります。
よって、微罪処分獲得に向けた弁護士の弁護活動も、被害弁償や被害者との示談が中心となってきます。
そして、微罪処分とするか否かは警察が決めますから、被害弁償、被害者との示談は、警察が事件を検察官へ送る前に済ませ、その結果を警察官へ示す必要があります。
被害弁償、被害者との示談をスピーディーに、かつ適切な内容でまとめるには弁護士の力が必要です。
当事者間で行おうとすると、感情の縺れなどから、交渉が難航し、交渉中に事件を検察官の元へ送られてしまう可能性もあります。被害弁償、被害者との示談交渉は弁護士にお任せください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
刑事事件・少年事件でお困りの方は、迷わず0120-631-881までお気軽にお電話ください。
無料法律相談、初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。
初回法律相談:無料
警視庁北沢警察署の刑事事件が不起訴処分に
不起訴処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
◇事件◇
会社員のAさんは、3カ月前に電車内で痴漢事件を起こして警視庁北沢警察署で取調べを受けました。
警察署での取調べを終えてたAさんは、先日、東京地方検察庁の検察官から呼び出しがあり、検察庁に行きました。
検察庁でも検察官の取調べを受けましたが、そこでAさんは、検察官から「今回の事件は不起訴処分にするので、今後は気を付けてください。」と言われました。
初めて刑事事件を起こしたAさんは「不起訴処分」の意味が分かりません。
(フィクションです)
◇不起訴処分◇
不起訴処分とは、刑事手続きにおいて、検察官が決定する終局処分(その事件について起訴・不起訴を終局的に決める処分)の一種で、その意味は文字通り、起訴されないということです。
~誰が決めるの?~
不起訴処分は、検察官が決定する終局処分の一種ですから、不起訴処分を決めるは警察官でもなければ、裁判官でもなく「検察官」です。
検察官の元には、警察や検察の捜査で収集した証拠が全て届けられます。
その証拠の中には、被疑者(犯人)にとって不利な証拠もあれば、有利な証拠も含まれています。
したがって、検察官は、それらの証拠を総合的に判断して、事件を起訴するか、不起訴処分にするか判断できる立場にあるのです。
~法的根拠~
●刑事訴訟法第247条(国家訴追主義)
公訴は、検察官がこれを行う。
●刑事訴訟法第248条(起訴裁量(便宜)主義)
犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴をしないことができる。
~いつ決めるの?~
起訴するか、不起訴にするかの判断は、上記~法的根拠~のとおり検察官に委ねられていますが、その決定する時期については明確な決まりがあるものではなく、検察官の裁量に一任されています。
検察官は、捜査の過程で収集した証拠に基づいて終局処分を決めますし、証拠の収集には一定程度時間を要しますから、終局処分の判断までにも一定の時間を要します。
ただし、身柄事件の場合は時間的制約がありますから、在宅事件に比べて証拠収集のスピードがあがり、その分、終局処分を下す時期も早くなります。
~不起訴処分の基準は?~
検察官が収集した証拠に基づき判断します。
そして、検察官は、起訴するだけの証拠が集まったか否かを見極めます。
証拠が集まっていないと判断した場合、あるいは集まっているが、犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況から起訴を必要としないとき(刑事訴訟法248条)は不起訴とします。
~不起訴処分の種類~
検察官が不起訴と判断するに至った理由の「題名」のことを裁定主文といいます。
よく目にするのが、「嫌疑不十分」と「起訴猶予」です。
嫌疑不十分とは、検察官が起訴するに足りる証拠が集まっていないと判断したときに裁定するものです。
起訴猶予とは、検察官が、証拠から犯罪であることは明らかであるが、犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況から起訴する必要がないと判断したときに裁定するものです。
実は、この裁定主文は「嫌疑不十分」「起訴猶予」の他にもいろいろあります。
例えば、そもそも被疑者が死亡している場合は「被疑者死亡」により不起訴となりますし、訴訟条件が欠けている場合も不起訴となります。
~不起訴になったらどうなるの?~
