警察署での取調べについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
◇事件◇
Aさんは、東京都足立区にあるスーパーのエスカレーターで女性のスカートの中を盗撮しました。
Aさんは、自分のスマートフォンを利用して盗撮しており、その様子を目撃した警備員に捕まったAさんは、110番通報で駆け付けた警察官によって警視庁西新井警察署に連行されて取調べを受けました。
Aさんは、逮捕を免れることができましたが、盗撮に利用したスマートフォンには、過去に盗撮した画像が何十件も保存されています。
厳しい刑事罰が科せられるのではないかと不安なAさんは、刑事事件に強い弁護士に相談しました。
(フィクションです。)
◇盗撮事件~迷惑防止条例違反~◇
公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(迷惑防止条例)で、盗撮を禁止しています。
東京都内で盗撮して、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反で起訴された場合、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金の罰則が科せらるおそれがあります。
盗撮事件で警察に逮捕されると、ほぼ100パーセントの確率で使用携帯電話機(スマートフォン)を押収されます。
警察は、携帯電話機(スマートフォン)に保存された画像データから、盗撮事件を立証したり、余罪を捜査するのです。
時には自宅に設置しているパソコンやタブレットを押収される場合もあるので、盗撮画像を保存している方は注意しなければなりません。
◇警察の取調べ◇
事件を起こしてしまった場合、逮捕されれば当然のこと、Aさんのように逮捕されていなくても警察の取調べを受ける事となります。
警察の取調べは、取調室という密室で、警察官と1対1、若しく2対1で行われます。(補助官と呼ばれる警察官が同席する場合もある)
取調べする警察官は、事件の内容だけでなく、事件前の行動や、事件を起こした動機、時として家族や仕事の事まで聞いてきます。
当然、取調べを受ける者には、黙秘権(供述拒否権)という権利が法律で認められて、警察官の質問に答えなくても問題ありません。
しかし、警察官はあの手この手を使って供述を引き出そうとし、時には脅迫や暴行を用いた違法な取調べをする事もあります。
また黙秘することによって、容疑を否認していると判断される場合もあるので、警察の取調べを受ける前に、その対処法について刑事事件に強い弁護士に相談することをお勧めします。
なお、違法な取調べによって供述した内容が記載された供述調書に証拠能力は認められませんが、取調べは密室で行われているので、後から違法性を立証するのは非常に困難です。
◇盗撮事件の弁護活動と量刑◇
盗撮事件を起こして警察の取調べを受けても、その後の刑事弁護活動を誤らなければ刑事罰を免れる可能性があります。
盗撮事件の主な弁護活動は、被害者との示談交渉になります。
示談を締結することができて、被害者の許しを得ることができれば不起訴処分となり刑事罰を免れることができる可能性が高まります。
逆に示談がなければ、初犯の場合、略式起訴されて罰金刑となるでしょう。
再犯の場合は、起訴される可能性もあるので、盗撮事件でお困りの方は一刻も早く刑事事件に強い弁護士に相談することをお勧めします。