相談例
・子供が自転車で歩行者にぶつかり、大けがをさせた。警視庁代々木警察署で過失傷害罪の疑いで取調べを受けた…
・託児所を運営しています。目を離したすきに幼児が死亡してしまいました。警視庁大塚警察署に業務上過失致死罪の容疑で捜査されています。逮捕されるか不安です…
・医療ミスで患者を死亡させた。警視庁大森警察署が業務上過失致死罪の疑いで家宅捜索をした。逮捕・勾留されるか不安…
(1)過失致死・過失傷害事件の刑罰
【過失傷害罪(刑法209条)】
刑罰:30万円以下の罰金又は科料
【過失致死罪(刑法210条)】
刑罰:50万円以下の罰金
【業務上過失致死傷罪(刑法211条前段)】
刑罰:5年以下の懲役若しくは禁錮、又は100万円以下の罰金
【重過失致死傷罪(刑法211条後段)】
刑罰:5年以下の懲役若しくは禁錮、又は100万円以下の罰金
(2)過失致死・過失傷害事件
過失致死・過失傷害事件は、過失によって他人の生命や身体を侵害する犯罪です。
過失致死罪・過失傷害罪や過失の程度が重い重過失致死傷罪、業務上の地位に基づく業務上過失致死罪の類型があります。
過失傷害罪(刑法209条1項)は、不注意によって人を傷つけてしまった場合に成立します。
過失傷害罪について、被害者へ民事上の十分な賠償が行われれば、加害者に刑事責任を追及する必要性が高いとはいえません。
そのため、被害者の告訴を必要とする親告罪となっています(刑法209条2項)。
過失致死罪(刑法210条)は、不注意によって人を傷つけた結果、死亡させてしまった場合に成立します。
人を傷つけたり、死亡させたりする点で、傷害罪や傷害致死罪と似ています。
しかし、傷害罪や傷害致死罪は、故意犯ですので、人を傷つけようという傷害の故意が必要です。
一方、過失傷害罪や過失致死罪は、不注意によって人の死傷結果を発生させる犯罪ですので、故意がなかったとしても過失(不注意)があったのであれば成立します。
(3)業務上過失致死傷罪・重過失致死傷罪
業務上過失致死傷罪(刑法211条前段)は、一定の仕事を反復継続して行う地位にある者が業務上必要な注意を怠ることによって人を死傷させた場合に成立します。
業務上過失致死傷罪は、通常の過失致死傷罪より刑が加重されています。
これは、一定の業務に従事する者は、一般人よりも事故防止のために特別高度な注意義務が課せられているためであると説明されています。
重過失致死傷罪(刑法211条後段)は、重大な過失によって人を死傷させることによって成立します。
「重大な過失」とは、注意義務違反の程度が重大なことをいいます。
重過失致死傷罪は、わずかな注意を払えば、侵害結果の発生を予見することができ、容易に侵害結果を回避することも可能であるといえることから、その過失の重大性に鑑み、刑を加重したものです。
この他、平成19年頃から、自動車による過失致死傷等の処罰のため、過失犯の特別類型として自動車運転過失致死罪(法定刑=7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金)が刑法に規定されていました。
これは、飲酒運転等による自動車事故に対する社会的な批判を受け、従来の業務上過失致死傷罪から独立した類型とし、刑罰を加重するものでした。
しかし、その後も無免許運転の自動車が児童等の列に突入するなどの重大交通事故が相次ぐことで、厳罰化への国民の関心が高まりました。
平成26年5月、悪質・危険な運転者に対する罰則をより強化した「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(自動車運転死傷行為処罰法)」が施行されるとともに、従来の自動車運転過失致死罪(旧刑法211条2項)等が刑法から削除されました。
そのため現在、自動車の運転により他人を致傷させた場合、
過失運転致傷罪(自動車運転死傷行為処罰法5条:7年以下の懲役又は100万円以下の罰金)として処罰されます。
自動車による過失運転致死傷罪で逮捕・捜査されている場合には、すぐに弁護士へ相談することをお勧めします。
過失致死・過失傷害事件における弁護活動
1 弁護士への迅速な相談
過失致死・過失傷害罪などの刑事事件を起こしてしまうと、警察官に逮捕される可能性があります。
警察官に逮捕されると約3日間、その後引き続き勾留・勾留延長されると20日間身柄拘束が続きます。
逮捕直後の警察などでの取調べでは、被疑者に不利な供述がとられ供述調書として作成されてしまうことも多くあります。
家族が過失致死傷罪で逮捕された、警察から呼び出しを受けたというときには、すぐに弁護士に相談し、今後の対応を相談してください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部では、過失致死傷罪にも詳しい刑事事件専門の弁護士が、直接、無料にてご相談をお受けします。
また、逮捕されている方のもとへ弁護士が向かう初回接見サービスもご提供しています。
一刻も早くお問い合わせください。
2 被害者への謝罪や被害弁償を行います
過失致死・過失傷害罪は、被害者の死亡や傷害の結果が発生しています。
過失傷害罪では、親告罪のため、民事上の賠償がされ当事者間で事件が解決できれば、それ以上に刑事責任を追及されないこともあります。
示談交渉を行う場合、加害者やそのご家族が、被害者に直接接触することが困難なケースもあります。
被害者の被害感情が強いなどの理由で、連絡先などを教えてくれないためです。
また、加害者等が被害者に接触することが証拠隠滅と疑われてしまうこともありえます。
この点、弁護士であれば、被害者も話を聞いてくれることが多いです。
弁護士を通じて、謝罪の意思を伝えることや、被害弁償を行っていくことで、示談を成立させる可能性を高めることができます。
3 不起訴処分や罰金、執行猶予を目指します
過失致死・過失傷害事件にあたる行為をしてしまった場合、何もしないでいると、起訴され有罪判決を受ける可能性があります。
懲役刑を受けてしまうと、学校や仕事も辞めなければならず、後の社会復帰にも影響がでます。
弁護士に相談することで、被害者へ謝罪や被害弁償を行うことや、加害者のカウンセリング、再度同じ罪を繰り返さないための環境を整えることによって、不起訴処分を目指した弁護活動を行うこともできます。
不起訴処分となれば、前科はつきません。
逮捕・勾留されていた場合も釈放されます。
学校や会社に知られずに事件を終えることも可能となりえます。
また、罰金や執行猶予になれば、社会の中で更生するため、学校や会社、家族への影響を抑えることができます。
ご家族が過失致死・過失傷害事件で逮捕・勾留された、又は警察に捜査されている方は、すぐに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部の弁護士にご相談ください。