盗撮・のぞき事件

・Aさんは、浅草線の駅のエスカレーターで、女子高生のスカートの中に、スマートフォンを差し入れ、下着を盗撮したところ、近くにいた男性がAさんを取り押さえ、警視庁愛宕警察署の警察官に引き渡された・・・

・代々木駅近くの代々木みどり公園の女性用トイレに侵入し、盗撮用のカメラを設置したとして、付近を警戒していた警視庁代々木警察署の警察官に現行犯逮捕されました・・・

盗撮やのぞきは、どのような罪になるでしょうか?

盗撮やのぞきの容疑が欠けられた場合

東京都の迷惑防止条例に違反し、盗撮行為として処罰される可能性があります。

【東京都公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(いわゆる「迷惑防止条例」)】
※強調等は筆者加筆第5条1項 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であって、次に掲げるものをしてはならない。

2号 《場所》公衆便所、公衆浴場、公衆が使用することができる更衣室その他公衆が通常衣服の全部若しくは一部を着けない状態でいる場所又は公共の場所若しくは公共の乗物において、《対象》人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、《行為》写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること

(罰則)
第8条1項 次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
2号 第5条第1項又は第2項の規定に違反した者(次項に該当する者を除く。)
2項 第5条第1項(第二号に係る部分に限る。)の規定に違反して撮影した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

地下鉄駅のエスカレーターという「公共の場所」において、女子高生の「下着」を、スマートフォンを用いて「撮影」した場合、上記条例5条1項2号、8条2項に該当します。
この場合は、「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」が科される可能性があります。

公園の女性用トイレという「公衆便所」において、トイレを利用する女性の「下着」や「身体」を、「撮影する目的でカメラを」「設置」した場合、上記条例5条1項2号、8条1項2号に該当します。
この場合は、「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」が科される可能性があります。
さらに、設置したカメラで、既に「下着」や「身体」を撮影した場合、「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」(8条2項)となります。

これらを、常習として盗撮を行っていた場合、「2年以下の懲役又は100万円以下の罰金」(東京都迷惑防止条例8条7項)となります。

迷惑防止条例違反の盗撮の刑罰

都道府県の条例により禁止行為や刑罰が若干異なっています。

都道府県 通常 常習
埼玉県 6月以下の懲役又は50万円以下の罰金
(埼玉県迷惑防止条例12条1項1号、2条4項)
1年以下の懲役又は100万円以下の罰金
(埼玉県迷惑防止条例12条2項、2条4項)
千葉県 6月以下の懲役又は50万円以下の罰金
(千葉県迷惑防止条例13条1項、3条2項)
1年以下の懲役又は100万円以下の罰金
(千葉県迷惑防止条例13条2項、3条2項)
東京 1年以下の懲役又は100万円以下の罰金
(東京都迷惑防止条例8条2項、5条1項2号)
2年以下の懲役又は100万円以下の罰金
(東京都迷惑防止条例8条7項、5条1項2号)
神奈川県 1年以下の懲役又は100万円以下の罰金
(神奈川県迷惑防止条例15条1項、3条1項)
2年以下の懲役又は100万円以下の罰金
(神奈川県迷惑防止条例16条1項、3条1項)

▼一般的に各都道府県の迷惑防止条例は、「公衆の場所」や「公衆の乗物」等での盗撮・のぞき見行為を禁止しています。

そのため、公共の場所ではない場所での盗撮やのぞき行為は、軽犯罪法違反にあたる可能性があります。

具体的には、個人の住宅や更衣室、浴室やトイレなど、衣服をつけないでいるような場所を、盗撮やのぞき行為をする場合です。

盗撮罪の新設

令和5年の刑法の改正に伴って,「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」という法律が成立しました。

この法律は,これまで単に条例違反のみと扱われていた盗撮行為についても,法律をもって処罰するというものです。

人の性的な部位下着でおおわれている部分で実際に性的な部位を覆っている部分を,ひそかに,撮影する行為に対しては3年以下の懲役又は300万円以下の罰金が科せられることとなりました。

盗撮罪となるのは実際に撮影行為を敢行した場合であり,レンズを差し向けた場合や撮影にまで至らなかった行為に対しては,未遂罪に留まります。

盗撮・のぞき事件の弁護活動のポイント

1 盗撮・のぞき事件で逮捕されたら

盗撮・のぞき事件で逮捕された場合には、すぐに弁護士へご相談下さい。

盗撮・のぞき事件の場合、初犯であれば、罰金処分で終わることも多いです。

しかし、事実を否認している場合や、常習として盗撮やのぞきを行っている場合は、公判請求され、厳しい判決となる場合もあります。

すぐに盗撮・のぞき事件を弁護士へご相談いただくことで、早い段階で事件の概要を把握し、適切な見通しを立てたうえで、一貫した弁護活動を行うことができます。

2 被害者への謝罪や被害弁償・示談する

盗撮・のぞき事件の場合、被害者との示談交渉が、その後の処分の軽重に大きな影響を与えることになります。

しかし、事件を起こした方が直接被害者に会うのは困難な場合が多いです。

弁護士であれば、警察や検察官から被害者の情報を提供してもらうことで、被害者に連絡を取り、謝罪の言葉や弁償の打診を行うことが可能です。

盗撮・のぞき事件で、示談が成立すれば、当事者間で事件は解決していることになりますので、不起訴処分が得られる場合もあります。

3 早期の身柄開放

悪質な盗撮事案や、常習的な盗撮事件の場合、逮捕・勾留されて、身柄を拘束されることがあります。

そのような場合でも、早期に示談交渉に着手していることや、証拠隠滅の可能性がないことなどを主張することで、勾留を避けてもらえたり、勾留を取り消してもらえたりする場合があります。

このような活動を弁護士が行うことで、早期の身柄解放につながりやすくなります。

盗撮・のぞき事件で逮捕された・警察に事情を聞かれているという方は、

痴漢・のぞき事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部まで、お問い合わせください。

刑事事件・少年事件専門の弁護士が、即日無料相談・初回接見に対応致します。

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