【報道事例】業務上過失致死傷罪とは?「過失」ってなに?
今回は、東京都内のビル工事現場で起きた事故をもとに、業務上過失致死傷罪について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
【事例】
東京都中央区八重洲のビル工事現場で19日、7階部分から鉄骨が落下する事故があり、男性作業員2人が死亡した。
警視庁は現場の安全管理に問題がなかったかを含め、業務上過失致死傷容疑を視野に調べている。
(中略)
警視庁は今後、事故当時の状況を確認するなどして捜査を進める方針。
現場の安全管理に問題がなかったかなどが焦点になる。
(※令和5年年9月13日に日本経済新聞で報道された「東京・八重洲の作業事故、業過致死傷容疑視野に捜査」を一部抜粋・変更して引用しています。)
【業務上過失致死傷罪とは】
業務上過失致死傷罪は、刑法211条に規定されています。
- 刑法211条(業務上過失致死傷等)
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮または百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。
では、業務上過失致死傷罪の「過失」とは一体何でしょうか。
これは、刑法上「予見可能性を前提とした結果回避義務違反」と定義されます(この考え方は新過失論と呼ばれますが、諸説あります)。
予見可能性とは、その起こってしまった状況が行為者にとって予測できたのかどうかの可能性のことです。
そして、結果回避義務違反とは、その状況が予測できて回避することができたのに結果回避行為をしなかったということです。
そのような者には、「過失」が認められるとして過失犯を成立させることができます。
予見可能性を前提とした結果回避義務違反について、211条の文言の中では「必要な注意を怠り」と表現されています。
【本件で業務上過失致死傷罪は成立する?】
では、本件に業務上過失致死傷罪が成立するのでしょうか。
まず、現場監督には、
- 事故が起きたことについて予想できたのか(予見可能性)
- 事故を回避することができたか(結果回避義務)
について検討が加えられます。
そして、その点が認められれば、過失が認められて業務上過失致死傷罪が成立すると考えられます。
【業務上過失致死傷罪で逮捕されてしまったら】
本件で見たように、過失には争点となるポイントは様々あります。
そこで、逮捕後、被疑者に不利にならない対応をするために、早いタイミングで弁護士に相談することが大切です。
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