風営法違反・風適法違反

※2025年6月1日より、改正刑法に基づき懲役刑および禁錮刑は「拘禁刑」に一本化されました。当ページでは法改正に基づき「拘禁刑」と表記していますが、旧制度や過去の事件に関連する場合は「懲役」「禁錮」の表現も含まれます。

  • 新宿区歌舞伎町のキャバクラが無許可営業の疑いで家宅捜索され、経営者が逮捕された。そのキャバ・新宿区歌舞伎町のキャバクラが無許可営業の疑いで家宅捜索され、経営者が逮捕された。そのキャバクラの営業許可の名義貸しをしていた者も風営法違反の疑いで、警視庁新宿警察署に逮捕・勾留された…
  • 東京都港区のスナックで、18歳未満の者が接客をした。警視庁高輪警察署による家宅捜索の結果、風適法違反の疑いで逮捕・勾留された…

1 風営法・風適法違反

風営法・風適法違反事件にいう、「風営法」「風適法」はどちらも「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」の略称です。

「風営法」は、風俗営業について、営業時間や営業区域の制限、禁止行為等を規制している法律です。

「風営法」に規定する風俗営業には、様々な業態が含まれています。

「接待飲食店営業」
…キャバレー、スナック、キャバクラ、バー、クラブなど

「接待のない飲食店営業」
…ディスコ、ナイトクラブ、ダンスホールなど

「遊技場営業」
…パチンコ店、マージャン店、ゲームセンターなど

「性風俗関連特殊営業」
…ソープランド、ファッションヘルス、のぞき部屋、個室ビデオ、ラブホテル、レンタルルーム、アダルトショップ、派遣型ファッションヘルス、デリヘル、テレクラなど

2 風営法・風適法違反事件

風俗営業を行うためには、事前に都道府県公安委員会の許可や届出をする必要があります。

これに違反し、無許可、無届出で営業したり、許可を受けていても無届出で営業所の構造を変更したりした場合には、風営法違反として罪に問われる可能性があります。

主な風営法・風適法違反事件は、下の罪となる行為と罰則・法定刑の一覧にまとめてあります。

3 主な風営法・風適法違反事件

罪となる行為 罰則・法定刑
  • 風俗営業の無許可営業(風営法49条1号)
  • 虚偽・不正手段による許可の取得(同2号)
  • 名義貸し禁止違反(同3号)
  • 店舗型性風俗特殊営業の禁止区域等営業(同5号) など
5年以下の拘禁刑、1000万円以下の罰金、
又はこれらの併科
  • 無届出で営業所の構造を変更した(風営法50条1号)
  • 18歳未満の者に接待行為をさせること(同4号)
  • 18歳未満の者を客とすること(同4号)
  • 20歳未満の者に対する酒類・たばこの提供(同4号) など
1年以下の拘禁刑、100万円以下の罰金
又はこれらの併科
  • 広告制限地域に広告物を設置した(風営法53条1号・2号)
  • 従業者名簿を備えず、又は虚偽記載をした(同3号)
  • 従業者の身分確認規定に違反した(同4号)
  • 警察官の立ち入りを拒み、妨げ、忌避した(同7号) など
100万円以下の罰金
  • 許可申請書、添付書類で虚偽記載のあるものを提出した(風営法54条1号) など
50万円以下の罰金
  • 営業許可証の掲示義務違反(風営法55条1号) など
30万円以下の罰金

4 2025年風営法・風営法改正の概説

 2025年5月、「風俗営業などの規制及び業務の適正化などに関する法律の一部を改正する法律」が国会で可決され、これまでの風営法・風適法は大きく変化することになりました。上記の表にもある無許可営業などに対する刑の上限が大幅に引き上げられたほか、

  • 事業者に対する“遵守事項”と“禁止事項”の追加
  • いわゆる“スカウトバックの禁止”
  • 営業許可・欠格事由に関する規定の変更

など、事業者にとって重要な改正を含んでいます。

事業者に対する“遵守事項”と“禁止事項”の追加

風俗営業のうち、接待飲食営業(ホストやキャバクラ、ガールズバー、コンカフェなど、設備を設けて客を接待して客に遊興させたり飲食させたりする営業、性風俗等とは違うので注意)の営業において、遵守事項が定められました。

これらの事項に違反したとしても、刑事罰が科せられるわけではありませんが、違反に対しては行政指導がなされたり、悪質なものに対しては営業停止処分や営業許可の取り消しなどの重い行政処分を受けたりする可能性があります。単なる“自主規制”とは全く異なるルールですので、事業所内においても従業員・キャストに対して十分によく説明する必要があります。

  • 料金に対する虚偽の説明:
    料金体系や請求額について事実と異なる説明をしたり、誤認させる説明をする行為が禁止
  • 客の恋愛感情等に付け込んだ勧誘の禁止:
    「彼氏/彼女」として明確に付き合っている状態でないとしても、客が従業員・キャストに対して好意的な感情を抱いていることを利用して注文等をさせることが禁止。
    Ex.「シャンパン使っておろしてくれないと一緒に入れないよ」、「売り上げが落ちたら一緒に居られなくなっちゃう、助けて」等
  • 客が注文していない飲食物等の提供禁止:
    いわゆる“勝手注文”と言われる行為。客の明確な注文意思を経ないで飲食物を提供し、提供後に客の同意を取り付けたり料金を請求したりする行為。

また、罰則のある禁止行為としては次の2つが定められています。禁止行為をした場合、6月以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金又は併科が課されます。

