【報道事例】路上で女性の首を絞めてバッグを奪ったとして男性を強盗致傷罪の疑いで逮捕
今回は、東京都葛飾区で起きた強盗致傷事件をもとに、強盗致傷罪が成立する要件や罰則、強盗致傷罪も対象となる裁判員裁判について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
【事例】
東京・葛飾区の路上で面識のない女性の首を絞めて気を失わせ、現金が入ったバッグを奪ったなどとして、会社員の男性A(21)が逮捕されました。
Aは9月18日深夜、東京・葛飾区の路上で帰宅途中の女性V(20代)の首を後ろから絞めて気を失わせ、現金約1万8000円の入ったバッグを奪ったなどの疑いが持たれています。
警視庁によりますと、Aは気絶したVを数十メートル離れた公園まで引きずっていて、Vはかかとを擦りむくなどのけがをしました。
Aは現場から自転車で逃走しましたが、防犯カメラなどの捜査で逮捕に至りました。
Aは、「バッグの中から現金を抜いた」と容疑を認めています。
(※10/26に『Yahoo! JAPANニュース』で配信された「帰宅途中の女性の首絞めバッグ奪ったか 21歳会社員の男を逮捕 東京・葛飾区」記事の一部を変更して引用しています。)
【強盗致傷罪とは】
事例ではAを逮捕した罪名は記載されていませんが、今回のAの行為は強盗致傷罪が成立する可能性が高いです。
強盗致傷罪については、刑法第240条で以下のように規定されています。
- 刑法第240条(強盗致死傷)
強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。
強盗致傷罪の主体は「強盗」となっているため、すでに強盗罪が成立している人にのみ成立する犯罪になります。
強盗罪は、「暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者」が該当します。(刑法第236条)
今回の事例で考えると、AはVの首を絞めてバッグを盗んでいます。
AがVの首を絞めた行為は「暴行」、バッグを盗んだ行為は「他人の財物を強取した」に該当するため、Aには強盗罪が成立していると考えられます。
強盗致傷罪は、刑法第240条の前段で規定されているように、強盗が「人を負傷させた」場合に成立します。
Vは、Aから首を絞められて気絶した後に引きずられて怪我を負っているため、今回のAの行為は強盗致傷罪が成立する可能性が高いと考えられます。
【強盗致傷罪は裁判員裁判の対象になる?】
結論から言うと、強盗致傷罪は裁判員裁判の対象になります。
そもそも、裁判員裁判とは、通常の刑事事件の裁判と異なり、無作為に選ばれた国民(有権者)が裁判員となって、裁判官と一緒に審理を行う裁判を指します。
裁判員裁判の対象となる事件については、裁判員法(正式名称:裁判員の参加する刑事裁判に関する法律)第2条で以下のように規定されています。
- 裁判員法第2条(対象事件及び合議体の構成)
地方裁判所は、次に掲げる事件については、次条又は第3条の2の決定があった場合を除き、この法律の定めるところにより裁判員の参加する合議体が構成された後は、裁判所法第26条の規定にかかわらず、裁判員の参加する合議体でこれを取り扱う。
一 死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる罪に係る事件
二 裁判所法第26条第2項第2号に掲げる事件であって、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に係るもの(前号に該当するものを除く。)
(以下省略)
強盗致傷罪の罰則は「無期又は6年以上の懲役」であり、裁判員法第2条1項1号に該当するため、裁判員裁判の対象となるということです。
裁判員裁判では、通常の裁判と異なる手続きが取られるため、弁護士に刑事弁護活動を依頼する際は、どのような弁護士を選ぶかが重要なポイントになります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とした法律事務所であり、裁判員裁判の弁護を担当した実績も持っています。
裁判員裁判について詳しく、経験も豊富な弁護士が多数在籍していますので、ご家族が強盗致傷事件を起こしてしまったという方は、まずは弊所までご相談ください。
東京都で刑事事件を起こしてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所新宿支部・八王子支部にて相談を承っております。
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