~東京都迷惑行為防止条例の改正経緯①~

本日から3回に亘り、東京都の公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例いわゆる迷惑行為防止条例の改正について、過去の改正経緯をあいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説します。

~迷惑行為防止条例の概要~

この条例は,
   公衆に迷惑をかける暴力的行為等を防止し,もって都民の生活の平穏
を保持することを目的とする(同条例第1条)
と明記されている通り,東京都内で生活する都民の平穏な日常が,不当な行為により脅かされることがないように定められた条例です。
この条例は,古くは昭和37年10月11日に東京都条例第103号として制定され,その時代に応じて改正を繰り返していきました。
ここでは,平成以降の改正を,主に粗暴行為にフォーカスをあててご紹介します。
まず,制定されてから平成初期までは
第1条 目的
第2条 乗車券等の不当な売買行為(ダフヤ行為の禁止)
第3条 座席等の不当な供与行為(ショバヤ行為)の禁止
第4条 景品売買行為の禁止
第5条 粗暴行為(ぐれん隊行為等)の禁止
第6条 押売行為の禁止
第7条 不当な客引行為等の禁止
第8条 罰則
が定められていました。
 罰則はすべて同じであり,
   5万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する(同条例第8条)
   常習として違反行為をした者は,六月以下の懲役又は20万円以下の罰金

に処する(同条例第8条2項)
と定められていました。

~平成13年の改正で厳罰化!?~

 ですが,平成13年6月15日の改正により,まず,罰則が全て改正されます。
「第2条(乗車券等の不当な売買行為(ダフヤ行為の禁止))」
「第5条1項(粗暴行為(ぐれん隊行為等)の禁止)」に違反した場合は
   六月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
とされ,罰金額が増加したことに加え,常習的な行為でなくとも懲役刑に科されることとなりました。
さらに,常習的に違反した場合は
   1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する
と,より重い刑罰が科せられることとなっています。
 ※「第5条1項」とは,公共の場所や公共の乗物において,人を辱めたり,
不安にさせるような言動をしてはならないことを定めています。
 また,第3条,第4条,第5条2項及び3項,第6条,第7条についても,
   50万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する
と定められ,常習的に違反した場合は
   六月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する
と,懲役刑が科されるように条例改正されました。

~平成14年に被害者範囲の拡大と暴走族取締りの強化~

 翌年の平成14年には第5条1項の整備が行われます。
 それまでは
 何人も,婦女に対し,公共の場所または公共の乗物において,婦女を著しくしゆう恥(=羞恥)させ,または婦女に不安を覚えさせるような卑猥な言動をしてはならない
と,被害者は女性に限定されていました。
 しかし,改正により
何人も,人に対し,公共の場所または公共の乗物において,人を著しくしゆう恥(=羞恥)させ,または人に不安を覚えさせるような卑猥な言動をしてはならない
と,男性であっても被害者となりえることになったのです。
 さらに,暴走族等の取締りに関して,条例でも規定されることになりました。
 それが,新たに加わった第5条4項で,
何人も、公衆の目に触れるような工作物に対し、ペイント、墨、フェル
トペン等を用いて、次の各号のいずれかに該当する表示であつて、人に不
安を覚えさせるようなものをしてはならない。
一 暴走族(道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第六十八条の規
定に違反する行為又は自動車若しくは原動機付自転車を運転して集
団を形成し、同法第七条、第十七条、第二十二条第一項、第五十五条、
第五十七条第一項、第六十二条、第七十一条第五号の三若しくは第七
十一条の二の規定に違反する行為を行うことを目的として結成され
た集団をいう。次号において同じ。)の組織名の表示
二 暴走族が自己を示すために用いる図形の表示
と示されています。
 公衆の目につくような場所(公衆トイレやガードレール,看板や壁など)にチームステッカーや看板,のぼり旗等を掲げたり,スプレーなどでチーム名等を書いたりしては,街の景観を損なうどころか,そこで暮らす住民が恐怖に晒されることになってしまいます。
 また,ステッカーなどは暴走族などの活動資金になることも多く,そういった行為を防ぎ,積極的に取締りを推進するため,改めて制定されることになりました。
 罰則についても制定され,第5条2項及び3項と同じく
    50万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する
    常習的に違反した場合は6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する
とされています。

≪次回ブログに続きます。≫

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