★犯罪収益移転防止法の解説★~シリーズ8:罰則⑤(仮想通貨交換用情報の譲り受け等)~

★犯罪収益移転防止法の解説★~シリーズ8:罰則⑤(仮想通貨交換用情報の譲り受け等)~

 今回は、犯罪収益移転防止法の罰則のうち、仮想通貨交換用情報譲り受け等について解説します。

1 仮想通貨交換用情報とは
 犯罪収益移転防止法にいう「仮想通貨交換用情報」とは、仮想通貨交換業者において仮想通貨交換契約に係る役務の提供を受ける者を他の者と区別して識別できるように付される符号その他当該役務の提供を受けるために必要な情報をいいます。
 具体例としては、登録業者から付与されたIDやパスワードなどです。
 「仮想通貨交換業者」とは、仮想通貨交換業者として内閣総理大臣の登録を受けた者をいいます(資金決済に関する法律2条8項)。
 「仮想通貨交換業」とは、①仮想通貨の売買又は他の仮想通貨との交換、②①の行為の媒介、取次ぎ又は代理、③①及び②の行為に関して、利用者の金銭又は仮想通貨の管理をすることのいずれかを業として行うことをいいます(資金決済に関する法律2条7項)。
 「仮想通貨」については、資金決済に関する法律2条5項に定義が規定されていますが、かなり難しいので、具体的には「ビットコイン」や「NEM」などのことを指すと思ってください。

2 仮想通貨交換用情報の譲り受け等(犯罪収益移転防止法30条)
 ①「他人になりすまして仮想通貨交換業者との間における仮想通貨交換契約に係る役務の提供を受けること又はこれを第三者にさせることを目的として、仮想通貨交換用情報の提供を受けた者」又は、「相手方に上記目的があることの情を知りながら、相手方に仮想通貨交換用情報を提供した者」には、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、又はその両方が科されます。
 また、②通常の商取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、仮想通貨交換用情報の提供を受け又は提供をした者も同様の刑罰を受けます。
 上記①②に当たる行為を業として行った者には、3年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、又はその両方が科されます。
 さらに、①②に当たる行為をするよう、人を勧誘し、又は広告その他これに類似する方法により人を誘引した者には、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、又はその両方が科されます。

 次回はシリーズ最終回として、犯罪収益移転防止法が問題となりやすい場面について事例を交えて解説します。

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