再審とは
再審は、有罪の確定判決に対し、被告人の利益のため、主として事実認定の誤りを是正するために認められた非常救済手続きです。
判決は、言渡しから不服申立て期間(14日間)が経過したときに確定します。
判決が確定すると、もはや判決で示された判断を争うことはできなくなります。
しかし、いくら判決が確定したからといって、明らかな誤りがある場合に、これを是正できないというのは不都合ですし、社会正義に悖ります。
冤罪事件で刑務所に服役していることが明らかとなったのに、判決が確定しているから、もはや争えないというのは、誰が見ても不合理なことだと分かるでしょう。
そこで、一定の事情が認められることを条件に、再審が認められているのです。
再審制度がこのような趣旨によって創設されていることからも分かる通り、再審請求は、被告人の利益のためにのみ行うことができます。
従って、無罪判決が出た場合に、再審で争うことはできません。
また、再審請求には期間制限がありません。
たとえ、服役期間が終了し、刑の執行がすべて終了した段階でも行うことができます。
そのような場合でも名誉の回復や、刑事補償の対象となることはあるからです。
再審の理由
1 第一審判決について認められる再審事由
有罪を言い渡した確定判決について、以下のいずれかの事由があった場合、再審が認められます(刑訴法435条各号)。
- 原判決の証拠となった証拠書類・証拠物が偽造・変造であったことが確定判決で証明された場合
- 原判決の証言、鑑定などが虚偽であっことが確定判決で証明された場合
- 有罪判決が虚偽告訴罪にあたる行為によるものであることが確定判決で証明された場合
- 原判決の証拠となった裁判が確定判決により変更された場合
- 特許権などを侵害した罪により有罪を言い渡した事件で、その権利が無効とされた場合
- 有罪判決を受けた者に無罪やより軽い罪などを言い渡すべきことが明らかな証拠が新たに発見された場合
- 裁判官や検察官、検察事務官、警察官が当該事件について職務犯罪をしていたことが確定判決で明らかになった場合
実務上、重要なのは⑥の理由による場合です。
「明らかな証拠」とは、原判決の事実認定について合理的な疑いを抱かせ、その認定を覆すに足りる蓋然性のある証拠をいいます。
「新たに発見」とは、原判決後に発見されたものだけでなく、原判決以前から存在していた場合でも構いません。
2 控訴棄却判決・上告棄却判決の確定判決について認められる再審事由
①②及び原判決又は証拠書類の作成に関わった裁判官に⑦の事由があった場合
再審の手続き
再審の請求は、法定された請求権者が、再審の目的である確定判決をした裁判所に対して行います。
請求権者は、検察官、有罪の確定判決を受けた者、又はその者の法定代理人等、その者が死亡若しくは心神喪失状態の場合は配偶者や直系親族・兄弟姉妹が規定されています(刑訴法439条)。
検察官以外の者が再審請求をした場合には、弁護人を選任することができます。
また、再審の請求は取り下げることができます。ただ、再審請求には、刑の執行を停止する効力はありません。
再審請求がなされると、その適法・不適法、理由の有無を問わず、裁判所はこれに対して審判をしなければなりません。
請求を受けた裁判所は、再審理由の有無を判断するために必要であれば、事実の取り調べを行うこともできます。
そして、再審の請求に理由があると判断した場合には、裁判所は最新の決定をしなければならないものとされています。
再審請求自体には、刑の執行を停止する効力はありませんが、再審開始が決定されたときは、裁判所の決定で刑の執行を停止することができます。
再審開始の決定がなされた場合には、原審の裁判所により、確定した事件について、もう一度審判がやり直されることになります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部では、再審事由が存在するかをしっかりと見極めたうえで、あなたとともに戦います。
冤罪や不当な判決を受け、再審を検討されている方は、ぜひ一度当事務所にご相談ください。