不起訴になれば、
・刑事裁判にかけられること
・刑罰を受けること
・前科が付くこと
がなくなります。
したがって、裁判所や検察からの呼び出しに応じる負担もなくなります。
また、不起訴処分の獲得によって職場の雇用や資格取得の場面でもよい影響が出るでしょう。
~不起訴処分の理由~
原則、検察官が不起訴とした具体的理由については公表されません。
被疑者に対する不起訴処分の告知について定めた刑事訴訟法259条にはその旨の文言が書かれていないからです。
※刑事訴訟法259条
検察官は、事件につき公訴を提起しない処分をした場合において、被疑者の請求があるときは、速やかにその旨をこれに告げなければならない。
~再び逮捕されたり、改めて起訴される可能性~
裁判と違って、不起訴処分には、それ以上事件を蒸し返してはいけないという決まりはありません。
したがって、不起訴処分となったからといって、逮捕、起訴されないという保証はありません。
証拠が足りなくて不起訴処分となっても(嫌疑不十分の場合)、処分後に新たな証拠が出てきた場合、起訴猶予で不起訴処分となっても、処分後に再犯を犯し情状が悪くなった場合などは、改めて起訴される可能性は十分に考えられます。
東京都世田谷区の刑事事件で不起訴処分を目指しておられる方、警視庁北沢警察署に逮捕された方の不起訴処分を目指している方は、刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回法律相談:無料
警視庁北沢警察署までの初回接見費用:35,600円
警視庁向島警察署の放火事件
放火事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
◇事件◇
東京都墨田区に住む会社員Aさん(35歳)は、3年前に亡父から相続した一軒家(築60年)に妻と二人で暮らしていました。
築年数が古いことから建替えを考えていたAさんは、自分の家に放火して、火災保険金を騙し取ることを思いつき、アパートを借りて、しばらくの間は、そのアパートで生活することにしました。
そして引っ越しを終えて荷物を運び出した後に、和室の畳に灯油をまき、火のついたタバコをその近くに放置して、しばらくすると灯油に引火して火災が発生するように仕掛けをして家を出ました。
しかし、火災が発生した直後に、近所の住民が火災に気付いて消火したので、畳一枚を焼損するにとどまったのです。
(フィクションです)
◇放火の罪◇
放火及び失火の罪は、刑法第109条から第118条に規定されていますが、本日は、主に
①現住建造物等放火罪~刑法第108条~
②非現住建造物等放火罪~刑法第109条~
について解説します。
~刑法第108条(現住建造物等放火罪)~
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物(略)を焼損した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。
~刑法第109条1項(他人所有の非現住建造物等放火罪)~
放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物(略)を焼損した者は、2年以上の有期懲役に処する。
~刑法第109条2項(自己所有の非現住建造物等放火罪)~
前項の物が自己の所有に係るときは、6月以上7年以下の懲役に処する。ただし、公共の危険を生じなかったときは、罰しない。
◇現住建造物と非現住建造物◇
放火の罪における「現住」とは、「現に人が家屋に使用している」若しくは「現に人がいる」の何れかです。
今回の事件で、Aさんは、すでに引っ越しを終えて家を出た後に放火しているので、非現住建造物に当たると考えられます。
◇自己所有と他人所有◇
今回の事件でAさんは、3年前に亡父から相続した自宅に放火していますので、一見すると刑法第109条2項の適用を受けそうです。
しかし刑法第115条に「差押え等に係る自己の物にかかる特例」が定められています。
この条文によりますと、保険に付した物件に放火した場合には、他人の物を焼損した時と同じ、刑法第109条1項の適用を受ける旨が明記されています。
つまりAさんの行為に対しては、他人所有の非現住建造物等放火罪が適用されるのです。
◇放火の既遂?未遂?◇
Aさんは、家を出た後に発火するように仕掛けをして家を出ており、その後実際に畳に引火し火災が発生しています。
しかし家屋その物には延焼せずに、畳一枚を焼損するに止まったというのですから、これが「焼損」といえるかが問題となります。
