・東京都港区の路上で警察官に職務質問を受け,ポケットにあった乾燥大麻が見つかった。
⇒大麻成分リキッドの所持容疑で警視庁麻布警察署の警察官に現行犯逮捕
・東京都足立区のアパートで大麻を栽培していたところ,警視庁西新井警察署の家宅捜索で,大麻草24本が押収された。
⇒大麻栽培の容疑で令状逮捕
1,大麻に関する犯罪
2023年(令和5年)12月まで,大麻に関する犯罪は,「大麻取締法」という法律で規制をされていました。しかしながら,同月に大麻取締法を改正する法案が国会で可決され,大麻取締法は「大麻草の栽培の規制に関する法律」というように名称が変更されるとともに,大麻は麻薬の一部という位置づけに変更されるようになりました。大麻由来の成分も「麻薬」として一部が医療用としても承認される余地はありますが,一般的な大麻の使用についてはむしろ厳罰化したと言ってよいでしょう。
大麻取締法は,大麻の栽培,輸入,輸出,所持,譲り受け,譲り渡しなどの行為の他,犯罪に必要な資金や場所,原材料を提供する行為などについて,罰則を科しており,大麻の使用については法規制がない状態でした。しかし,大麻取締法が改正され,大麻が「麻薬」の一部であるとされたことにより,2024年12月12日以降は次のような法律が適用されることになっています。
・大麻を栽培していたという事案⇒大麻草の栽培の規制に関する法律違反事件
・大麻の所持,使用,売買等の事案⇒麻薬及び向精神薬取締法違反事件
大麻関連事件の罰則・法定刑 一覧
罪名 | 罰則・法定刑 |
大麻の使用・所持・譲り受け・譲り渡し (麻薬及び向精神薬取締法66条1項,66条の2第1項,27条1項) |
7年以下の懲役 |
営利目的で大麻所持・譲り受け・譲り渡し (麻薬及び向精神薬取締法66条2項) |
1年以上10年以下の懲役 情状によっては300万円以下の罰金を併科 |
大麻の栽培(大麻草の栽培の規制に関する法律24条1項)・密輸(麻薬及び向精神薬取締法違反65条1項) | 1年以上10年以下の懲役 |
営利目的で大麻を栽培・密輸 (麻薬及び向精神薬取締法65条2項) |
1年以上の懲役 情状によっては500万円以下の罰金を併科 |
大麻栽培の予備・栽培場所などの提供行為等(大麻草の栽培の規制に関する法律24条の3,24条の4) | 5年以下の懲役 |
※懲役刑の法定刑の上限は,20年です(刑法12条第1項)。併合罪など一定の場合,上限が30年となります
2,大麻事件の特徴
大麻に関する犯罪は,若者を中心に逮捕件数が非常に多くなっています。
また再犯者が非常に多いことも特徴です。
最近の大麻事件の多くは,大麻の所持・使用によって検挙されています。職務質問から任意の所持品検査/尿検査へと発展し,その場で検挙されるという事例と,事前に警察が情報を得て家宅捜索などに踏み切って証拠を押さえに来るという事例が代表的な検挙のパターンです。
大麻取締法違反事件の場合,証拠隠滅などを防止するため逮捕・勾留されることが多く,刑事裁判になれば初犯の単純所持などを除き,実刑判決を受ける可能性が高いです。
大麻事件における弁護活動
1 違法薬物であることの認識がなかったことの主張
大麻事件は,いずれも故意犯です。
そのため,犯行当時それが違法薬物であることの認識があったかどうかが重要なポイントになります。大麻などの薬物の存在に気づいていなかった・違法薬物であることを認識していなかった場合には,そのような事情を客観的な証拠に基づいて主張・立証します。
こうした主張が認められた場合,大麻の所持や使用の犯罪が成立しないとして不起訴処分や無罪判決を勝ち取ることができる可能性があります。
不起訴処分を受けると,前科が付きませんので,早期に社会復帰することができます。
大麻の所持,使用の事案で逮捕・勾留されたらすぐに弁護士に相談してください。
早期に弁護士に相談することで,事件の全体像を把握した上,適切な弁護方針を立て弁護活動を行います。
2 大麻事件で執行猶予
大麻事件(所持や使用)の場合,初犯の場合であれば,執行猶予判決で終了することもあります。しかし,営利目的であったり,大量の大麻を扱っていたりした場合には,厳しい処罰が下されることもあります。
また,大麻取締法違反は繰り返し行ってしまうことが多いため,再犯の場合にも実刑判決となる可能性が高くなります。
弁護士としては,執行猶予判決の獲得へ向け,本人の反省や薬物を断つことのできる環境を整備することにより,社会内更生が十分に可能であることを説得的に主張していきます。
3 大麻事件で身柄拘束を解く
大麻事件の場合,逮捕から勾留,起訴,起訴後勾留と身柄拘束が長期化しやすいといえます。それは,犯罪の客観的な証拠があり,大麻の入手ルートなどの解明をする必要があると共に,共犯者などがいる場合,証拠隠滅をしやすいことなどが理由となります。
大麻事件の経験豊富な弁護士は,逮捕・勾留段階から身柄拘束をする決定に対して不服申し立てを行います。
また起訴後には,保釈請求をするなど,早期に身柄拘束を解くための弁護活動を行います。
長期の身柄拘束は,その後の社会復帰にも悪影響を及ぼすため,早期に身柄拘束を解くための弁護活動を行います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部では,大麻事件,麻薬及び向精神薬取締法違反事件の経験豊富な弁護士による最善のアドバイスを受けることができます。
刑事事件・少年事件を専門に取り扱う弁護士が,直接「無料相談」を行います。
被疑者が逮捕された事件の場合,最短当日に,弁護士が直接本人のところへ接見に行く「初回接見サービス」もご提供しています。