住居侵入罪・建造物侵入罪・不退去罪

・東京都中野区のショッピングセンターの女性用トイレに、盗撮目的で設置した小型カメラを回収しようと侵入した。警備員に見つかり、建造物侵入罪の容疑で警視庁中野警察署の警察官に逮捕・勾留された…

・JR山手線品川駅近くのマンションに、窃盗目的で侵入した。住民に見つかり、そのまま逃走したが、住居侵入罪の容疑で警視庁荏原警察署の警察官に逮捕・勾留された…

1 住居侵入罪・建造物侵入罪-刑法130条前段

住居侵入罪・建造物侵入罪は、刑法130条前段に規定されています。

住居侵入罪・建造物侵入罪は、住居等の管理者の意思に反して立ち入ることによって成立する犯罪です。

住居侵入罪・建造物侵入罪は、「侵入」するという行為自体は同じですが、侵入した場所が、「人の住居」であるのか「建造物」であるのかによって、成立する犯罪が区別されています。

住居侵入罪の「人の住居」とは、人が起臥寝食(きがしんしょく)のために日常的に使用する場所を指します。

たとえば、他人が住んでいる一戸建ての住宅や、マンションの各居室、事務所などがあります。

また、一戸建ての住宅に付随する囲繞地(建物の立つ敷地、庭など)も住居に含まれます。

建造物侵入罪の「建造物」とは、住居・邸宅以外の建物を指します。

たとえば、市役所や警察署などの官公庁の庁舎、駅、学校、工場、倉庫、神社などがあります。

また建造物に付随する囲繞地(建物の立つ敷地など)も建造物に含まれると解されています。

住居侵入罪・建造物侵入罪の罰則は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金です(刑法130条前段)

住居侵入罪・建造物侵入罪未遂も処罰されます(刑法132条)

2 不退去罪-刑法130条後段

不退去罪は、はじめは適法に人の住居等に立ち入った者が、その住居等の管理権者などに退去するよう要求を受けたにもかかわらず、それらの場所から退去しなかった場合に成立します。

たとえば、駅の構内に適法に立ち入った後、ビラ配りなどを行い、駅の管理者から退去を求められたにもかかわらず、その場所から退去しない場合などが不退去罪にあたります。

ただし、不退去罪について、はじめの立ち入りが既に住居侵入罪・建造物侵入罪にあたる場合、その後に管理権者から退去の要求を受けたにもかかわらず退去しなかったとしても、当初の住居侵入罪・建造物侵入罪が成立するのみで、不退去罪は成立しないと解されています。

不退去罪の罰則は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金です(刑法130条後段)。

住居侵入罪・建造物侵入罪・不退去罪の罰則のまとめ

罪となる行為 罰則・法定刑
住居侵入罪(刑法130条前段)
建造物侵入罪(刑法130条前段)
不退去罪(刑法130条後段)
3年以下の懲役又は10万円以下の罰金
未遂の処罰規定あり(刑法133条)

住居侵入・建造物侵入事件のポイント

1 逮捕・勾留の阻止・早期の身柄解放

住居侵入罪・建造物侵入罪・不退去罪は、他の犯罪とともに行われることが多いといえます。

たとえば、窃盗をする目的で他人の住居に侵入する、わいせつ行為をする目的で他人の住居に侵入するなどです。

このような住居侵入・建造物侵入事件では、容疑者が被害者の住居を知っているという点で、容疑者と被害者の接触を防止するため、逮捕・勾留される可能性が高くなります。

住居侵入・建造物侵入事件で逮捕されないようにすぐに弁護士へ相談してください。

刑事事件専門の弁護士は、迅速に弁護活動を開始し、しっかりとした身元引受人がいることや逃走・証拠隠滅のおそれがないことを説得的に主張し、逮捕・勾留などの身柄拘束を避ける弁護活動を行います。

2 被害弁償や示談交渉で不起訴処分を目指す

住居侵入罪・建造物侵入罪・不退去罪は、刑法犯の中で比較的軽微な犯罪です。

そのため、初犯であれば、被害者への謝罪や被害弁償を行い、示談することにより、不起訴処分となる可能性もありえます。

不起訴処分となると、前科が付きませんし、逮捕・勾留されている場合でも釈放されます。

住居侵入・建造物侵入事件で不起訴処分になるためには、事件が起訴されるまでに被害弁償や示談交渉をする必要があります。

住居侵入・建造物侵入事件は、被疑者段階で国選弁護人はつきません。

そのため、早期に被害弁償や示談交渉を行うため、刑事事件に強い私選弁護人に弁護を依頼してください。

3 情状弁護

住居侵入・建造物侵入事件で起訴された場合、犯行目的や犯行の手口・同種前科などについて精査して、被告人にとって有利な事情を主張・立証します。

それによって、量刑を軽くしたり執行猶予付き判決を獲得できたりする可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部では、住居侵入・建造物侵入事件の経験豊富な弁護士による最善のアドバイスを受けることができます。

刑事事件・少年事件を専門に取り扱う弁護士が、直接「無料相談」を行います。

被疑者が逮捕された事件の場合、最短当日に、弁護士が直接本人のところへ接見に行く「初回接見サービス」もご提供しています。

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