放火の既遂時期については、火が媒介物を離れ目的物に燃え移り、目的物が独立して燃焼を継続し得る状態に達すれば焼損(既遂)になるとしています。
ところがAさんの事件では畳しか燃えていません。
取り外し自由な雨戸、板戸、畳等は建造物の一部ではないとされているので、建造物を焼損する目的でこれらの物を焼損したにとどまったときは、建造物そのものを焼損したことにはならないと解せれます。
つまりAさん行為は、他人所有の非現住建造物等放火未遂罪が適用されるのではないでしょうか。
◇未遂罪の刑の減軽◇
刑法第43条で、未遂罪の減軽等が規定されています。。
~刑法第43条~
犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。
前段は障害未遂、後段は中止未遂と呼ばれます。
また、障害未遂は任意的減軽(裁判官の裁量による減軽)であるのに対し、中止未遂は必要的減軽(裁判官の裁量の余地のない減軽)である点が異なります。
今回の事件は障害未遂となるので、他人所有の非現住建造物等放火罪で起訴されて有罪が確定した場合、その法定刑「2年以下の有期懲役」が減軽されるかどうかは、裁判官の裁量によって判断されます。
東京都墨田区の放火事件でお困りの方、ご家族、ご友人が、警視庁向島警察署に逮捕された方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、フリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)にて、無料法律相談、初回接見サービスを受け付けておりますので、お気軽にお電話ください。
初回法律相談:無料
警視庁向島警察署までの初回接見費用:37,700円
警視庁本所警察署の共犯事件
共犯事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
◇事件◇
無職のAさんは、半年以上前にリストラにあい、それ以降仕事をしていません。
そんな中、偶然パチンコう店で知り合った男から、他人の家に空き巣に入って金儲けしようという話を持ち掛けられました。
最初は断ったAさんでしたが、ますます生活が困窮してきたから、この男の誘いにのることにしました。
事前に相談して、東京都墨田区の豪邸に侵入することを決めた二人は、犯行前に近所のパチンコ店で合流することにして別れました。
しかしAさんは、怖くなって約束の場所には行きませんでした。
そして、その翌日のニュースで男が一人で犯行を実行したことを知ったのです。ニュースによると男は、犯行中に帰宅した家人に見つかったので、家人に持っていたナイフを突きつけて現金を奪おうとしたらしく、警視庁本所警察署に強盗未遂罪で現行犯逮捕されていました。
(フィクションです)
実行行為に加わっていないAさんも、警察に逮捕された男と同じ刑責を負うのでしょうか?
◇Aさんも刑事責任を負う◇
今回の事件は男が単独で犯行を実行していますが、事前に犯行を相談、計画しているAさんにも刑事責任が及ぶと考えられます。
二人以上の者が一定の犯罪を共謀した以上、共謀者による実行行為の分担を必要とせず、そのうちの少なくとも一人がその実行をすれば、直接には実行行為に関与しなかった者をも含めて共謀者の全員が共同正犯としての刑責を負います。
つまりAさん自身は、犯行を思いとどまり実行に着手していませんが、事前共謀した男が犯行に及んでいる以上、Aさんも刑事責任を負うことになるのです。
今回の事件でAさんが刑事罰を免れるには、男に対して共謀から離脱する意思を伝えた上で、更に、男に犯行を中止するように働きかけなければなりません。
ちなみにAさんについては、自らの意思で犯行を止めているので、中止未遂で減軽の対象となりそうですが、共犯者によって犯行が継続されて犯罪が既遂に達しているので、中止未遂規定は適用されません。
◇Aさんに科せられる刑事責任◇
上記のように、Aさんが刑責を負う可能性は非常に強いと考えられますが、はたして逮捕された男と同じ強盗未遂罪の刑責を負うのでしょうか。
~共犯の錯誤の意義~
犯行を実行した者の犯罪行為と、共犯者の認識していた事実が一致しない場合を「共犯の錯誤」といい、原則として共犯者の故意は阻却されますが、構成要件の重なる範囲において、軽い罪の共同正犯となります。
=認識した事実より発生した事実の方が重い場合=
今回の事件のように、窃盗を共謀したにもかかわらず、共犯者が強盗を実行した場合、窃盗の共同正犯としての刑責を負います。
=認識した事実よりも発生した行為の方が軽い場合=
