強盗容疑で逮捕された事件の示談交渉について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
強盗容疑で逮捕
Aさんは、東京都大田区池上の夜間人通りの少ない路上で、女性をナイフで脅して、女性に着用していた下着を脱がせ、その下着を奪い取りました。
女性からの通報を受けた警視庁池上警察署の捜査によって、Aさんは事件から3週間後に強盗容疑で逮捕されたようです。
逮捕の知らせを聞いたAさんの家族は、強盗罪に強いと評判の弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
下着泥棒と強盗罪
本件では、Aは強盗罪により逮捕されてしまっています。
この点、刑法は236条1項において「暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する」と、「財物」に対する強盗罪(いわゆる1項強盗)を定めています。
まず、強盗罪の手段である「暴行又は脅迫」とは、被害者の反抗を抑圧するに足りる暴行・脅迫である必要がありますが、本件ではナイフという危険性の高い凶器つきつけており、反抗を抑圧するに足りる「脅迫」であるといえます。
そして、下着も財産的価値のある有体物ですから、強盗罪の客体たる「財物」に当たります。
もっとも、多くの財産犯(領得罪)には、犯罪を行う故意(刑法38条本文)の他に、不法領得の意思が必要とされると解されています。
ここで「不法領得の意思」とは、権利者を排除して他人の物の自己の所有物として、その経済的用法に従い利用処分する意思をいうと解されています。
本件では、権利者排除意思が認められることは明らかなので、利用処分意思があるかどうかが主に問題になります。
窃盗罪や強盗罪などに利用処分意思が必要とされるのは、財物の効用を享受しようとするいわば物欲に基づくこと犯罪を、器物損壊罪などよりも重く処罰する点にあります。
そして判例・実務上は、利用処分意思は単純な毀棄隠匿(器物損壊等)の意思によるものでなければ認められるといわれており、本件のように脅迫を手段にして下着を盗む行為にも、利用処分意思が認められることになるでしょう。
したがって、Aは脅迫を手段とした強盗罪の刑事責任を問われることなると考えられるのです。
強盗罪における刑事弁護活動
刑事訴訟法は、248条において「犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる」と、検察官の訴追裁量を認めています(起訴便宜主義)。
したがって、「犯罪後の情況」として被害者との示談を成立させることによって、起訴猶予等の不起訴処分を得る可能性も出てきます。
強盗罪は「5年以上の懲役」と重い刑罰が定められた重大犯罪で、起訴されれば刑事裁判を受けることになりますし、その法定刑の重さから執行猶予を獲得することも難しい犯罪です。
ですから、被害者との示談を成立させることで主張できる事情を増やすことは、加害者である被疑者にとって極めて重要です。
示談にあたっては、被害者の財産的被害のみならず精神的被害の回復を目指した示談交渉が必要となります。
また、本件のように被疑者が身体拘束を受けている場合には、検察官が身体拘束の期限に際して起訴・不起訴の決断を出す前に示談交渉をまとめる必要があり、常に時間的制約が伴います。
逮捕・勾留されてしまった場合(勾留延長含む)には、検察官も原則として最大23日以内に起訴するかどうかの判断をすることになるからです。
強盗罪に強い弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部は、強盗罪を含む暴力・粗暴事件に強い刑事事件専門の法律事務所です。
示談交渉等にあたっては、刑事事件は上述のように時間との闘いでもあるため、経験豊富な刑事事件に強い弁護士に相談することが重要です。
強盗事件で逮捕された方のご家族は、まずは通話料のかからない弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までお問い合わせして頂くことをおすすめいたします。
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