【日本国外における逮捕監禁事件】国外犯を東京の刑事事件に強い弁護士が解説 

先日、3年4ヶ月もの長期にわてって、シリアで過激派勢力に拘束されていたジャーナリストが解放されたニュースが報道されました。
この事件に関して、警視庁が捜査を開始する旨が報じられていますが、日本国外で起こった事件に日本の法律が適用されるのでしょうか?
今日は、国外犯を東京の刑事事件に強い弁護士が解説します。

~国外犯~

日本国外で刑事事件を起こした者に対して日本の法律を適用することを「国外犯」といいます。
国外犯については刑法に定められており、その種類は
・刑法第2条 すべての者の国外犯
・刑法第3条 国民の国外犯
・刑法第3条の2 国民以外の者の国外犯
・刑法第4条 公務員の国外犯
・刑法第4条の2 条約による国外犯
です。
今回の事件は、刑法第3条の2の、国民以外の者の国外犯が適用されます。
この法律は、日本国外において日本国民に対して、強制わいせつ、強制性交等罪等、殺人、傷害(同致死)、逮捕及び監禁(同致死)、略取及び誘拐の罪、強盗等(同致死)等に当たる罪を犯した者に適用され、日本国外における日本国民の保護を目的にしたものです。
今回の事件でジャーナリストが受けた被害は、逮捕及び監禁罪(同致傷)や、拘束中の虐待行為が傷害罪に該当する可能性が大で、国民以外の国外犯の対象となることは明らかです。
ですから、今回の事件で警視庁が捜査し、犯人を日本の法律で裁くことは、日本の法律上可能なことです。

さてここで気になるのが、今回の事件で警視庁が捜査を開始するようですが、実際に、警視庁はどこまで捜査できるのでしょうか。
帰国したジャーナリストから被害届を受理して、事情聴取するまでは可能でしょうが、実際に捜査するのは捜査権の問題等で困難なことです。
実際の捜査は、発生地を管轄する外国の捜査当局に情報提供し、捜査を依頼するまででしょう。
このように、日本国外で起こった事件を、日本の警察が捜査し、犯人に日本の法律を適用するのは非常に困難なことで、この法律が制定された平成15年以降、適用されたことはないのではないでしょうか。

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