例えば、強盗を共謀したら窃盗を実行した場合、窃盗の共同正犯となります。
=結果的加重犯の場合=
暴行を共謀したら共犯者が傷害を実行した場合のように、基本となる行為を共謀した結果、重い結果が発生したら、重い罪の共同正犯となります。
刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、これまで数多くの刑事事件の刑事弁護活動を行ってきた実績がございます。
知人と共謀して刑事事件を起こしてしまった方や、刑事事件を起こして警察に逮捕された人と事前に共謀していた方など、共犯事件に関する法律相談を幅広く受け付けておりますので、刑事事件にお困りの方は、お気軽にご相談ください。
無料法律相談のご予約は、フリーダイヤル0120-631-881にて、24時間受付けております。
初回法律相談:無料
警視庁本所警察署までの初回接見費用:37,300円
警視庁高井戸警察署で弁護士接見
接見交通権について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
あなたが逮捕された場合や任意取調べを受けた際、弁護士との面会を希望することがあると思います。弁護と面会などをする権利を接見交通権と言い、接見交通権は、憲法に由来する刑事手続上最も重要な基本的権利に属するとされています。
◇接見交通権について◇
接見交通権は、刑事訴訟法第1項に原則、同条第3項に例外が規定されています。
~刑事訴訟法第39条~
1項 身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は、弁護人又は~弁護人となろうとする者~と立会人なくして接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。
3項 検察官、検察事務官又は司法警察職員~は、捜査のため必要があるときは、公訴の提起前に限り、第1項の接見又は授受に関し、その日時、場所及び時間を指定することができる。但し、その指定は、被疑者が防禦の準備をする権利を不当に制限するようなものであってはならない。
このように、刑事訴訟法第39条第1項は接見交通権の原則を規定し、第3項は捜査のため必要があるときは、接見等の日時・場所及び時間を指定することができる「接見指定」を規定しています。
この点について判例は、弁護人等から被疑者との接見等の申出があれば、
①原則としていつでも接見等の機会を与えなければならない。
②例外的に接見指定をできるのは、現に被疑者を取調べ中である場合などの「捜査に顕著な支障が生ずる場合」である。
③接見指定をする場合も、弁護人等と協議してできる限り速やかな接見ができるような措置を採らなければならない。
としています。
◇具体的な事例◇
~接見に関する対応が違法となるケース~
―事例―
逮捕勾留中の被疑者に対する取調べの最中に、弁護人が警察署に行き、被疑者との接見を申し出た際に、捜査主任官は、捜査に顕著な支障を生ずる場合とは認められず、接見指定はしないこととしましたが、取調官は、供述調書の作成中であったことからその作成等を続け、接見の申出の連絡を受けてから取調べを終わらせるまで約10分間経過しました。
上記事例と同様の事例で、取調官の対応を違法とした裁判例があります。
この裁判例のポイントは、接見の申出を受けたならば接見指定をしない限りは捜査手続を中止るべきとの判断を明確にしています。
なお、被疑者を任意で取調べている最中に、弁護人となろうとする者が来署して被疑者との面会を求めた際に、捜査主任官が、面会の段取りをしているなどと曖昧な対応に終始した事案で、弁護人の面会希望を速やかに被疑者に伝えず、取調べを継続するなどした対応を違法とした裁判例があり、任意取調べでは、身体拘束中の場合と異なり接見指定の規定もありません。
ですから、あなたがもし任意取調べを受けた際に、弁護士との面会を希望しているにも関わらず、取調官がその面会を遅らせるため、様々な理由をつけてその機会を遅らせることは接見交通権の妨害になり、違法となり得るのです。
~接見に関する対応が適法とされるケース~
―事例―
留置場に勾留中の被疑者について、弁護人が休日に事前連絡なく来署して接見を申し出ました。検察官から接見指定がなされる場合があるとの連絡を受けていた看守が検察官に問い合わせしましたがなかなか連絡を取れませんでした。その後、検察官から接見指定をしない旨の連絡があり、それを弁護人に伝えて接見するまで、約40~45分を要して弁護人の接見開始が遅れました。
上記事例と同様の事例で、看守と検察官の対応が適法とされた判例があります。
