覚せい剤取締法と大麻取締法について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
◇覚せい剤取締法◇
覚せい剤取締法では、覚せい剤や覚せい剤原料の所持、使用、輸出入、譲り受け、譲り渡し、製造が禁止されています。
禁止行為によって有罪が確定した場合の法定刑は以下のとおりです。
●覚せい剤
輸出入・製造・・・非営利の場合「1年以上の有期懲役」
営利目的の場合「無期股は3年以上の懲役 情状により1000万円以下の罰金を併科」
所持・使用・譲渡・譲受・・・非営利の場合「10年以下の懲役」
営利目的の場合「1年以上の有期懲役 情状により500万円以下の罰金を併科」
●覚せい剤原料
輸出入・製造・・・非営利の場合「10年以下の懲役」
営利目的の場合「1年以上の有期懲役 情状により500万円以下の罰金を併科」
所持・使用・譲渡・譲受・・・非営利の場合「7年以下の懲役」
営利目的の場合「10年以上の有期懲役 情状により300万円以下の罰金を併科」
~覚せい剤取締法違反事件の特徴~
覚せい剤取締法違反事件で最も多いのは、使用及び所持事件です。
前回ご紹介した元芸能人も、覚せい剤の所持事件で逮捕されています。
ここでいう所持とは、実際に手に把持したり、ポケットやカバンに入れて所持している場合だけでなく、例えば、自宅等に保管している場合や、コインロッカーに保管している場合など、実質的な支配下にある場合も含まれます。
覚せい剤の所持容疑で警察に逮捕されると、逮捕後に採尿されて覚せい剤の使用についても捜査されます。
採尿された尿から覚せい剤成分が検出されなければ問題ありませんが、覚せい剤成分が検出された場合は、覚せい剤の使用容疑でも警察の取調べを受けることとなりますので、所持事件の捜査が終了した後に、使用容疑で再逮捕される可能性もあります。
また所持事件で警察に逮捕された場合、押収された覚せい剤の量が多かったり、電子秤や小分け用のビニル袋(パケ)等が押収された場合は「営利目的」を疑われてしまいます。
上記したように、覚せい剤の所持事件でも「営利目的」とそうでない場合(非営利の場合)では、その法定刑が大きく異なりますので注意しなければなりません。
覚せい剤は非常に依存性の高い薬物として知られており、それ故に覚せい剤事件は再犯率の非常に高い犯罪でもあります。
非営利目的の覚せい剤の所持、使用事件の場合ですと、初犯であれば、起訴されても、かなりの高確率で執行猶予付きの判決となりますが、再犯の場合は実刑判決が言い渡される可能性が高くなりますので、覚せい剤取締法違反でお困りの方は早急に弁護士に相談することをお勧めします。
◇大麻取締法◇
大麻取締法では、大麻の栽培や輸出入、所持、譲渡、譲受が禁止されています。
大麻の使用を禁止していないのが、この法律の最大の特徴と言えるかもしれません。
その理由は様々ですが、その一つとして、大麻は自然界に自生する自然植物で、日本では大麻草の葉や花以外は古くから様々な用途で利用されており、そのため、微量な葉の粉末等を栽培者が吸引してしまう可能性があるからではないかと言われています。
当然、大麻の使用に関して罰則規定がないからと言って、使用が容認されているわけではありませんし、大麻の使用を疑われた場合、当然警察の捜査を受けることとなり、使用した大麻を入手、所持していた事実で刑事事件化される可能性は十分に考えられます。
禁止行為によって有罪が確定した場合の法定刑は以下のとおりです。
輸出入・栽培・・・非営利の場合「7年以下の有期懲役」
営利目的の場合「10年以下の懲役 情状により300万円以下の罰金を併科」
所持・譲渡・譲受・・・非営利の場合「5年以下の懲役」
営利目的の場合「7年以下の懲役 情状により200万円以下の罰金を併科」