【解決事例】覚醒剤の再犯事件で一部執行猶予②

【解決事例】覚醒剤の再犯事件で一部執行猶予②

過去に覚醒剤を使用した罪で有罪判決を受けたものの再犯により逮捕され、実刑判決を受けたものの一部執行猶予が獲得できたという事案について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説いたします。

【事例】

東京都港区在住のAさんは、港区内の会社に勤める会社員です。
Aさんは本件事件の5年ほど前に覚醒剤を使用したという覚醒剤取締法違反事件で懲役1年6月執行猶予3年という「全部執行猶予付きの有罪判決」を受けていました。
しかし、その後も覚醒剤の使用を止めることができなかったAさんは、覚醒剤を使用し乍ら生活をしていたところ、事件当日の深夜に港区六本木を歩いていたところで港区内を管轄する麻布警察署の警察官による職務質問を受け、その際に採尿を求められ、Aさんが応じたところ尿から覚醒剤の成分が検出されたため逮捕されたという事案でした。

Aさんは執行猶予期間が明けてから2年ほどしか経っていなかったということもあり、Aさんの家族は減刑を求め弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部の初回接見サービスを利用した後、依頼してくださいました。
弁護士は、Aさんが罪を認めたうえで、現在は反省していること、再犯防止のため家族の監督体制が整っていることや依存症と向き合うため専門医に受診し始めたこと等を主張した結果、Aさんに対しては実刑判決ではあるものの一部執行猶予が付いた判決を言い渡されることとなりました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【覚醒剤使用の罪】

≪前回のブログをご覧ください。≫

【再犯事件の刑事罰】

≪前回のブログをご覧ください。≫

【一部執行猶予について】

執行猶予という言葉は、多くの方がご存知かと思いますが、改めて検討します。

執行猶予とは、刑事裁判において被告人は有罪ではあるが、事情を踏まえて刑の執行を猶予するというものです。
たとえば懲役3年執行猶予5年の判決が宣告された場合、
・本来であれば被告人は刑事収容施設(いわゆる刑務所)に3年間服役する必要があるが、
・一定以下の刑の宣告については、情状により刑の執行を猶予することができる
とされています。

但し、執行猶予期間中に再犯事件を起こし一定以上の刑に処された場合や、執行猶予と併せて保護観察が言い渡された場合に遵守事項を守らなかった場合等の際は、執行猶予は取り消され、服役することになる場合があります。
そのため、上記例で判決が言い渡された4年後に再犯事件で懲役2年の判決が言い渡された場合、被告人は2年+3年で5年間、刑事収容施設に収容されることになります。

一般的に執行猶予というと、上記のような「刑の全部の執行猶予」を指します。(刑法25条~同27条等)
そのほかに、平成25年6月に改正され、平成28年6月から施行された改正刑法では、「刑の一部執行猶予」という手続きが新設されています。
刑の一部執行猶予とは、実刑判決により服役する必要はあるが、服役する期間の一部についてはその執行を猶予し、執行猶予期間中に再犯等がなければその一部は執行されないというものです。
例えば、「被告人を懲役3年の刑に処する。その刑の一部である懲役6月の失効を4年間猶予し、その猶予の期間中被告人を保護観察に付する。」という判決が言い渡された場合、
・2年6ヶ月は刑事収容施設で服役する
・6ヶ月は刑の執行が猶予されるため、4年間再犯などで執行猶予取消しがなければ服役は不要
ということになります。
なお、覚醒剤を含む薬物使用等の罪で再犯事件を起こし一部執行猶予を宣告された場合、保護観察が付されることになります。

薬物使用等の罪で再犯防止を求めるためには、ただ刑事収容施設で懲役刑や禁錮刑といった刑に服するのでは不十分であり、長期的な医療や保健福祉機関の専門的な支援が必要不可欠です。
一部執行猶予判決を求めることで、少しでも早く社会復帰し、専門的な支援を依頼することが必要です。

但し、上記の手続きはあくまで数字上のものであり、実際の手続きでは未決勾留期間の算入仮釈放などの手続きが用意されているため、刑期全日を刑事収容施設で生活するというわけではありません。
実際に刑事罰が科された場合にどれほどの期間収容されるのかについては、事件によって異なりますので、刑事事件専門の弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、覚醒剤をはじめとした薬物使用等の罪で再犯した場合の弁護活動に対応しています。
東京都港区にて、覚醒剤使用の前科がある家族が再犯により逮捕・勾留されていて、一部執行猶予判決を求める弁護活動について知りたいという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部の初回接見サービスをご利用ください。(有料)
刑事事件を専門とする弁護士が接見を行い、事件の詳細や弁解録取・取調べでの供述内容を確認したうえで、一部執行猶予判決の獲得可能性などについて丁寧にご説明いたします。

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