1 脱税事件
脱税とは、法律上許されない方法で税金の納付義務を免れることです。
脱税事件とは、納税義務者や徴収納付義務者が、脱税する意図で「偽りその他不正な行為により」、所得税・法人税等の税金の支払いを免れたり、還付を受けたりする事件です。
罰則は、所得税法238条・法人税法159条などに規定されています。
具体例 所得税法 第238条第1項
偽りその他不正の行為により、第120条第1項第3号(確定所得申告に係る所得税額)(第166条(非居住者に対する準用)において準用する場合を含む。)に規定する所得税の額(第95条(外国税額控除)の規定により控除をされるべき金額がある場合には、同号の規定による計算を同条の規定を適用しないでした所得税の額)若しくは第172条第1項第1号若しくは第2項第1号(給与等につき源泉徴収を受けない場合の申告)に規定する所得税の額につき所得税を免れ、又は第142条第2項(純損失の繰戻しによる還付)(第166条において準用する場合を含む。)の規定による所得税の還付を受けた者は、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 脱税事件の態様
脱税事件の態様としては、虚偽過少申告(納税額を少なく申告する)、虚偽不申告(申告しないまま法定納期限を超える)、虚偽修正申告などがあります。
3 脱税事件の流れ
脱税事件は、通常、国税局などの税務調査、犯則調査(査察)などが行われます。
脱税などの違反行為が認められると判断された場合、国税庁から検察官に対して告発されることとなります。
脱税事件の告発を受けた検察官は、国税庁から事件を引継ぎ、刑事事件として捜査が開始されます。
刑事事件として捜査された段階で、捜査機関に脱税をした者が逮捕・勾留されることもあります。
家宅捜索などで脱税の証拠も押さえられ、起訴された場合には、ほぼ有罪となります。
このような脱税事件の流れの中で、国税庁などの税務調査、犯則調査(査察)の段階から、弁護士へ相談することが重要です。
税務調査や犯則調査(査察)は、税の専門家である税務調査官が綿密に行います。
刑事事件化を阻止するためにも、迅速に適切な対応が必要となります。
4 脱税事件の見通し
脱税事件においては、告発や起訴、量刑の重要な考慮要素として脱税額・脱税の手口・修正申告や納税状況などが考慮されます。
脱税事件の中でも脱税額が1億円以上、申告率が著しく低い、手口が巧妙かつ悪質・計画的などといった事情がある場合、刑事告発や刑事事件として起訴される可能性が高くなります。
また、起訴され刑事裁判となった場合、執行猶予が付かない実刑判決になる可能性も高いです。
脱税事件における弁護活動のポイント
脱税事件は、納税義務者の場合には起訴される可能性が高くなります。
そのため、税務調査や犯則調査(査察)、検察官への告発という起訴される前の段階から弁護士へ相談することが重要となります。
国税庁の調査の段階から適切に弁護活動を行い、一貫した主張をすることで、できる限り穏便な処分を目指します。
脱税事件は故意犯ですので、脱税する故意や意図がなかったことなど、弁護士に説得的に主張していくことも考えられます。
また、脱税事件の事実を大筋で認めている場合にも、量刑を判断する事情(脱税額、脱税の手口・計画性、修正申告の状況、納税状況など)について、被告人に有利な事情を積極的に主張していくことも考えられます。
修正申告やそれに基づく納税を早急に行うことで、実刑を避け、執行猶予判決を得ることができる場合も十分に考えられます。
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