【解決事例】同じ女性に繰り返し痴漢
同じ女性に対し繰り返し痴漢行為を行った少年事件で保護観察処分を獲得したという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【事例】
東京都葛飾区在住のAさんは、事件当時、都内の高校に通う高校生でした。
Aさんは通学で鉄道を利用していましたが、早朝の同じ列車に同じ年代の女子児童Vさんが毎日のように乗車していることに気付きました。
AさんはVさんに興味を抱き、最初はVさんの隣に座るだけでしたが、次第にVさんの太ももなど身体に触れる行為を始めました。
その間、VさんとVさんの保護者は葛飾区内を管轄する葛飾警察署の警察官に相談をし、葛飾警察署の私服警察官が見張っていたところでAさんが痴漢行為をしたため、Aさんはその場で警察官に検挙されました。
Aさんは逮捕されることなく在宅で捜査を受けることになりましたが、検察官送致され、家庭裁判所から通知が来たことではじめて、当事務所の無料相談をお受けになり、その後付添人活動を依頼されました。
Aさんの保護者が当事務所に依頼された時点で、事件から既に数ヶ月が経っていたという状況でした。
弁護士はすぐに被害者であるVさんの保護者の方に連絡をとり、Aさんの保護者が謝罪と賠償を行いたい旨を伝えましたが、Vさんの保護者はとてもお怒りでした。
そこで、弁護士は電話・対面で何度も丁寧に説明を行い、AさんがVさんと再び会うことのないよう乗車区域や時間帯の制限を設けるなどの提案を繰り返した結果、最終的に示談に応じて頂けることになりました。
その後Aさんは家庭裁判所で審判を受けましたが、保護観察処分を言い渡されたため、不拘束で日常生活を送りつつ保護観察官や保護司による指導に服することとなりました。
≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫
【痴漢行為について】
いわゆる痴漢行為は、厳密にいうと法律ではなく、各都道府県の定める迷惑防止条例に違反する行為です。
今回は、東京都葛飾区で発生した事件であるため、東京都の定める「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」(以下、東京都迷惑防止条例)に違反します。
問題となる条文は以下のとおりです。
東京都迷惑防止条例5条1項
何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
1号 公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。(以下、略)
東京都迷惑防止条例8条
次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
1号 略
2号 第5条第1項又は第2項の規定に違反した者(次項に該当する者を除く。) ※次項とは、盗撮した場合を指します。
【同じ女性に繰り返し痴漢をして保護観察処分に】
今回の事件で特筆すべきは、複数回に亘り、別の日に同じ女性に対し痴漢行為を繰り返した、という点です。
被害女性の感じる恐怖は想像に絶するものであり、当然、少年に対する保護処分を検討するうえで重要な事情になります。
弁護士としても当然、事態の重要性を認識しており、少年自身やその保護者に対し、繰り返し説明を行いました。
そして、振り返りワーク等を通じて、被害者や被害者家族の不安や恐怖を想像したり、自身の行為を客観的に検討する等して、どうして事件を起こしてしまったのか、今後事件を繰り返さないためにはどうすれば良いのか、真剣に考えてもらいました。
【事例】で紹介したとおり、被害者に対しての示談交渉も難航しましたが、最終的には合意に至りました。
裁判所に対しては、少年や保護者の認識の甘さがあったことは認めつつ、その後少年自身や保護者に大きな心情の変化が生じ、現在では少年院送致や児童自立支援施設送致といった施設内処遇は不要であるばかりか、少年のその後の人生に不利益が生じ得るという点を主張しました。
最終的に、Aさんに対しては、保護観察処分が言い渡されたため、社会内処遇によりAさんのその後の成長を見守るという結果になりました。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件のみならず少年事件も数多く取り扱ってきました。
東京都葛飾区にて、お子さんが同じ女性に対し繰り返し痴漢をしてしまい捜査を受けているという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部にご連絡ください。
保護観察処分等のどのような保護処分が検討されるか、どのような流れで示談交渉を行っていく必要があるか等について、丁寧にご説明致します。