この判例では、「接見等の申出を受けた者が、…指定の要件の存否を判断できないときは、権限のある捜査機関に対して申出のあったことを連絡し、その具体的措置について指示を受ける等の手続を採る必要があり、こうした手続を要することにより…接見等が遅れることがあったとしても、それが合理的な範囲内にとどまる限り、許容されているものと解する」としています。
事例では看守がすぐに検察官に問い合わせ、検察官は可能な限り速やかに回答しているので適法とされています。
なお、この事例においては、休日で当直の検察官を経由するなどの事情を加味して約40~45分間の遅延が「合理的な範囲内」と判断されたと思われますし、「通常の勤務時間内であるのに、担当検察官の不在を理由として接見指定を拒むことはできず、合理的時間が経過すれば、指定がなされなくても接見指定の行使がなかったものとして接見させなければならない。」、「合理的時間としては、せいぜい30~40分程度であろう。」などとの指摘があります。
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警視庁杉並警察署の選挙違反事件
公職選挙法違反事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
◇事件◇
東京都杉並区に住むAさんは、工場で食品加工の仕事をしています。
昨夜は夜勤で徹夜仕事だったため、今日は朝方に帰宅して寝ていますが、寝始めてすぐに近所で街頭演説が始まり、その声で目が覚めてしまいました。
街頭演説は、来週に行われる杉並区議会議員選挙の候補者が行っているものでした。
最初は我慢していましたが、街頭演説が一時間以上にも及び、全く寝付けないことに苛立ったAさんは、演説会場に行き、そこで演説していた候補者に対して空き缶を投げつけたのです。
Aさんは、公職選挙法違反で現行犯逮捕され、事件はニュースで報道されてしまいました。
(この事件の内容はフィクションです)
◇公職選挙法違反◇
日本国内で行われる選挙を取り締まるための法律です。
この法律で規制される選挙(公職選挙)は、衆議院議員、参議院議員、地方公共団体の議会の議員、地方公共団体の長(都道府県知事や市町村長)を選出するための選挙です。
公職選挙法では、選挙制度や、公正に選挙が行われるための様々な決まりが定められれています。
◇選挙活動とは◇
公職選挙法では、選挙活動に対して様々なルールが定められていますが、そもそも公職選挙法で規制されている選挙活動(運動)とは、どのような活動なのでしょうか。
公職選挙法では、選挙については定義されていますが、その活動(運動)には定義がありません。
そのため最高裁で、確定した
1.特定の選挙において
2.特定の候補者を当選させるために
3.有権者に働きかける行為
が、選挙活動(運動)と定義付けられており、選挙活動が許される期間は、公示日(告示日)から選挙が行われる日の前日までです。
よく街角で見かける街頭演説でも、選挙活動(運動)と、そうでない政治活動がありますが、選挙期間中に「●月●日に選挙では●●党の●●に清き一票をお願いします。」といった内容を演説していた場合は選挙活動となります。
◇選挙の自由妨害違反◇
選挙の候補者や、選挙運動に従事する者等の選挙活動に対して、暴行若しくは威力を加えて妨害した場合は、選挙の自由妨害となります。
Aさんのように、街頭演説を行っている候補者に対して空き缶を投げつける行為は当然のこと、街中の掲示板(候補者掲示板)に掲示されている候補者の選挙ポスターを破ったりして損壊した場合も、公職選挙法の自由妨害違反となります。
最近では、候補者の選挙ポスターにシールを貼った男が公職選挙法違反で警察に逮捕されています。
選挙の自由妨害罪で起訴されて有罪が確定すれば「4年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金」です。
Aさんの様に、人に向かって空き缶を投げつけた場合、もし人に当たって怪我をすれば傷害罪が適用されますが、当たらなかった場合、暴行罪の適用にとどまります。
暴行罪の法定刑は「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」ですので、同じ行為であっても、公職選挙法違反が適用された場合は厳罰化されます。
更に、選挙前になると、選挙区を管轄する警察署には捜査本部が設立されます。
その期間中、選挙違反に対する取り締まりが強化されますので、自由妨害違反であっても警察に逮捕される可能性は、単純な暴行や、器物損壊事件よりも高くなるので、注意しなければなりません。
