【報道事例】発売前のマンガを撮影・複写してネットに違法アップロードした男性2人を逮捕|著作権法違反とは?
今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が、違法アップロードによる著作権法違反について解説致します。
【事例】
熊本県警などは、発売前のマンガを撮影・複写し、その画像をインターネット上で公開した疑いで、東京都に住む外国籍の男2人を著作権法違反の疑いで逮捕しました。
男らは撮影したことについては容疑を認めているものの、インターネット上で公開したことについては否認しているということです。
(※2/5に『Yahoo!JAPANニュース』で配信された「発売前のマンガをインターネット上に公開した疑い 外国籍の男2人逮捕」記事を引用・参照しています。)
【解説】
■違法アップロードとは?
まず、映画・ドラマ・アニメなどの映像作品や写真集・雑誌・マンガなどの出版物は「著作物」として、著作権や出版権が存在しています。
そして、ネットなどにこのような著作物を無断でアップロードすることは著作権等を侵害する行為に該当します。
このように、著作権者に無断でインターネット上にマンガや映画・ドラマなどをアップロード(投稿)する行為が一般的に違法アップロードと言われる行為です。
この違法アップロードは、法律上は著作権法違反として著作権法という法律によって処罰されることになります。
- 著作権法第119条1項
著作権、出版権または著作隣接権を侵害した者は、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金に処し、またはこれらを併科する。
■著作権法違反となる行為
著作権法119条1項違反の成立要件は、①著作権、出版権または著作隣接権を②侵害したということです。
「侵害」とは、著作権者に無許可で著作物のコピーや、投稿・配信、上映、改変、切除(切り抜きなど)を行うことを意味します。
■違法アップロードで逮捕になるケース
SNSなどのネット上に他人の著作物を違法アップロードしただけではすぐに逮捕されるわけではありません。
これは、違法アップロードは著作権者による刑事告訴がなければ罪に問われない親告罪という犯罪であるためです。
もっとも、以下のような要件を満たす悪質な著作権法違反については、非親告罪として著作権者の告訴なしに著作権侵害者を罪に問うことが可能です。
①:対価を得る目的または権利者の利益を害する目的があること
②:有償著作物等(有償で公衆に提供され、又は提示されているもの)を原作のまま譲渡・公衆送信またはこれらの目的のために複製すること
③:有償著作物等の提供・提示により得ることが見込まれる権利者の利益が不当に害されること
発売前のマンガをネット上にアップロードする行為は、マンガを購入しなくても無料で読めるからと読者の購買意欲がなくなることで売上を下げる結果にもつながるため、原作者や出版社の利益を不当に害する行為であり、このようなケースは悪質な著作権法違反として逮捕されるおそれがあると考えられます。
■著作権法違反の刑罰
10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金に処し、またはその両方
【事務所紹介】
今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が違法アップロードによる著作権法違反について解説致しました。
違法アップロードなどは、証拠隠滅の恐れなどから、逮捕後も勾留され最大20日間身柄が拘束される可能性も十分にあります。
早急に弁護士に相談して対処してもらわなければ、事態が勝手に良くなることはないでしょう。
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