~事件~
会社員Aさんは、2週間ほど前に八王子市内の路上で20歳くらいの女性に対して、急に抱きつき身体を触る等のわいせつな行為をしました。
犯行後Aさんは逃走しましたが、警察に逮捕されるのではないかという不安が強く、自首を考えています。(フィクションです)
本日から二日間にわたって、東京の刑事事件に強い弁護士が今回の事件を解説します。
本日は、Aさんの行為が何の犯罪に該当するのかについて考えます。
~強制わいせつ罪~
被害者の女性が警察に被害を訴えた場合、警察は「強制わいせつ罪」で捜査を開始するでしょう。
強制わいせつ罪は、刑法第176条に定められている法律で、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした場合に適用される法律です。
強制わいせつ罪でいう「暴行」は、正当な理由なく他人の意思に反してその身体に有形力を行使することで、「脅迫」とは害悪の告知です。
そして暴行、脅迫の程度は、被害者の意思に反してわいせつ行為を行うに必要な程度に反抗を抑制する程度だといわれています。
Aさんが被害者の女性に抱きついた行為が、強制わいせつ罪でいう「暴行」として捉えられるため、Aさんの行為が「強制わいせつ罪」に当たることは間違いでしょう。
強制わいせつ罪は、起訴されて有罪が確定すれば「6月以上10年以下の有期懲役」が科せられる非常に重たい罪です。
特に警察当局は、路上における強制わいせつ事件を、街頭犯罪の一つとして取締りを強化していることから、今回の事件は厳しく捜査されることとなるでしょう。
警察は、被害者の女性や、犯行現場からDNAや指紋を採取するとともに、犯行現場付近の防犯カメラ映像を精査する等、犯人を割り出すための捜査をすることが予想されます。
これらの捜査でAさんが犯人だと特定されれば、Aさんは逮捕される可能性が高いです。
軽微な犯罪であれば、犯人だと特定されても警察署に呼び出されて取調べを受ける不拘束による捜査が進められる場合もありますが、今回の事件は、前述したように警察が取締りを強化している重要事件であることから逮捕される可能性が非常に高いといえるのです。