【事例紹介】電動キックボードで起きた危険運転致傷事件

【事例紹介】電動キックボードで起きた危険運転致傷事件

飲酒した状態で電動キックボードを運転して被害者を怪我させてしまったという危険運転致傷事件の報道について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。

【参考事件】

酒を飲んだ状態で運転していた電動キックボードが横転し、同乗の30代女性に重傷を負わせたとして、警視庁目黒署は18日、自動車運転処罰法違反(危険運転致傷)の疑いで、東京都目黒区の男性会社員(26)を書類送検した。
警視庁によると、電動ボードの事故で、飲酒による危険運転致傷容疑での立件は全国初とみられる。

署によると、2人は事故当日に飲酒。
男性は「酒を飲んで楽しくなって運転してしまった」と容疑を認めている。
署は起訴を求める「厳重処分」の意見を付けた。

書類送検容疑は2月12日午後9時25分ごろ、目黒区の都道で電動ボードを飲酒運転し横転。
同乗の女性に5週間のけがを負わせた疑い。

(共同通信 令和5年5月18日(水)12時01分配信「電動ボードを危険運転の疑い 飲酒で書類送検、全国初か」より引用)

・電動キックボードの法的性質

まず、今回問題となっている「電動キックボード」の法律上の区分について検討します。
※このルールは令和5年7月より変わります≪詳細はこちら≫
令和5年5月時点で、電動キックボードと言われる乗り物は、モーターとバッテリーを動力としていることから
・0.60kw以下の電動キックボードについては原動機付自転車
・0.60kwを超える電動キックボードは普通自動二輪などのバイク

として扱われています。

よって、参考事例がどちらに当たるにせよ、道路交通法のいう「車両」として扱われますので、自動車やバイクを運転する場合と同じルールに則って運転する必要があります。

・電動キックボードで危険運転致傷罪が成立

参考事件の男性が送致された危険運転致傷罪とは、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下「自動車運転処罰法」)に定められています。
自動車運転処罰法第1条ではこの法律における自動車を「道路交通法第2条第1項」における「第9号に規定する自動車」および「第10号に規定する原動機付自転車」と定めています。
Aさんが運転していた電動キックボードについてもこれに該当します。

今回の参考事例では、男性は危険運転致傷罪で在宅捜査を受けています。
これは酒に酔った状態で車両(電動キックボード)を運転したことに拠ります。
危険運転致傷罪については、以下2条で規定されています。

自動車運転処罰法2条1項
次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は15年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は1年以上の有期懲役に処する。
第1号 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為

自動車運転処罰法3条1項
アルコール又は薬物の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、そのアルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を負傷させた者は12年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は15年以下の懲役に処する。

自動車運転処罰法2条のいう危険運転は、車両を運転している時点で「正常な運転が困難な状態」とされる場合に該当します。
自動車運転処罰法3条のいう危険運転は、「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」で運転したのちに「正常な運転が困難な状態」へと変化した場合に該当します。
どちらも飲酒や薬物のほか運転の経験がない無免許運転の場合などの危険な運転をしたことにより、事故を起こしてしまった場合に成立し、「人を負傷させた者」には危険運転致傷罪、「人を死亡させた者」の場合には危険運転致死罪が成立します。

なお、人身事故というと事故を起こした相手方の車両の乗員や歩行者・自転車などが相手方になるイメージですが、単独事故の結果同乗者が怪我をした場合にも人身事故として処理されます。
今回の参考事例では、被害者は電動キックボードに乗車していた方ですが、この場合でも人身事故として危険運転致死傷罪(あるいは過失運転致死傷等)が成立します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は、電動キックボードに関する事件など検挙例が少ない交通事故事件にも対応しています。
電動キックボードが関係する事件事故を起こしてしまった方、危険運転致死傷罪で家族が逮捕されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部にご連絡ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料相談を受けることができます。
家族が逮捕・勾留されている場合はこちら。

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