【報道事例】路上で女性に性的暴行を加えようとした男性を不同意性交等未遂罪の疑いで逮捕

【報道事例】路上で女性に性的暴行を加えようとした男性を不同意性交等未遂罪の疑いで逮捕

不同意性交等罪 未遂

今回は、東京都内の路上で起きた不同意性交等未遂事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

【事例】

東京都世田谷区の路上で女性に後ろから近づき性的暴行を加えようとしたとして、46歳の男性が警視庁に逮捕されました。

不同意性交未遂の疑いで逮捕されたのは、世田谷在住の男性A(46)です。
Aは、世田谷区の路上で帰宅途中だった女性Vに性的暴行を加えようとした疑いがもたれています。

警視庁によりますと、AはVの後ろをつけて背後から抱きついたうえで、「声を出したら刺すぞ」などと脅し手で口を塞いだということです。

その際、Vの声に気付いた近所の男性が怒鳴ったため、Aはその場から逃走したということです。
その後、防犯カメラの映像などからAの関与が浮上しました。

取り調べに対し、Aはと容疑を認めているということです。
(※1/10に『Yahoo!JAPANニュース』で配信された「「声を出したら刺すぞ」女性に後ろから抱きつき性的暴行未遂 アルバイトの40代男逮捕 東京・世田谷区」記事の一部を変更して引用しています。)

【不同意性交等未遂罪とは】

今回の事例で、Aは不同意性交等未遂罪の疑いで逮捕されています。
不同意性交等未遂罪は、不同意性交等罪が成立する行為を行ったものの、結果的に既遂になっていない場合に成立します。

まずは不同意性交等罪について見ていきましょう。
不同意性交等罪については、刑法第177条で以下のように規定されています。

  • 刑法第177条(不同意性交等)
    前条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛こう門性交、口腔くう性交又は膣ちつ若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第百七十九条第二項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、五年以上の有期拘禁刑に処する。

    (※第2項、第3項省略)

不同意性交等罪は、刑法第176条(不同意わいせつ罪)で規定されている行為などにより、相手(被害者)が同意しない意思を形成することや表明することが困難な状態にさせたり、この状態に乗じて性交等を行うことで成立します。

刑法第176条で規定されている行為は、以下の8つです。

①暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
②心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
③アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
④睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
⑤同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
⑥予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕がくさせること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
⑦虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
⑧経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。

上記の行為だけに限らず、これらに類する行為であっても不同意性交等罪は成立します。

今回の事例で考えると、AはVの背後から抱きついて「声を出したら刺す」と脅し、手で口を塞いだと報道されています。
これは刑法第176条で規定されている行為の①に該当すると考えられます。

また、不同意性交等罪は、刑法第180条で未遂も処罰されることが規定されています。

  • 刑法第180条(未遂罪)
    第176条、第177条及び前条の罪の未遂は、罰する。

つまり、不同意性交等罪が成立する行為を実行し、結果として性交等はしていないとしても、不同意性交等未遂罪として処罰されるということです。

今回、Aは近くにいた男性の怒鳴り声を聞いて現場を逃走しているため、不同意性交等罪は成立していません。
ただ、Aは不同意性交等罪の実行に着手していたため、不同意性交等未遂罪が成立すると考えられます。

【不同意性交等未遂罪の刑事処分】

未遂罪については、刑法第43条により刑を減軽できる旨が規定されています。

  • 刑法第43条(未遂減免)
    犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。

ただし、これは必ず減軽するといった内容ではありません。
今回のように、既遂する意思はあったがやむを得ず未遂に終わった場合だと、不同意性交等罪と同じように処罰される可能性も十分にあります。

不同意性交等罪の処罰内容は5年以上の有期拘禁刑のみで、とても重い処分が下されることになるかもしれません。
起訴を免れて不起訴処分を獲得したり、起訴後の判決を少しでも軽くしたいという場合は、被害者との示談が重要なポイントになります。

しかし、不同意性交等罪のような性犯罪被害者は加害者に対する恐怖心や処罰感情が強いので、示談交渉を取り合ってくれない可能性が極めて高いです。
なので、弁護士を代理人として、被害者との示談交渉を依頼することをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、様々な刑事事件で被害者との示談を締結した実績を多数持つ、刑事事件に特化した専門の法律事務所です。
ご相談・ご依頼に関するお問い合わせは、弊所フリーダイヤル(0120-631-881)にて24時間365日受付中です。

東京都内で性犯罪を起こしてしまったという方は、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部までご相談ください。

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