【報道事例】ホストクラブの「売掛金」は犯罪に該当する?売掛金の違法な回収方法は刑事事件に発展する?
東京都新宿区歌舞伎町のホストクラブを中心に、ホストクラブの「売掛金」が問題視されてニュースや新聞などで取り上げられています。
今回は、売掛金が犯罪に該当するのか、売掛金の違法な回収方法について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
【事例】
警視庁は15日夜、東京・歌舞伎町(新宿区)のホストクラブなどに一斉立ち入りし、風営法や都条例などの違反がないかを確認した。
捜査関係者によると、立ち入りの対象は約350店で、約130人態勢で対応した。
ホストクラブを巡っては、女性客らに支払い能力を超える高額料金を請求し、多額の借金を背負わせる悪質な店舗が問題視されている。
立ち入りでは、酒類の値段を明示しないで販売していないかなど、高額請求につながる法令違反がないかを検査した。
警視庁は悪質な違反のあった店舗については、営業停止や摘発も検討する。(以下略)
(※12/16に『Yahoo!JAPANニュース』で配信された「警視庁が東京・歌舞伎町のホストクラブ350店に一斉立ち入り」記事の一部を変更して引用しています。)
【「売掛金」とは?】
「売掛金(うりかけきん)」とは、飲食店等で発生した代金を当日に支払わずに後日回収する金額を指します。
一般的には「ツケ」と呼ばれることもあり、ホストクラブにおいてホストと客の間で利用されることが多いです。
法律的観点からみると、ホストクラブの売掛金のような代金をツケ扱いにすること自体は違法ではありません。
ただ、ホストクラブでの飲食代は数十万円~数百万円になるほどの高額請求になることもあり、多額の売掛金を支払えずにホストからの回収に追われた結果、売掛金を支払うために風俗を行うようになったり犯罪に手を染めてしまったりするケースが問題視されています。
【違法な売掛金の回収方法】
売掛金そのものについては法律上問題ありませんが、売掛金を回収するために用いた手段によっては犯罪が成立することもあります。
①住居侵入罪・不退去罪
売掛金を回収するために、客が住んでいる住居に無断で侵入したり、客から家を出るように要求されても売掛金を回収するまで退去しなかったりするといった行為は、刑法第130条で規定されている住居侵入罪・不退去罪が成立するおそれがあります。
住居侵入罪・不退去罪の処罰内容は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金と規定されています。
②窃盗罪
売掛金を払うように要求しても客が払わないからといって、客の財布からお金を盗むような行為をしてしまうと刑法第235条で規定されている窃盗罪に該当する可能性があります。
窃盗罪の処罰内容は、10年以下の懲役または50万円以下の罰金と規定されています。
③強盗罪
売掛金を回収するために、暴行や脅迫を用いて客の反抗を抑圧して強引にお金を強取する行為は刑法236条で規定されている強盗罪が成立する可能性があります。
強盗罪の処罰内容は、5年以上の有期懲役と規定されています。
④恐喝罪
「売掛金を払わないと殺す」といった脅迫をして、客から売掛金を回収しようとする行為は刑法第249条で規定されている恐喝罪に該当するおそれがあります。
恐喝罪の処罰内容は、10年以下の懲役と規定されています。
⑤売春防止法違反
売掛金を支払えないという客に対し、売春をさせて収入を得させて売掛金を回収しようとする行為は売春防止法違反となる可能性があります。
嘘をついて売春させた場合や脅迫や暴行を加えて売春をさせた場合、売春の対償を受け取る場合など、売春させた過程によって処罰内容は異なりますが、どれも厳しい処罰内容が規定されています。
【売掛金の回収方法によっては刑事事件になることも】
今回は、売掛金の法律的な問題や、違法となる売掛金の回収方法について解説しました。
売掛金自体は法律上問題ありませんが、違法な回収方法をしてしまえば刑事事件となってしまうかもしれません。
刑事事件になってしまえば、警察や検察などの捜査機関から取調べを受けたり起訴されて処罰されたりといった不利益が生じるおそれもあります。
売掛金の回収方法に問題があって刑事事件になってしまったという方は、まずは弁護士に相談して具体的なアドバイスを受けることをおすすめします。
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