【報道事例】同居する母親の遺体を放置したとして男性を死体遺棄罪の疑いで逮捕|放置も「遺棄」に該当する?
今回は、東京都世田谷区のマンションで起きた死体遺棄事件をもとに、死体遺棄罪とはなにか、遺体を放置することも「遺棄」に該当するのかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
【参考事例】
東京都世田谷区のマンションの一室で、同居する母親とみられる女性の遺体を遺棄したとして、男性A(43)が逮捕されました。
Aは1月、世田谷区のマンションの一室に70代の母親とみられる女性Vの遺体を遺棄した疑いが持たれています。
警視庁によりますと、連絡が取れないことを不審に思った親族が通報し、警察官が駆け付けたところ、布団の中で仰向けの状態のVを発見したということです。
取り調べに対して、Aは容疑を認めています。
また、「母を亡くした喪失感で無気力状態となった。どうして良いか分からず、そのままにしてしまった」と話しているということです。
警視庁はVが死亡した経緯や身元などについて調べを進めています。
(※2/12に『Yahoo!JAPANニュース』で配信された「同居する母親か 東京・世田谷区のマンションで女性の遺体遺棄容疑 男を逮捕」記事の一部を変更して引用しています。)
【死体遺棄罪とは】
今回、Aは死体遺棄罪の疑いで逮捕されています。
死体遺棄罪については、刑法第190条で以下のように規定されています。
- 刑法第190条(死体損壊等)
死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、3年以下の懲役に処する。
死体遺棄罪は、「死体」を「遺棄」した場合に成立します。
「死体」とは死亡した人の身体を指し、これには死胎も含まれます。
「遺棄」とは、通常の埋葬と認められない方法で死体等を放棄する行為を指します。
今回のAは母親とみられるVの遺体をそのまま放置しましたが、これは死体遺棄罪が成立する「遺棄」に該当するのでしょうか。
通常、死体等を移動させたり隠匿したりする行為が「遺棄」に該当しますが、埋葬の手続きを行う義務がある人がそのまま死体を放置する行為は、不真正不作為犯としての「遺棄」が成立すると解釈されています。
不真正不作為犯とは、「何かをしない」ことで犯罪が成立することをいいます。
AがVの家族であれば、Vが死亡した場合、Vを埋葬する義務を有するにもかかわらず、Aは埋葬の手続きを行わずに放置していたため、不真正不作為犯として死体遺棄罪が成立したと考えられます。
【死体遺棄罪で逮捕されたら弁護士へ】
死体遺棄事件を起こした場合、今回のAのように逮捕される可能性が高いです。
また、逮捕後も勾留される可能性があり、勾留が決定すれば最大20日間身柄が拘束されることになります。
さらに、死体遺棄罪の罰則規定は「3年以下の懲役」のみで、罰金刑による罰則規定はありません。
つまり、死体遺棄罪で起訴されると公判請求されることになり、刑事裁判が開かれることになります。
なるべく早期の釈放や、起訴された場合に少しでも軽い判決を獲得したいという場合は、弁護士に刑事弁護活動を依頼することが重要になります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、様々な刑事事件の弁護活動を担当した実績を多く持つ、刑事事件に特化した専門の法律事務所です。
ご相談・ご予約に関するお問い合わせは、弊所フリーダイヤル(0120-631-881)にて24時間365日受付中です。
東京都内で刑事事件を起こしてしまった方や、ご家族が刑事事件を起こして逮捕されてしまったという方は、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部までご相談ください。