【報道事例】人気施設内のアートで盗撮被害!問われる罪は?

【報道事例】人気施設内のアートで盗撮被害!問われる罪は?

チームラボ 盗撮

2024年3月15日、『Yahoo!JAPANニュース』にて「床が鏡面のアート「下着を見に人が集まっている」投稿拡散 チームラボの展示で盗撮騒動」という記事が掲載されました。

チームラボという団体が監修している、施設内の壁4面がに覆われた空間に様々なデジタルアートを掲示する、という展示場で、盗撮の被害が発生し、その盗撮の画像がインターネット上に投稿されているというものです。

施設側も不審な方に対しては声掛けや警察への通報を行い、スカートを履いた利用者に対しては短パンを貸し出すなどして下着が見えないように対応を進めているようです。

このような施設内で、しかも鏡張りの床を介した盗撮行為、そして盗撮画像のアップロードに対してはどのような犯罪が成立するのか、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【目次】

【成立する可能性のある罪名】

本件で成立する可能性がある犯罪は、次のようなものになります。

  • 東京都公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反
  • 性的姿態等撮影罪
  • 性的姿態等影像送信罪

以下それぞれ詳しく解説をします。

【迷惑行為防止条例】

まず最初にありうるのが、迷惑行為防止条例です。
いわゆる、痴漢・盗撮条例で、各都道府県において同じような条例が定められています。

東京都の場合、盗撮については次のように定められています。

  • 第五条 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
    一 (略)
    二 次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。
    イ (略)
    ロ 公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物(イに該当するものを除く。)

文言は少し難しいかもしれませんが、要するに、不特定・多数の人が利用したり出入りしたりする場所で、下着を盗撮すること/盗撮目的でカメラを向けたりカメラを設置したりすること条例違反としています。

盗撮をした場合には1年以下の懲役100万円以下の罰金盗撮の目的でカメラを向けたり設置したりした場合には6ヶ月以下の懲役50万円以下の罰金が科される可能性があります。

ニュースの事例に当てはめてみると、鏡張りの床に下着を盗撮する目的でカメラを向ける行為条例違反に該当するでしょう。

問題となるのは、不特定・多数の人が利用したり出入りしたりする場所に該当するかどうかです。
商業施設、例えばスーパーやショッピングセンター内部であれば不特定・多数の人が出入りする場所に該当するでしょうが、施設の性質上、そこに出入りする人の規制がかかっていたりすると、条例違反に該当しないという可能性が出てきます。

【性的姿態等撮影罪】

性的姿態等撮影罪は、2023年の刑法の大改正に併せて新しくできた犯罪です。
これまで条例違反とされていた盗撮行為に対して、法律で全国一律に、これまでよりも重い刑罰を科すことにしたのです。

性的姿態等撮影罪は、4つの類型があります。

処罰対象になる行為
1号(ひそかにする盗撮)通常は服を着ている場所で、性的姿態等をひそかに撮影すること(被写体が周囲の人見られるのを許容した場合を除く)
例)電車内でスカートをスマホで撮影する
2号(同意しないうちに盗撮)不同意わいせつの事案のように同意することが困難な状態で性的姿態等を撮影すること
例)寝ている人の裸を勝手に撮影する
3号(勘違いさせてする盗撮)性的な行為ではないと勘違いさせたり、誰にも見られないと勘違いさせた状態で性的姿態等を撮影すること
例)医師が診察中に患者の裸を勝手に撮影する
4号(16歳未満の者への盗撮)16歳未満の者の性的姿態等を撮影すること(これは、被写体が公衆の面前で見られると許容した場合も犯罪)
例)小学生の子供が道で着替えているところを撮影する

性的姿態等とは、身体の部位のうち性的な部位や性的な部位を覆っている下着部分、また、わいせつ行為や性交をしている様子を指しています。

東京都の迷惑行為防止条例では、「どこで」撮影行為をしたかによって犯罪となるかどうかが分かれていました。
しかし、性的姿態等撮影罪では、どこで撮影したかという点は犯罪の要件になっていません。
すなわち、どこで撮影をしていようが、人の下着をひそかに撮影したのであれば犯罪が成立することになったのです。

性的姿態等撮影罪に対しては3年以下の懲役又は300万円以下の罰金が科せられます。
単純な迷惑行為防止条例違反の刑罰と比べて、3倍も重たい刑が科されます。
もちろん、単純な数字だけでの比較はできませんが、盗撮行為に対してよりより厳罰を科すという司法全体の潮流が見られる点でしょう。