ご家族、ご友人が警視庁杉並警察署に逮捕されてしまった方、公職選挙法違反等の選挙違反事件のご相談は、刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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警視庁荻窪警察署の時効事件
公訴時効について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
◇事件◇
自動車整備工をしているAさんは、数日前に、お客さんから「10年以上前に盗んだバイクだから大丈夫。」と言われて、バイクを無償で譲り受けました。
このバイクを修理して使用していたAさんは、東京都杉並区の路上を走行中に、信号無視をしてしまい、警視庁荻窪警察署の警察官に取締りを受けました。
その際に、Aさんのバイクの車体番号が削られていたことを不審に思った警察官から、バイクについて追及を受けたAさんは「10年前の話なので、もう時効が成立しているので大丈夫だと思って、バイクをお客さんから無償で譲受けた」等と、これまでの経過を警察官に説明したのです。
Aさんは、警視庁荻窪警察署に連行されて取調べを受けました。
(フィクションです)
◇公訴時効◇
刑法では、犯罪が行われた後、公訴されることなく一定期間が経過した場合には、公訴が提起できなくなる公訴時効が規定されています。
公訴時効が成立する時期は、その犯罪の法定刑の大小を基準として規定されており、以下の通りです。
①人を死亡させた罪:法定刑に応じて、公訴時効なし,または30年、20年、10年
②死刑に当たる罪:25年
③無期懲役または禁錮:15年
④長期15年以上:10年
⑤長期15年未満:7年
⑥長期10年未満:5年
⑦長期5年未満または罰金:3年
⑧拘留または科料:1年
窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」ですので、上記⑤に当たります。(窃盗罪の公訴時効は7年)
ですからお客さんが言うように、バイクを盗んだのが10年以上前であれば、バイクを盗んだ窃盗事件については時効が成立していることになり、バイクを盗んだお客さんに刑事罰が科せられることはありません。
◇盗品等無償譲受罪◇
盗品等無償譲受罪とは、盗品その他財物に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けることで、刑法第256条で「3年以下の懲役」の罰則が規定されています。
盗品その他財物に対する罪とは、窃盗罪や横領罪によって不法領得した財物は当然のこと、詐欺罪や恐喝罪によって不正に取得した財物も対象になります。
また、財産罪によって領得された財物が盗品等となるのですが、ここにいう犯罪行為は、構成要件に該当する違法行為であれば足り、必ずしも有責であることを必要としません。
つまり財産罪を犯した犯人が、刑事未成年者であったり、親族間の犯罪に関する特例の適用によって刑の免除を受たりしている場合や、本犯の公訴時効が完成している場合でも、盗品等無償譲受けの罪は成立してしまうのです。
財産罪の実行行為に加担していた者は、財産罪の共犯となるので、盗品等の罪の主体にはなり得ませんが、財産罪の教唆者や幇助者は、財産罪の実行行為を分担するのではないので、盗品等の罪の主体となり得ます。
盗品等無償譲受罪は故意犯です。
この罪が成立するには、行為者に盗品であることの認識がなければなりません。
この認識は、いかなる財産罪によって取得した物なのか、犯人や被害者が誰なのか等の詳細まで必要とされませんが、その財物が何らかの財産罪によって領得された物であることの認識は必要です。
◇事件を検討◇
Aさんにバイクを譲ったお客さんの窃盗事件について公訴時効が成立しています。
しかしAさんは、盗品としてバイクを譲り受けているので、Aさんの行為に盗品等無償譲受罪が適用されてしまうでしょう。
公訴時効など刑事事件に関してご不明な点は、刑事事件を専門にしている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では初回の法律相談を無料で承っておりますので、法律相談ご予約専用ダイヤル0120-631-881までお気軽にお電話ください。
警視庁四谷警察署に逮捕されるか
警視庁四谷警察署に逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
