【解決事例】強制わいせつ罪で捜査されるも青少年育成条例違反に
強制わいせつ罪で捜査が開始されたものの、青少年育成条例違反で罰金刑を受けたという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【事例】
東京都江東区在住のAさんは、江東区内で団体職員として勤務していました。
Aさんには友人がいて、その友人の子どもVさん(15歳)と遊んだり連絡を取ったりすることがありました。
ある日、AさんはVさんに2人で会おうと連絡し、江東区内の駐車場でVさんを車に乗せ、車内でAさんはVさんの陰部を触ったり胸を触ったりするなどのわいせつ行為に及びました。
VさんがVさんの保護者に相談したことで本件が発覚し、Vさんの保護者はVさんがAさんによる強制わいせつの被害に遭ったとして江東区内を管轄する城東警察署の警察官に相談し、被害届を提出しました。
Aさんから相談・依頼を受けた当事務所の弁護士は、Vさんとのやり取りなどを踏まえ強制わいせつ罪には当たらないと判断し、担当する警察官や送致を受けた検察官に対して罪名に関し意見書を提出しました。
結果的に、AさんはVさんが未成年者であることを認識して性的な行為に及んでいることから、青少年育成条例には違反するが強制わいせつ罪には当たらないとして、略式手続により罰金刑が言い渡されました。
≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫
【青少年育成条例違反と強制わいせつ罪】
今回のAさんの事例については、15歳のVさんと性的な行為をしたことを認める一方で、強制わいせつ罪には該当しないという主張になりました。
まず、強制わいせつ罪の条文を確認します。
刑法176条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
強制わいせつ罪が適用されるためには、AさんによるVさんに対する暴行又は脅迫が存在したか否かが問題となります。
Aさんは事件前にSNSでVさんとやり取りをしていましたが、弁護士がその内容を確認したところ、Vさんが怯えたり不安を覚えたりする内容はありませんでした。
むしろ、Vさんが性的な行為に興味を抱いている様子が伺えました。
そのため、強制わいせつ罪には当たらないという主張でした。
但し、いくら性的な行為に興味を抱いていて、同意のもとでの行為であったとしても、Vさんが18歳未満である以上、各都道府県が定める青少年育成条例には違反します。
今回は東京都江東区での出来事ですので、東京都青少年の健全な育成に関する条例に違反します。
条文は以下のとおりです。
東京都青少年の健全な育成に関する条例18条の6 何人も、青少年とみだらな性交又は性交類似行為を行つてはならない。
(罰条:2年以下の懲役又は100万円以下の罰金(同条例24条の3))
【青少年育成条例違反・強制わいせつ罪で弁護士に相談】
今回のAさんの事例は、一見すると「結局罪を犯しているのだから弁護する意味があるのか」という疑問をお持ちになる方がおられるかもしれません。
しかし、青少年育成条例違反の場合は罰金刑が用意されているため、略式手続により公開の法廷に立っての裁判を経ずに罰金刑が言い渡される可能性がありますが、強制わいせつ罪には罰金刑が用意されていないため起訴されれば必ず公開の法廷での裁判が行われます。
もちろん、実刑判決を受ける可能性も、強制わいせつ罪の方が高いと言えます。
東京都江東区にて、青少年育成条例違反や強制わいせつ罪で捜査を受けていて、罪名に疑問や不満を感じている方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部の弁護士による無料相談をご利用ください。
家族が青少年育成条例違反や強制わいせつ罪で逮捕・勾留されている場合はこちら。