少年事件

・少年がバイクの無免許運転・人身事故を起こして警視庁千住警察署に逮捕・勾留された…

・住居侵入・窃盗の容疑で、少年が警視庁世田谷警察署に逮捕・家裁送致された…

1 少年事件

少年は、一般に精神的な未熟性から周囲の環境を受けやすく、非行を犯したとして深い犯罪性を根ざすものではありません。

そこで、少年事件では、少年の保護の観点から、成人の刑事事件とは異なる特殊性を有しています。

成人の刑事事件は、罪を犯した者に対して刑罰を科す手続きです。

一方で、少年事件は、少年の健全育成のために少年に対し保護処分を行うという保護主義の理念に基づいた手続きとなっています。

2 少年事件の流れ

(1)少年事件の発見・逮捕

(2)検察官送致

検察官は、警察から事件の記録と少年の身柄を受け取った後、①被疑者・少年を勾留するか、②勾留に代わる観護措置をするか、③勾留せずに一旦帰宅させるか,という判断を行います。

その後成人の事件と同様に取調べをしたり,証拠収集活動を行ったりしたうえで,集められた証拠を全て吟味した上で,少年が非行をした事実が認められると判断すれば,事件を家庭裁判所送致します。

(3)家庭裁判所送致

少年事件において、検察官や警察官は、すべての少年事件を家庭裁判所に送致します(全件送致主義・少年法41条、42条)。

このことから、成人の刑事事件のように捜査機関による微罪処分や起訴猶予処分(不起訴処分)にて事件を終了することが認められていないことを意味します。

ただし、実務上、一定の極めて軽微な少年事件については、簡易な手続きによって家庭裁判所へ送致する方法がとられています。

これは実務上「簡易送致」と呼ばれていますが、法律上の制度ではありません。

家庭裁判所へ送致された少年事件は、家庭裁判所調査官による調査・審判を経て、処分が決定されることとなります。

(4)観護措置

家庭裁判所へ送致された後、家庭裁判所が調査・審判を行うために、少年の心情の安定を図りながら、少年の身体を保護してその安全を図る必要がある場合には、観護措置がなされます。

観護措置には、在宅で家庭裁判所調査官の観護に付する措置と、少年鑑別所へ送致する措置とがあります。

観護措置の期間は、通常4週間として運用されています。事件によっては最長で8週間まで延長されます。

(5)調査

家庭裁判所では、審判に付すべき少年について事件の調査が行われます。

調査では、調査官が審判条件や非行事実の存否に関する法的調査と、少年に対してどのような処遇が最も有効適切であるかを明らかにする社会調査が行われます。

(6)審判

少年審判は、少年に非行事実があったかどうかを確認し、非行の内容や個々の少年の抱えている問題点に応じた処分を選択するための手続きです。

少年審判では、裁判官が、法的調査と社会調査の結果を踏まえ、少年の最終的な処遇を決定します。

少年審判は、原則として非公開で行われます。成人の刑事事件では、公開が原則ですが、少年審判では、成長発達途中にある少年を保護し、社会復帰を円滑に進める必要がある点と、審理内容が少年やその家族のプライバシーに深くかかわる点で原則非公開とされています。

3 少年審判の処分

少年審判で家庭裁判所が行う判断には、大きく、①不処分、②保護処分、③都道府県知事・児童相談所長送致、④検察官送致(逆送)、の4つの判断があります。

① 不処分決定

保護処分に付することができないときや保護処分に付する必要がないときに、不処分決定がなされます。

不処分決定がなされた場合、事件の手続きはすべて終了となります。

② 保護処分

保護処分には、ⅰ保護観察、ⅱ児童自立支援施設または児童養護施設送致、ⅲ少年院送致、があります。

ⅰ保護観察
保護観察とは、少年を家庭や職場等の環境に置いたまま、保護観察所の行う社会内処遇により、少年の改善更生を図ろうとする保護処分です。

ⅱ児童自立支援施設または児童養護施設送致
児童自立支援施設または児童養護施設送致は、児童福祉法上の支援を行うことを目的として、これらの施設に収容する保護処分です。これらの施設は、少年院と異なり解放された施設ですので、解放された環境の中で訓練や指導を受けることとなります。

ⅲ少年院送致
少年院は、少年に矯正教育を授ける施設です。少年院は、児童自立支援施設または児童養護施設と異なり、少年の非行防止のため、基本的に外出が許されない非開放的な施設です。少年法上の保護処分として最も強力な処分といえます。

③ 都道府県知事・児童相談所長送致

家庭裁判所の調査の結果、児童福祉法による保護が相当と認められる場合、都道府県知事や児童相談所長へ送致されます。

児童福祉機関の措置に委ねるのが適切な場合に、この決定がなされます。

④検察官送致(逆送)

調査の結果、本人が20歳以上であることが判明したときや、死刑、懲役、禁錮に当たる罪の事件について、その罪質・情状に照らし刑事処分相当と認めるときは、検察官送致(逆送)されます。

検察官送致(逆送)された場合、成人の刑事事件と同様の手続きの流れにのることとなります。

特に,2022年4月1日以降,18歳,19歳の少年については「特定少年」と呼ばれることになり,これまでと比べて逆送される事件の幅が広がりました。

17歳以下の少年事件の場合には例外的に重大な事件について限定的に逆送が認められていることになります。やはり年少者については,大人と同じ責任を問うことは難しいという配慮があるからです。

しかし,18歳,19歳の「特定少年」の少年事件の場合には,事件の内容や情状次第では,家庭裁判所は,検察官へ事件を送り返す(逆送)することができるようになりました。

特定少年の事件が検察官に逆送され,成人と同じように起訴されてしまうと,たとえ20歳未満であったとしても実名での報道ができてしまうことになったり,裁判の結果によっては前科がついてしまったりと,大人と同じ社会的な責任や不利益を被ることになります。

法改正によって逆送の対象として広がる特定少年の事件は,「2022年4月1日以降」にした行為に関する少年事件が対象となります。

また,実名報道が許されるようになったのは,「18歳,19歳の時に犯した事件」について,「2022年4月1日以降」に起訴された場合になります。

18歳,19歳の「特定少年」として検察官に逆送されるかもしれない,少年事件の枠内で収まりきらないかもしれないというご不安があるという方やそのご家族の方は,早急に少年事件に強い弁護士にご相談ください

少年事件の弁護活動のポイント

少年事件は、成人の刑事事件と比べ、少年の保護・改善のため特別な制度となっている部分も多くあります。

少年事件でお悩みの場合には、すぐに弁護士へ相談し、少年のいる環境の改善など適切な措置を講ずることが重要となっていきます。

弁護士は、家庭裁判所へ送致された後も、付添人として、少年に最適な処遇がされるよう活動を行います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部では、少年事件に強い弁護士による最善のアドバイスを受けることができます。

刑事事件・少年事件を専門に取り扱う弁護士が、直接「無料相談」を行います。

被疑者が逮捕された事件の場合、最短当日に、弁護士が直接本人のところへ接見に行く「初回接見サービス」もご提供しています

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