  • 威迫による注文や支払い要求:
    単なる脅しや暴力だけでなく、客を困惑させるような言動が含まれ得る。
  • 売掛金回収のための違法行為の強要・誘惑:
    売春行為(海外での売春も含む)や性風俗店(ソープ、デリヘル、ヘルス等)で働く、AVに出演する返済しるように強要したり誘惑したりすること。
    客を脅すとまでいかなくても、客に対して「こういう店でお金を作るしかない」と思わせたり、キャストが「自分のために働いてほしい、自分も借金を早く返せるように頑張るから」等と誘惑したりする行為が禁止となる。スカウトを紹介する場合も含まれ得る。

法改正までこの売掛金については業界内のルールとして“掛け禁止”というものがありましたが、法律でも言及されることになりました。売掛自体を禁止されてはいませんが、その回収手段に対しては禁止行為が規定されることになりました。

従業員に対して、これらの禁止行為を絶対に行わないように厳格に指導・監督しなければなりません。

性風俗店によるスカウトバックの禁止

性風俗関連特殊営業(いわゆる性風俗店)におけるスカウト行為が禁止されることになりました。スカウトが禁止されるのは性風俗店(風営法2条第6項、7項に該当する営業)であるため、ホストクラブやキャバクラ、ガールズバー等へスカウトは対象外とされています。

これらの性風俗店の経営者がスカウトから求職者(働き手)の紹介を受けた際に、その紹介の対価を支払うことが禁止され、違反に対しては6月以下の拘禁もしくは100万円以下の罰金又は併科が課されることになりました。この紹介料は、入店時に支払うものだけに留まらず、売上に連動した報酬の支払いについても含まれることになります。

経営サイドとしては、現在の採用・求人ルートを正確に把握して見直す必要があります。

営業許可・欠格事由に関する規定の変更

これまでにも欠格事由(営業許可を得られない事由や経営者になれない事由)は法律で定められていましたが、今回の法改正で拡大することになりました。

  1. 親会社や関連会社が許可を取り消された法人:
    同じ法人のグループ内に、過去5年以内に営業許可を取り消された会社があった場合、営業許可が受けられないことになります。一度営業許可の取り消しを受けた会社を一度畳んで別法人を立ち上げるといった、看板の掛け替えによる営業取消しの潜脱を防止する規定です。営業許可を申請する法人のと「密接な関係」を有する会社が5年以内に営業許可の取り消しを受けていた場合には、営業許可を受けられません。「密接な関係」がどのようなものかは、国家公安委員会規則によって定められています。
  2. 警察による調査の後に処分逃れをして営業許可証を返納した者:
    行政処分や調査等を経て、営業許可の取り消し前に自主的に営業許可を返納した場合であっても、返納から5年以内は営業許可を受けられないことになりました。取り消し処分を免れるために自主的に返納し、別会社を設立して営業を再開するという事例があったため、このような潜脱を許さない趣旨で定められています。
  3. 「暴力的不法行為等を行うおそれがある者」がその事業活動に支配的な影響力を有する者:
    反社会的な勢力に属している人が、資金を提供する等、経営に対して強い影響力を持っているような場合に営業許可を認めないというものです。フロント企業や無関係な第三者を介在させた場合にも、反社会的勢力の「影響力」が及んでいる営業を阻止するための規定です。

これらの欠格事由の拡大は、2025年11月28日以降の許可申請に適用されてます。今後の事業主は、自社やグループ会社、関連会社を含めて過去に営業許可の取り消し歴がないか、反社会的な勢力とのつながりがないかどうかを洗い出して確認しておく必要があるでしょう。

5 風営法・風適法違反事件における弁護活動

① 不起訴処分の獲得

風営法・風適法違反事件で逮捕・勾留された場合でも、検察官から不起訴処分をえることができれば、釈放されます。

風営法・風適法違反事件で、不起訴処分になれば、刑事裁判にもなりませんし、前科もつきません。

あいち刑事事件総合法律事務所東京支部では、刑事事件専門の弁護士が一から事件を担当します。

そのため、捜査段階での弁護活動についても経験豊富です。不起訴処分へ向け、最善の弁護活動をご提供します。

② 執行猶予付き判決の獲得

風営法・風適法違反事件で刑事裁判になり拘禁刑を科されてしまうと、刑務所に入らなければなりません。

しかし、執行猶予付き判決になれば、ただちに刑務所に入る必要はありません。

社会の中で日常生活を送りながら構成することができます。そして、執行猶予期間中、再び罪を犯すようなことがなく過ごすことができれば、刑の言い渡しの効力は失います。

風営法・風適法違反事件で有罪判決を回避できない可能性が高い場合でも、刑の減軽や執行猶予付判決を得るための最善の弁護活動をご提供します。

③ 早期の身柄解放

風営法・風適法違反事件で違法な営業形態を捜査する必要がある場合などは、逮捕後10日間以上の勾留になることも多くなります。

逮捕後、勾留を回避するためには弁護士を通じて被告人に有利な事情を主張していくことが重要です。

弁護士がつくことで、警察や検察、裁判官に対して逃走や証拠隠滅の恐れがないことを説得的に主張していくことができます。

風営法・風適法違反事件で起訴された場合にも、保釈という手続きで留置場から出られる可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部では、風営法・風適法違反事件の経験豊富な弁護士による最善のアドバイスを受けることができます。

刑事事件・少年事件を専門に取り扱う弁護士が、直接無料相談を行います。

被疑者が逮捕された事件の場合、最短当日に、弁護士が直接本人のところへ接見に行く初回接見サービスもご提供しています。

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