【解決事例】少年らによる暴走行為(共同危険行為)

【解決事例】少年らによる暴走行為(共同危険行為)

~事案~
Aさんは大学に通う19歳の男性で,ある日同級生ら6人と遊んでいました。
すると,そのうちの1人が「バイクに乗ってパトカーと鬼ごっこをしよう,どうせ捕まらないよ」と言い出したところ,みんなそれに賛成し,それぞれがバイクに乗り,出発しました。
Aさん自身は運転が得意でなく,乗り気ではなかったのですが,友人らの楽しそうな空気を壊したくないと思い,注意することもできず,同級生の運転するバイクの後部座席に乗り,集団の最後尾を走ることになりました。
しばらくすると,後方からパトカーがサイレンを鳴らしてきましたが,Aさんたちは,約2.4キロメートルにわたり,パトカーの前を低速で蛇行しながら進行し,信号無視などの違反を繰返しました。
パトカーの追跡を振り切ったところで,その日は解散したものの,後日,逮捕されてしまいました。

※守秘義務の関係で一部事実と異なる記載をしています。

~本件で成立する犯罪~

暴走行為(共同危険行為等)の法定刑
暴走行為(共同危険行為)をした場合
⇒2年以下の懲役または50万円以下の罰金(道路交通法第68条 117条の3)

・違法改造車を運転した場合
⇒3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金(道路交通法第119条)

また,本禁止規定は,暴走族の取締りを主目的として,制定され,2004年の道路交通法の改定により,被害者がいなくても共同危険行為等を処罰できるようになりました。

~暴走行為とは~

自動車やバイク,原動機付自転車で暴走行為を行った場合,共同危険行為等の禁止違反として,道路交通法違反として検挙されることとなります。
具体的な暴走行為としては
1 広がり通行
  車線(車道)いっぱいに広がり走行する行為
2 信号無視
  赤信号を無視して走行する行為
3 蛇行運転
  道路を左右に蛇行しながら走行する行為
4 交互追い越し
  複数の組に分かれ,それぞれ交互に追い越しをしながら走行する行為
5 巻き込み通行
  自身らと無関係の一般車両を集団内に巻き込み,一般車両の自由を拘束し
 て走行する行為
6 一定区間の周回
  道路上において,ある一定区間を周回する,急発進や急停止等を行い他の車
両の通行を遮断する行為
7 渋滞時等の渦巻き
  渋滞などにより停止した車両の後方でぐるぐると旋回する行為
が挙げられます。
 また,自分は運転せず同乗していたという場合でも,「一緒に暴走行為をしていた」と評価されれば「共犯」として処罰の対象となることがあります。

~Aさんは罪に問われるのか~

同乗者であったAさんも警察に逮捕され取調べを受け,家庭裁判所へ事件送致されることとなりました。
事前に暴走行為を行うことを話合い,もしくは,その場の雰囲気で意気投合して車やバイクに同乗し,暴走行為を繰り返した事から,共同危険行為違反として逮捕されてしまったのです。
共同危険行為は,他の運転者や歩行者を巻き込んだ重大な事故を起こしかねないものですから,警察も悪質な事案として扱うことがあります。
その場のノリや,友達の前で見栄を張って,といった軽い気持ちでこのような暴走行為をしてしまう少年がいますが,警察や家庭裁判所も,厳しい姿勢で臨むことが予想されます。

~18歳,19歳の少年の場合の注意点~

2022年4月1日から施行されている少年法では,18歳,19歳の方は「特定少年」として扱われます。
特定少年」の事件の場合には,他の少年事件と比べて,「逆送決定」といって,少年事件の枠の中でおさまらず,20歳以上の成人の刑事事件として扱われる可能性が高くなります。
成人の刑事事件の中で扱われてしまうと,罰金刑や懲役刑を受ける可能性が出てきて,前科がついてしまうリスクが生じることになります。
特定少年の事件の場合には,いかに「少年事件の枠内」で納めることができるかどうかが重要になってくるでしょう。

~本件事例における当事務所の活動~

ご家族からのご依頼を受け,当事務所の弁護士がいち早く警察署に留置されている少年Aさんと接見しました。
Aさんは警察に逮捕されるというのが初めてのことであり,どのように対応したらよいか,また家族がどう思っているのかについて非常に不安に感じている様子でした。弁護士がAさんと何度も接見し,対話を重ねることでAさんの不安を取り除くとともに,二度と同じ事件を起こしてしまわないために,普段のAさんの生活や,性格,アルバイト中のAの働きぶりなどの情報を集めました。
Aさんは逮捕されて一連の取調べを受けた後,少年鑑別所に移されることになりました。少年鑑別所の中でも問題を起こしてしまうことなくまじめに生活し,だされた課題に対しては熱心に取り組みました。
鑑別所でも弁護士と何度も面会を重ね,自分がしてしまった事の重大性や,周囲の人に対してどれだけの迷惑を掛けてきたのかについて気付くことができました。
本件の以前も,Aさんは何度か警察に補導されたこともありましたが,今回の事件を受けて,家族がどれだけ自分を大切にしていたかということに気付くことができました。
本件は,Aさんの周囲の生活環境や家族仲には大きな問題がなく,非行を繰り返す状況にないこと,暴走行為の中でAさんの役割,立場が上位にはなかったこと,過去の処分の傾向からも重い処分を科す必要はないこと等を粘り強く主張したところ保護観察処分となり,Aは日常生活に復帰することが出来ました。
少年事件においては,「どうして事件を起こしてしまったのか,二度と同じ事件を起こさないためにはどうしたらよいか」という点が重要です。
今回のケースに限らず,ご自身や大切なご家族が,何らかの罪に問われてしまった場合,出来るだけ早く弁護士に相談することをお勧めします。

いち早く弁護士に相談することにより,処分の見通しや今後の手続きの流れについて早い段階で聞くことができ,その後の手続きに落ち着いて対応することができます。
また,取調べの対応方法や供述内容に対するアドバイスを受けることで,誤解を招くような供述を避けることが出来ます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部の弁護士は日頃より刑事事件のみを受任し,数多く扱ってきた実績がございますので,交通事件に関しても安心してご相談頂けます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部では初回無料法律相談も行っておりますので,お困りの方は,0120-631-881までお気軽にお電話ください。

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