性的姿態等撮影罪が成立するという事案では、あえて刑の軽い迷惑行為防止条例の方まで適用するということは考え難いです。
性的姿態等撮影罪が成立する事案では、これまで以上に逮捕される事案も増えることが予測されます。

【性的姿態等影像送信罪】

性的姿態等影像送信罪とは、性的姿態として盗撮された画像を、正当な理由がないのにインターネット上にアップロードして、不特定または多数の人が見られるような状態にする行為です。

性的姿態等影像送信罪に対しては5年以下の懲役又は500万円以下の罰金が科せられます。
これまで、盗撮画像をアップロードする行為自体は処罰の対象となりにくい(名誉毀損やリベンジポルノ、わいせつ物頒布等)ものとされていましたが、性的姿態等撮影罪が新設されたことにより、アップロード行為も独自の犯罪となり、しかも、盗撮行為それ自体よりもはるかに刑の重たい犯罪として規定されました。

「5年以下の懲役又は500万円以下の罰金」という定め方から、仮に初犯であっても正式裁判で起訴されたり、場合によっては一発で実刑判決を受けてしまう可能性もある犯罪になっています。

性的姿態等影像送信罪の成立要件として、不特定/多数」の人に見られるような状態でアップロードした場合というものが定められています。
例えば、スマートフォンの設定上、撮影した画像や動画が自動でクラウド上にバックアップが保存される、という人もいるでしょう。
これも、外見上は性的姿態等の画像をインターネット上にアップロードする行為には該当します。
しかし、設定上、他の人とクラウドストレージを共有していなかった場合には、不特定・多数の人が見られる状態にしたとは言えません

一方、いたずらや遊び半分とはいえ、盗撮した画像をインスタグラムやTikTokのようなSNSにアップロードしてしまう行為、より悪質なものでは盗撮画像の投稿サイト(一部アングラなネット界隈ではそのようなサイトも存在するようです)に投稿したり、販売した、という事案では、性的姿態等影像送信罪が成立します。

性的姿態等撮影罪だけでなく、性的姿態等影像送信罪も成立するとなると、より重い刑罰が科される可能性が高くなります。
性的姿態等撮影罪・影像送信罪は2023年7月から施行されている新しい犯罪ですが、「法律を知らなかった」からといって刑罰から免れることはできません(法律を知らなかった、の弁解は裁判では認められません)。
加えて、新しい犯罪類型であり、検察・警察も積極的に適用して厳罰化することが想定されます。

【建造物侵入罪に問われる可能性も?】

なお、余談ですが、建造物侵入罪が成立する可能性もあります。

これは、盗撮する目的で施設に立ち入った場合に成立するものです。
仮に正規の入場料を払っていたとしても、施設の管理者としては、「盗撮目的の入場者」には入ってほしくないと思うでしょう。
そのため、「盗撮目的での入場」は施設の管理者にとっては意に反する侵入者という扱いになるのです。

ただ、アート施設ということもあり、単にカメラを持って入ったから「盗撮目的での入場」とまで言い切ることは難しいでしょう。
実際、チームラボの展示場では展示物について撮影可能エリアも設けているようで、SNSへの投稿が人気を博しているようです。

チームラボの施設内に「もっぱら盗撮の目的で侵入した」として建造物侵入罪を適用することは相当難しいのではないかと思われます。

【事務所紹介】

今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が性的姿態等撮影罪影像送信罪について解説致しました。

本来、楽しいはずの商業施設内で盗撮行為をすることは、決して許されることではありません。
しかし、報道されたような事案でお心当たりのある方や、ご不安なこと、ご心配なことがあるという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までお問い合わせください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。

逮捕され身柄が拘束されている場合には、最短当日に弁護士を警察署まで派遣する「初回接見サービス」(有料)をご提供しています。
深川警察署までの初回接見は38、170円(令和6年1月1日時点、東京支部の場合)で行っています。

東京都内で性的姿態等撮影罪による刑事事件を起こしてご家族が警察に逮捕されてしまった方や、過去の盗撮行為でご不安なことがある方やご心配なことがある方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部までご連絡ください。

ご相談・ご予約に関するお問い合わせは、24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)にて受付中です

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