◇事件◇
Aさんは、新宿二丁目でバーを経営しています。
一ヶ月ほど前に、バーのお客さんが酔いつぶれて、閉店時間を過ぎてもカウンターに座ったままイビキをかいて寝ていたので、Aさんは、店を閉めて帰る際に、お客さんをお店の外に出して、道路上に寝かせて帰宅しました。
そしてこのお客さんは、翌日の早朝に路上で死亡しているのが発見されました。
現場を管轄する警視庁四谷警察署は、保護責任者遺棄致死罪で捜査しており、近くの防犯カメラには、Aさんが、死亡したお客さんを路上に放置している映像が撮影されていたようです。
Aさんは、警察に逮捕されるか不安で、刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に法律相談しました。
(フィクションです。)
◇保護責任者遺棄致死罪◇
幼児や高齢者、身体障害者、病人を保護する責任がある者が、放置したり、生存に必要な保護をしなかったりして、要保護者を死亡させると、保護責任者遺棄致死罪となる可能性があります。
保護責任者遺棄致死罪は、刑法第219条に規定されている法律ですが、ここで法的刑は規定されておらず、保護責任者遺棄致死罪で起訴されて有罪が確定した場合は、刑法第218条に規定されている保護責任者遺棄罪の法定刑(3年以上5年以下の懲役)と刑法第204条に規定されている傷害罪の法定刑(15年以下の懲役又は50万円以下の罰金)と比較して、重い刑が言い渡されるので、実質、保護責任者遺棄致死罪の法定刑は「3カ月以上15年以下の懲役」となります。
保護責任者遺棄致死罪で客体となる要保護者とは、老年者、幼年者、身体障害者又は病者です。ここでいう「病者」とは、刑法第217条に規定されている「遺棄罪」でいうところの疾病のために扶助を必要とする者と同じ意味です。病気や傷害等により、肉体的、精神的に疾患のあることを意味し、その原因のいかん、治癒の可能性の有無、疾病期間の長短は問われません。薬物等の影響や、泥酔により意識を失っている者もこれに含まれます。
ちなみに、扶助を必要とする者とは、他人の助けがなければ日常生活を営むための動作ができない者で、生活資力を自給し得るかどうかは問われません。
続いて保護責任者遺棄致死罪で主体となるのは、上記客体を保護する責任のある者に限られます。保護責任は、法令の規定、契約、慣習、事務管理、条理によって発生する法律上のものでなければなりません。幼児の保護者や、老人の介護者は当然のこと、病人を看護する看護師や、幼児の面倒をみるベビーシッターも保護責任者遺棄致死罪の主体となるでしょう。
◇事例を検討◇
今回の事件を検討します。
まず、保護責任者遺棄致死罪が成立するための要件を整理すると
①老年者、幼年者、身体障害者、病者など他人の扶助を必要とする者(客体)
②上記(客体)を保護する責任のある者(主体)
③上記(客体)を遺棄するか、その生存に必要な保護をしない(行為)
④上記(客体)が死亡する(結果)
となります。
まず①に、今回の事件で死亡した、バーのお客さんが該当するかについてですが、最高裁の判例で、泥酔して高度の酩酊により身体の自由を失い、他人の扶助を要する状態にある者も、保護責任者遺棄致死罪の「病者」に当たるとされているので、該当する可能性が高いでしょう。
続いて②にAさんが該当するかについてですが、泥酔者に対する保護責任がしばしば問題となっており、これまで泥酔者に対する保護責任が認められた例としては、一緒に飲んでいて泥酔した仲間を、いったんは介抱されていたものの、その後放置して死亡させた事件や、タクシーの運転手が、タクシーの中で泥酔して寝込んだ客を、タクシーから降ろして路上に放置して死亡させた事件等があります。
これら過去の事件を考えると、自分の店で泥酔して寝込んでいる客に対して、店主であるAさんには保護責任があると考えるのが妥当ではないでしょうか。
最後に、店外に連れ出す行為について検討します。
保護責任者遺棄致死罪でいう「遺棄」とは、要保護者を場所的に移動させるだけでなく、置き去りのように、要保護者を危険な場所に遺留して立ち去る行為も含まれます。
Aさんは、泥酔して店内で寝ているお客さんを店外に連れ出して、路上に放置している行為は「遺棄」に該当するでしょう。
◇逮捕されるか◇
保護責任者遺棄致死罪は、人の生命という重大な結果が生じている事件ですので、逮捕されるリスクは非常に高いと考えていいでしょう。
また今回の事件ですと、泥酔した客を放置した路上の環境によっては、未必の故意での殺人罪が適用される可能性があるので、警察等での取調べには十分に注意しなければなりません。