取調べの受け方

取調べの受け方取調べというのは、捜査機関が捜査目的の達成のために取調べ対象者から、直接に供述を得ようとする捜査活動です。

平たく言うと、警察官や検察官が、事情を聴き、又は聞き取った内容を調書にまとめるということです。

取調べは、任意で行われる場合は事情聴取などともいいますが、逮捕や勾留により身柄を拘束されている場合は事情聴取とはいわず、また、取調べ自体を拒否することもできません。

ただ、たとえ逮捕・勾留されていても取調べにおいて、供述自体を強要することは許されません。

しかし、現実の取調べでは、相当に激しい口調で詰め寄られたり、執拗に同じ質問を繰り返したり、様々な切り口で、事件について話をさせようとしてきます。

取調べである以上は、仕方のない面もありますが、かといって違法な手段による取調べを許してはなりません。

捜査官は、自白を得たいがために、時に強引な手段を用いることがあります。

こういった取調べにより、虚偽の自白や、不当に不利な証拠を作成されないよう適切な対応をとる必要があります。

ここでは、逮捕・勾留後に取調べを受ける人の権利を紹介したうえ、取調べの受け方について説明します。

1 弁護人選任権

弁護人選任権とは、被疑者・被告人がいつでも弁護人を選任できる権利をいいます。

刑事手続きは、究極的には刑罰という国家権力による制裁を科すものですから、被疑者・被告人は、刑事手続きの対象として危険な地位に置かれているといえます。

しかも、相手は警察官や検察官という捜査のプロです。

そこで、被疑者や被告人に適切な防御権を行使させる機会を保障するために、法律のプロである弁護士の選任権が認められています。

2 接見交通権

勾留によって身柄を拘束されている場合、一般の方が面会できるのは、1日につき1組15分程度に限られていますし、警察官の立ち合いがなされます。

また、逮捕直後から勾留されるまでの期間や、勾留に接見禁止が付されている場合には、面会や手紙のやり取り自体が認められていません。

しかし、被疑者の弁護人であれば、これらの制限が一切ありません。

弁護士は、被疑者の逮捕直後から、いつでも何回でも時間の制約なく、また、警察官の立ち会いなしに面会することができます。

弁護人選任権が保障されても、弁護士と自由に連絡・相談できないのであれば、適切な防御権を行使する機会を与えることにはなりません。

そこで、被疑者・弁護人には、秘密を確保したうえで、自由に連絡・相談できる権利が、接見交通権として保障されています。

3 黙秘権

黙秘権とは、答えたくない質問に対して答えなくてもいいし、終始黙っていても良いという権利です。

黙秘権は、憲法上保障された極めて重要な権利であり、黙秘権を行使したからといって、不利に扱われることはありません。

取調べの際、事実を争うためにもっとも効率的なのが、終始黙秘することです。

取調べでは、長年多数の被疑者を取り調べてきた経験をもつ捜査官が、あの手この手で罪を認めさせようと迫ってきます。

被疑者がいくら自分に不利なことを言わないように気を付けていても、取調官の誘導に乗っているうちに知らず知らず不利な事実を供述させられていることもあります。

4 署名押印拒否権

取調べで黙秘を貫くのは非常に難しいことです。

そこで、採りうる手段としては、取調官に調書を作成させないということが考えられます。

つまり、取調官が作成する供述調書に署名・押印(指印)をしないことです。

取調べで話した内容が証拠として必要な場合には、取調官によって、被疑者の供述が録取された供述調書(供述録取書)が作られますが、これには被疑者が間違いないことを確認したうえで、署名・押印する必要があります。

これがない供述調書は、証拠として裁判で使うことはできません。

そして、被疑者には、この署名・押印を強制されないという権利があります。

もちろん、自分が本当に話した内容で、納得できるような調書が作成されているのであれば、署名・押印しても構いません。

しかし、供述調書は、被疑者が話した言葉をそのまま書き起こすわけではなく、取調官が聞き取った内容をもとにストーリー形式に直して文章が作成されます。

そうすると、自分としては、問題ないと思った箇所が、後に裁判で非常に不利になる事実が記載されていたという事態が生じかねません。

ですから、供述調書の内容に少しでもおかしな点があると考えた場合には、署名・押印をしないという手段をとることも大切です。

5 増減変更申立権

取調べにおいて、調書の内容に誤りがある場合は、調書の修正を求めることができます。

被疑者にとっては、どのような事実が、法律上自分に不利な事実であるか、判別がつかない場合がありますので、少しでも自分の思うニュアンスと異なる文章になっていた場合には、内容の修正を申し出るべきです。

ただ実際上は、調書の修正になかなか応じてくれない取調官もいますし、書いてほしい事実を記載してくれない場合もあります。

供述調書の作成は、捜査官の義務ではないですから、捜査機関に都合のよい調書が作れない限りは、調書自体を作成してくれないこともあるのです。

そのような場合でも、事実を争いたい場合には、自分に不利な調書を作成されないように対応すべきです。

最終的に立証責任を負うのは検察官ですから、不利な証拠を作らせないことが重要なのです。

取調べでは、時に、取調官による執拗な質問や強引な手法が採られることがあります。

これらが違法になされた場合には、直ぐに弁護士に相談して対応してもらうべきですが、取調べを受ける方の毅然とした対応も重要です。

そのような取調べを受けた際には、被疑者ノートなどに記載し、後に争いになった際の証拠資料として残しておくことが重要です。

また、違法な手段でなくとも、狭い留置施設に閉じ込められ、連日厳しい取調べを受けると、段々と気が滅入り、不利な事実でも諦めて認めてしまうことがあるかもしれません。

しかし、よく考えてみてください。あなたに執拗に取調べで事実を認めさせようとするのは、捜査機関側も不安だからです。

捜査機関の目的は、被疑者が罪を犯したことを裁判で証明することができるほどの証拠を集めることです。

あなたに自白を迫るのは、あなたを有罪として訴追するだけの証拠が揃っていないためかもしれません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部では、刑事事件・少年事件を専門に扱う弁護士が、被疑者・被告人の防御権を十分に行使して、公正な刑事司法の実現を目指します。

取調べに不安がある方は、ぜひ弊所にご相談ください。

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