(相談例)
▼性風俗店で女性と無理やり本番行為をした。その後、強姦罪の被害届が出され、警視庁三田警察署から呼び出しを受けた…
▼酒を飲み泥酔している女性を介抱するうち、ムラムラしトイレで性交渉した。
女性が警視庁目黒警察署の警察官に相談し、準強姦罪の容疑で逮捕・勾留された…
1、不同意性交等罪(旧強姦罪・準強姦・強制性交等罪)
不同意性交等罪(旧強姦・強制性交等罪)(刑法177条1項)は、①次の各号に該当する行為や,それらに類する行為によって,②性交等の行為について同意する意思を全うすることができない状態にさせて,③性交等をすることを言います。
- 1号 暴行,脅迫を用いること
- 2号 心身の障害を生じさせること
- 3号 アルコールもしくは薬物を摂取させること,その状態を利用すること
- 4号 睡眠その他の意識が明瞭ではない状態にさせること,その状態を利用すること
- 5号 性交等に対して同意しない意思を示すいとま(時間的余裕)がないこと
- 6号 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ,驚愕させること
- 7号 虐待に起因する心理的反応を生じさせること
- 8号 経済的,社会的関係の地位に基づく影響があること
平成29年,令和5年に2度の刑法改正を踏まえて,強姦罪,強制性交罪,そして不同意性交等罪と名前が変わってきました。
「性交等」の行為には,性交・肛門性交・口腔性交の他にも,膣や肛門に身体や物の一部を挿入する行為であってわいせつなものを含みます。性行為そのものでないとしても,例えば膣内に性玩具を挿入する行為も不同意性交罪に該当します。
また,上記の1~8号に該当しない場合であっても,行為がわいせつなものではないと勘違いさせたり,行為の相手を別人物と勘違いさせたり,そのような勘違いの状況を利用して性交等をさせた場合も同様に不同意性交等罪が成立します。
更に、被害者が16歳未満の場合には、被害者の同意があったとしても性交・肛門性交・口腔性交その他の挿入行為をした場合にも,不同意性交等罪が成立します。
かつては性交のみが旧強姦罪とされていましたが,性交に類する行為(肛門性交や口腔性交)も同様に処罰すべきとの観点から,平成29年7月13日の改正刑法の施行により処罰の対象とされました。この時の改正によって,行為が性交に限られなくなったことに加え,男性を被害者とした強制性交等罪も成立するようになりました。
また,令和5年の刑法改正によって「準」強制性交等罪が「不同意性交等罪」へまとめられることになりました。アルコールなどの影響によって正常な判断をしたり,性交等について同意するかどうか判断ができない状況については,上記の3号に該当することになります。
不同意性交等罪(旧強姦・強制性交罪)は、個人の性的自由を保護する犯罪です。そのため、両罪とも「5年以上の有期懲役」という重大犯罪です。平成29年の改正刑法によって,旧強姦罪と比べて法定刑の下限が2年引き上げられました。
かつては,性犯罪の被害に遭ったという事実自体,被害者にとってプライバシー性の強いできごとであるため、親告罪(刑法180条)とされていました。しかし,法改正により不同意性交等罪(旧・強制性交等罪,準強制性交等罪)も,親告罪ではなくなりました(非親告罪)。
非親告罪は、被害者の告訴がなくても、検察官が公訴の提起(起訴)をすることができる犯罪です。
▼不同意性交等罪のまとめ
不同意性交等罪(刑法177条) | |||
行為 | ①1~8号の類型に該当する,またはそれに類するような行為,事由によって
②性交等に同意する意思ができないような状態にさせ ③性交等をする |
①行為がわいせつなものでない/行為者について人違いをさせて
②①の状況を知りながら,また状況を利用して,人の心神喪性交等をした場合 |
同意があったとしても
①16歳未満の者と ②性交等をする ※相手が13歳以上,16歳未満の場合は,年齢差が5歳以上 |
法定刑 | 5年以上の長期懲役 |
||
告訴 | 告訴が不要(非親告罪) |
2、不同意性交等をしてケガをさせた場合は?
不同意性交等致死傷罪(旧強姦致死傷,強制性交等致死傷罪)(刑法181条2項)
加害者が、不同意性交等をして被害者に怪我をさせた場合、死亡させてしまった場合には、より刑の重い不同意性交等致死傷罪(旧強姦致死傷,強制性交等致死傷罪)(刑法181条2項)に問われます。
不同意性交等致死傷罪の法定刑は、無期若しくは6年以上の懲役となります。
不同意性交等致死傷罪は、被害者の死傷結果を生じさせる重い犯罪であるため、親告罪ではありません。したがって、被害者の告訴がなくても、検察官は事件を起訴することができます。
また、事件が起訴された場合、裁判員裁判の対象となり、裁判員裁判が開かれることになります。
3、数人で姦淫した場合は?
旧集団強姦罪(旧刑法178条の2)について
改正前の刑法では,「2人以上の者が現場で共同して」姦淫した場合、旧集団強姦罪(刑法178条の2)が成立していました。
旧集団強姦罪の法定刑は、「4年以上の有期懲役」です。
しかし平成29年の改正刑法の施行により①不同意性交等罪の法定刑が5年に引き上げられて集団強姦罪よりも刑が重くなったこと,②非親告罪となったことから,数人による姦淫も不同意性交等罪の共犯(共同正犯)が成立するようになりました。
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強制性交等事件は、すぐに弁護士に相談し、被害者へ謝罪や被害弁償を行うことで、示談をすることが早期解決のカギです。
不同意性交等事件は、非親告罪ですが,告訴がなされているかどうかは依然起訴するかどうかの重要な判断要素です。そのため、被害者が告訴を取り下げれば、裁判所に起訴される可能性を下げることができます。不起訴処分になると、前科は付きませんし、被疑者が身柄拘束されている場合にも、釈放されます。
しかし、被害者が告訴を取り下げるのは、検察官が事件を起訴するまでしかできません。
そのため、警察が不同意性交等事件を捜査している段階から弁護士に相談することが重要となります。刑事事件を専門に取り扱っている当事務所では、重大事件の被害者への配慮を行う一方、依頼者のため経験豊富な弁護士が、最善の弁護活動を行います。
▼ご家族が不同意性交等事件で逮捕・勾留された…
▼不同意性交等事件を起こしてしまった。事実は間違いないので被害者に誠意をもって謝罪したい…
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