~事件~
平成20年10月9日、公務執行妨害罪で起訴されていた男性に対して、東京地方裁判所は無罪判決を言い渡しました。
(平成30年10月13日に配信された讀賣新聞の記事を参考。)
【公務執行妨害事件】
報道によりますと、この事件は昨年7月、墨田区のマンションにおいて知人女性と口論になった男性が、通報で駆け付けた警察官に対して、肩を殴る暴行をはたらき、公務執行妨害罪で現行犯逮捕されていた事件です。
男性は、公務執行妨害罪で起訴されて、検察側から罰金30万円を求刑されていたようです。
公務執行妨害罪は、刑法第95条に定められている法律で、法定刑は「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」です。
初犯で、余罪がないとすれば、通常、この程度の公務執行妨害事件であれば、略式起訴されて罰金刑となるケースがほとんどですが、検察側の求刑が罰金30万円であるにも関わらず正式な刑事裁判で判決が言い渡されていることからすると、男性が略式起訴を拒否して正式裁判で事実を争うことを望んだと思われます。
【無罪判決の理由】
報道によると、男性の弁護人は、被害者ある警察官の立会いで行われた実況見分の結果が記載されている実況見分調書が正確でないことを理由に「被害者である警察官の供述は信用できない。」ことを主張していたようです。
実況見分調書とは、実況見分の結果を記載した司法書類で、実況見分を行った警察官が作成するものです。
まず実況見分とは、事件現場の様子や、犯行状況、被害状況を明らかにするために行われるもので、裁判で問題となったのは、被害者である警察官の指示、説明の下で行われる被害者見分の結果を記載した実況見分調書です。
実況見分調書には、実況見分の様子が、文章と写真によって明らかにされており、その場所の見取り図も添付されているのですが、その内容は数センチ単位まで細かく記載された正確なものであるのが通常です。
しかし、今回の事件で作成された実況見分調書に添付されている見取り図は、実際の事件現場の構造と異なっていたことから、裁判官は「どうして不正確な(実況見分)調書が作成されたのか判然としない。」と指摘しています。
さらに被害者である警察官が、裁判において証言を変遷していることなどから、裁判官は「証言を信用してよいのか、ためらいが残る」と指摘して、無罪判決を言い渡したようです。
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